Semua Bab 妹が嫌がっているからと婚約破棄したではありませんか。それで路頭に迷ったと言われても困ります。: Bab 21 - Bab 24

24 Bab

まともな挨拶

 リヴァーテ伯爵家とサルマンデ侯爵家との間では、私とセリード様との婚約の話が進められていた。  まだ正式に決まってはいない訳ではあるが、その一環としてセリード様がこちらの屋敷を訪問することになった。それは端的に言ってしまえば、彼という人間を見極めるためのものだ。 お父様はイルルグ様のようなことがないようにするために、セリード様と実際に会って会話を交わすことにしたのだ。  もちろん、そこで人の本質を丸ごと見抜くなんてことはできないだろう。ただそれでもお父様は、あの件を受けてそうするべきだと判断したらしい。 ちなみに私の方も、後でサルマンデ侯爵家の屋敷を訪ねることになっている。  私も私で、見極めてもらわなければならないのだ。サルマンデ侯爵家の面々とは顔見知りではあるものの、それでもやはり少々不安ではある。「ふう……」 「セリード様、大丈夫ですか?」 「ああ、大丈夫だ。しかし、疲れるものだな。挨拶というのは……いや、こういったことはあなたにも言うべきではないか」 「いえ、遠慮なさらないでください」 訪ねて来たセリード様は、お父様とお母様、それから妹のルナーシャとも挨拶を交わした。  その挨拶を彼はそつなくこなした――そう思っていたが、二人きりになった途端ため息をつき始めた。今回の挨拶によって、かなり疲弊しているようだ。 それは当然と言えば当然なのかもしれない。私にとってサルマンデ侯爵家の人々は、友人の家族ということもあってある程度の親しみもある。だが、セリード様にとって妹の友人の家族など関係性が遠い。その不安や緊張は、私が想像している以上のものだったのだろう。「本当にお疲れ様です、セリード様」 「ありがとう。俺の挨拶はどうだっただろうか。何か無礼があったらと、不安なのだが……」 「とても安心できる挨拶でしたよ?」 「安心か……」 「ああ、別に他意などはありません」 セリード様の不安に対して、私はつい元婚約者のことを思い出していた。  イルルグ様の挨拶は、結果的に滅茶苦茶なものであったといえる。正直な所、妹同伴ではない時点で私はかなり安心していたくらいだ。  しかそれは、セリード様に失礼であるだろう。あんなのと比べられるなんて、あり得ないことなのだから。「あなたも色々と苦労した訳だな……」 「苦労……という程ではありません。結
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-09-05
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嫌な気配

 私は、セリード様を見送るために屋敷の外の門まで来ていた。  挨拶が終わってから、彼はこのリヴァーテ伯爵家の屋敷で一泊した。 昨晩は当然おもてなしが行われた訳だが、それがセリード様にとって楽しいことだったかどうかは微妙な所である。きっと緊張したことだろう。  とはいえ、家族とセリード様の関係性は深まったといえる。両親も妹も、この人ならば大丈夫だと思ってくれたのではなかろうか。「セリード様? どうかされましたか?」 「いや……」 門の前にある馬車から視線を外すセリード様に、私は思わず問いかけていた。  彼はなんというか、遠くを見つめている。それは何か不安などがあるということだろうか。  それなら心配だ。そんな風に私が思っていると、セリード様の体が前に来た。それはまるで、私を庇うかのような動作だ。「セリード様?」 「ラナーシャ嬢、なんだか嫌な気配がする。あなたは下がっておいた方が良さそうだ」 「気配? そんなものがわかるのですか?」 「これでも騎士志望だったからな。そういったものには敏感だ」 「それは頼もしいですね……うん? あれは……」 周囲を警戒するセリード様に対して、少し浮かれて照れていた私はすぐに気を引き締めることになった。  それは門の外側から何者かがこちらに向かっていることに気付いたからだ。セリード様は、一早くそれを悟っていたらしい。  それをまたすごいことだと思いながらも、私は向かってきている二人組の正体に気付いた。あれは恐らく、イルルグ様とウルーナ嬢だ。「あれはイルルグ様とウルーナ嬢です」 「……あれがか?」 「ええ、随分と変わっていますが、そうでしょう。正式にはまだ発表されていませんが、あの二人はエーヴァン公爵家から追放されています」 「なるほど、どうやら厳しい道中を歩んできたと見える」 ボロボロになった二人は、凡そ貴族とは思えない格好だった。  追い出された後に、散々な目に合ったということだろうか。別に同情するつもりはないが、なんとも悲惨なものである。「……やっと着いたか」 「はあ、これでやっと……」 イルルグ様とウルーナ嬢は、門の前まで辿り着いてため息をついた。  それから彼らは、私の方に視線を向けてくる。目を丸めて驚いている所を見ると、流石にここで私を出くわすとは思っていなかったということだろ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-09-06
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身勝手な二人

「丁度良い所にいた……ラナーシャ嬢、あなたに話したいことがあるんだ」 「……」 衣服をボロボロにして、髭を生やしたイルルグ様はなんだか年老いて見える。  ただその声色は、以前とそれ程変わっていない。多少掠れているが、それでもそれがイルルグ様のものだとはわかった。「この姿を見てわかる通り、僕もウルーナも色々と苦労している。それが何故だか、あなたにはわかるだろうか?」 「……それはあなた方がエーヴァン伯爵家を追放されたからでしょう?」 「その通りだ。父上は非道にも僕達を追放した。お陰でここに来るまで随分と苦労したんだ。路頭に迷ってしまっているんだ。この僕達が……」 突然やって来て、身の上を話すイルルグ様は、はっきりと言って不快であった。  もう少し立場を弁えることはできないのだろうか。話すにしても、もう少し色々と順序というものがあるはずだ。私はまだ、話に応じると口にしてもいないといのに。  どうやら彼の傲慢で身勝手な部分は、変わっていないらしい。この段階において、まだ自分と私が対等だと思っているなんて、なんとも思い上がったものの考え方だ。「そこで僕達は、あなたに助けてもらいたいと思っている」 「……なんですって?」 「こうして僕達が路頭に迷うことになった原因は、そもそもあなたとの婚約にある。それをどうか自覚してもらいたい。あなたの不出来が、僕達を陥れたのだから」 私は呆れて、ものが言えなくなっていた。  イルルグ様は、自分達の行為を棚に上げている。その上で私に助けてもらおうというのだ。  それはいくらなんでも、勝手すぎるのではないだろうか。私の心の中では、ふつふつと怒りが湧き上がっていた。「私はあなたにチャンスを与えているんです」 「……は?」 「以前あなたは一度失敗しました。しかし今は、やり直すことができる。私達を助けてくれるというなら、私もあなたのことを認めてあげましょう。以前のことは水に流して差し上げます」 イルルグ様に続いて、ウルーナ嬢も身勝手な言葉を投げかけてきた。  その言葉の数々に、私はゆっくりとため息をつく。この二人はどうしようもないくらい、ふざけた者達であるらしい。 そんなことを言われて、私が助けると本当に思っているのだろうか。私はそう思いながら、二人を睨みつけていた。  ただ私はそこで気付いた。私以上に鋭
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今の二人は

「……お前達は勝手だな」 「うん?」 「……どなたですか?」 「俺が何者であるかなど、それ程重要なことではない。そんなことよりも重要なのは、お前達のことだ」 セリード様は、イルルグ様とウルーナ嬢に対して少し荒々しい口調で言葉をかけていた。  その口調からは、彼の怒りが伝わってくる。それは私としては、嬉しいことだ。この場において、味方がいてくれることの心強さはやはり大きい。「お前達は恥知らずだ。身から出た錆をラナーシャ嬢に押し付けて、自らの非を省みないその様はなんともみっともないとしか言いようがない」 「な、なんだと?」 「あなた、何様のつもりですか? いきなり口を挟んで意味のわからないことを言って!」 イルルグ様とウルーナ嬢は、セリード様の素性にまったく気付いていないようだった。  身なりを見れば、身分くらいはわかるはずだろう。それなのにどうしてそこまで強気に出られるのかは、正直よくわからない。 いやもしかしたら、二人は既にそういったことを冷静に考えられない状態なのだろうか。よく見てみると目も据わっているような気がするし、既に限界ぎりぎりなのかもしれない。  もっともそれは、私にとっては関係がないことである。散々迷惑をかけられた私は、二人に対して同情する気持ちなんて当然わいてこない。今の二人は、ただの無礼な客でしかない。「俺が何者であるかなど、どうでもいいことだと言っているだろう。問題は、お前達のことだ。これ以上騒ぎ立てるというなら、こちらにも考えがある」 「な、何を……!」 セリード様の言葉に対して、イルルグ様は言い返そうとした。  しかし彼は言葉を紡ぐことはなかった。それはセリード様が手を上げて、憲兵が現れたからだろう。  今の二人は、リヴァーテ伯爵家の屋敷の前で騒ぐ暴徒の類だ。事情を話せば、あるいは話さなくても憲兵は拘束してくれるだろう。「ウルーナ! 逃げるぞ!」 「え、ええ……!」 それを悟ったのか、イルルグ様とウルーナ嬢は一目散に逃げ出した。  流石の彼らも、そのことがわからない程に落ちぶれてはいなかったということだろうか。 しかし、彼らに行くあてなどはないかもしれない。私を頼ってきたくらいであるし、そもそも行ける範囲に限界がある。もしかしたらあのまま、本当に路頭に迷うかもしれない。  とはいえ、結局の所それ
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