彼の後ろ姿をゆっくりと私は見つめた。 彼のパジャマの側面にハートの半分の形の模様がついている。 これは、私と二人でくっついて並ぶとハートの形になるデザインをしたおそろいのパジャマだ。 そのハートの色は、『ピンク』だ。 私の頭は、また『ピンク』に自然と反応していた。「これがあれば……」「わかる……」「いや、うまくいくか……」「なにもかも……」 会話なのかどうかさえわからない単語の集まりが、次から次に聞こえてきた。 声のする方に目をやると、私がその場所で立っていた。でも、その私が何かしゃべっているわけではなさそうだ。 その私の前に次から次に知らない人が入れ替わりやってきていた。本当に数えれないぐらいの人数だ。 そのさらに隣りには、いつもの光景に出てきていているあの年老いた男性がいた。 その私は拘束されていたりはしなくて、言動を制御されている様子はなさそうだ。 でも、感情を読み取りとりにくい顔をしている。 今そこにいる私はどんなことを思っているのだろうかと私は思った。でもやはり全くわからない。 年老いた男性は代わる代わるくる人の様子を見て、何かをまたタブレット端末に入力している。 その様子に私はデジャヴを激しく感じ、ゾクッとした。「これだけ試せば大丈夫だろう」 その声とともに、突然その場に強い光りが当てられた。 目を開けると、目の前にいる私は白いベッドで横たわっていた。 場面がいつの間にか変わったようだ。 そのベッドが家のベッドでないことはすぐにわかった。 私がいつも使っている肌触りのいい毛布がそこにはなかったから。 ボロくなってきていたけど、それじゃないとぐっすり寝れないから今も使っている。 そこにいる私は体を動かそうとしていたけれど、起き上がったりすることはできず手足を激しくバタバタさせていた。 口も大きく開けているけど、そこから声が聞こえてこないからきっと声も出ないようにされているだ。 そんなにまで拘束して、これから何をされるのだろうかと体が震えてきた。 でも、全身麻酔はされていないようだ。目はしっかり開いていて、意識もあるから。 年老いた男性ではなく、別の誰かわからない人がその場にいる私に近づいていく。その私は何かされていたけど、動きが早くて何をされているか私には一切わからなかった。 「これで終わりで
Last Updated : 2025-09-09 Read more