All Chapters of 幸せの評価制度: Chapter 21 - Chapter 29

29 Chapters

二十一章 「治らない病。消えることのない苦しみ」

「穂乃果。大丈夫だよ」 私が泣いているのを見て、彼は顔を近づけてきた。 私は、さらに大粒の涙が出てきた。流しても流しても涙は止まってくれない。「だって私には障害があるんでしょ? 発達障害のことは正直詳しくは知らないよ。でも障害っていうぐらいだから他の病気と違って、一生治ることってないんだよね??」 『障害』という言葉が私に重くのしかかる。 私がもし重い病気だったなら少しは心への負担は少なかったのだろうか。病気なら必ず完治するわけではないのはわかっている。病気には病気の辛さもきっとあるだろう。 でも、障害は治ることがないから。「そうだね」 彼は苦しそうな顔をしながら、頷いた。 「そんなことないよ」とたぶん私は言ってほしかったのだと思う。今の状況のどこかに、安心できることを見つけたいのだ。「一生今感じている苦しみは消えることはない。今後もずっとこの辛さはつきまとってくる。ずっとだよ? その辛さを蒼は想像できる?? 今まで生きてきて理由は知らなかったけどすごくすごく大変だったから、今後も変わらないことはこの私でも簡単に予想がつく。私はまだ耐えなきゃダメなの? 終わりはどこにもないの?? 希望なんて何もないじゃない。もうこれ以上耐えられないよ」 今までずっと押さえ込んでいた感情が一気にあふれ出した。 我慢なんてやはりするべきではない。 何事も人の三倍以上頑張ってやっと人並み程度にできた。勉強もクラブ活動も仕事を覚えることも全てそうだった。でもそれだけ努力してもできない時も結構あった。楽に何かができたと感じた時なんて一度もない。それなのにその大変さに誰も気づいてくれない。「すごいね」なんて言われる時さえあった。私は何もすごくはない。そうしなければできないからただ頑張っているだけだ。 それに何度も何度も失敗をしてきた。そのことを誰かに伝えることはほとんどなく、いつも一人落ち込んでいた。だってできなかったことを誰かに話してもできるようにはならなあだろうから。 できなかったことに落ち込むというよりは、またダメな自分を見つけてしまったことが辛かった。 それに、私が何も考えずに発言すれば、どこかズレているようで人に笑われた。私にはその理由は未だにわからないけど、何度も何度もたくさんの人に馬鹿にされてきた。 そもそも私は自分の気持ちをちゃんとわかってい
last updateLast Updated : 2025-09-19
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二十二章 「彼の覚悟」

「穂乃果、少しでもいいから、僕の話を聞いてほしい」 言葉がどんどん激しくなっている私に対して、彼は落ち着いた声で話してくる。「僕が何も理由もなく、穂乃果に対してひどい態度を今までとったことが一度でもあったかな? ゆっくりでもいいから思い出せたら思い出してみて」 その言葉は、諭す感じも考えを押しつけてくる感じもなかった。 だから、私は少し考えてみることにした。「なかった」 彼はいつも優しくてまじめだ。「そう言ってくれてありがとう。僕は今も、そしてこれからもずっと穂乃果のことを思っているよ」「本当に??」 私は目を真っ赤に腫らしながら、彼を見つめた。「うん。僕を信じてほしい。僕にとって穂乃果のことを守れないことが一番辛いから」「蒼がすぐに話してくれなかった理由は何だったの?」「それは穂乃果を守り、救いだすためだよ」「私を救うために、真実を隠していたの?」 私はその二つがどうつながるかわからなかった。「わかりにくいのも無理はないよ。僕の伝え方もきっと適切ではなかった。穂乃果の今の状況を変えるには、穂乃果自身で今の世の中の姿を知り、それを超える必要があった。当たり前だけど、世の中の仕組みを超えることは簡単じゃない。でも、僕には穂乃果を陰で支えて信じていることしかできなかった。本当はすぐに穂乃果に全てを伝えたかった。すぐに全て伝えなかったことは本当に申し訳ないと思っている。でも、一方でそれを伝えるだけでは何も変わらないとも僕は思った。だから、幸せの評価制度を作った会社自体に、僕がヘッドハンティングされるようにしむけた。彼らがほしがる情報を手にいれ、自分でリークした。確かに社会に貢献する仕事がしたいと働き始めた頃は思っていた。新入社員の挨拶の時、言った言葉は嘘じゃない。けれど、穂乃果に出会ってその気持ちより強い気持ちが僕の中で生まれた。病院から穂乃果を救い出した時、世の中に強く不信感を感じた。こんなひどくておかしなことが普通に行われているのは、明らかに間違っていると思った」 彼はさらに話を続けた。「そんな理由から穂乃果の障害については、知っていたけどすぐに話せなかった。それは本当にごめん。ただずっと気にはかけていたよ。そして、穂乃果の身にあることが起きることを僕は待っていた」「私のことを気遣ってくれてありがとう。そのあることとは何?」 彼
last updateLast Updated : 2025-09-20
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二十三章 「必要なのは『度合い』や『割引』じゃない」

「私は初めは、自分が幸せかどうかどうやって判断すればいいかわからなかった。だから『度合い』や『割引』があることはわかりやすくていいことなのかなと思ってた」 私は思い出しながらゆっくりと話した。 彼は私の目を見て話をちゃんと聞いてくれている。 それが当たり前でないことを今ならわかる。彼の行動一つ一つが私のことを考えてくれている。彼は私のことをたくさんたくさん思ってくれている。「でも、幸せについて考えていくうちに、それらに違和感を感じるようになってきた」「どんな違和感?」「うーん、なんというのかな。上手く言えないけど、何かが足りない感じ。それに自分のことなのに、どうして知りもしない他人や何かに完全に任せるのかなと思った」 私はさらに話を続ける。「そして、蒼のおかげで幸せの評価制度の全容を知ることができた。それを知ってからも、私はずっと幸せについて考えていた」 確かに気持ちは沈んだ。辛くてどうしようもなかった。でも、なんとか今までずっと考え続けることができた。「気になりだしてからずっと考えていて、穂乃果はすごいよ」 彼は私のことを褒めてくれた。 褒められることに対して、私はそんなにいいイメージをもっていなかった。私には、褒めている時、本気なのか軽い冗談なのかわからなかったから。それは今も変わらないけど、彼に褒めてもらえるとなんだか心の奥が温かくなった。 褒められるのも悪くないかもと思えた。「今でははっきりとこう言える。幸せの評価制度によって、勝手に決められ、与えられるものでは私たちは変わることはできない。特に私の場合は障害だから治ることはない。たくさん傷つけてきた私だからわかることや見えることってある。優しさには温かみがあるって私は思う。蒼の言葉はいつも温かい。でも、残念ながら温かみのない優しさを使う人も結構いる。ただ優しそうな言葉を言っているだけで、そこには心は全くこもっていない。確かにいかなる時も自分の気持ちに素直でいると様々な問題が起きるのはわかってるよ。きっと多くの人が『愛想笑い』をするのがそれに含まれるんだよね。でも、空っぽの優しさをもらっても私は全然嬉しくなんてない。その優しさが言葉だけだとわかった時、余計に辛くなるから。そして、どんなものやことであれ、他人から与えらたものだけで、私たちは変われない。今の状態から変わるってすごく大
last updateLast Updated : 2025-09-21
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二十四章 「心の支え」

 苦しみの真っ只中にいる人にとって、本当に必要なものとはなんだろう。 その人の心を支えられるものはなんだろう。 『優しさ』だけじゃ、まだ足りない気がした。 その時はきっと冷静にもなれないし、何かを正しく判断することも難しいだろう。苦しみの淵で一人でなんとか立っていられているだけなのだから。 その状態だと、優しさを受け取ることも難しい。 何もかもが無駄だったと頭が真っ白になっているから。 心にゆとりがないことが多かった私はそのことがよくわかる。 そんな時にも、心の奥まで響くものってなんだろう。 突然『光り』という言葉が頭に浮かんだ。 前触れもなく、そんな言葉が心にすーっと落ちてきた。それはとても不思議な感覚だった。 でも、嫌な感覚ではなかった。 もし全てを照らしてくれる『光り』のようなものがあれば、きっと人は苦しみにも耐えることができる。いや、もしかしたらそもそも苦しみと戦うことが間違っていて、それ以外の道があるかもしれない。 それがきっとその人の力となり、さらには心を救ってくれるものとなる。 でも、何が『光り』となり得るのだろう。 その答えを見つけるために、私は今まで辛い時何があったから頑張ることができていたか考えることにした。 自分が感じたことなら思い出しやすいだろうし、その時それでうまくいったのなら今後苦しくなっても何かの力になることがあるかもと思った。 それは、『言葉』だった。 記憶を辿るのに、時間がかかったけどしっくりくるものが見つかった。 基本的に一度ではわからなかったりできない私に、何度も何度も同じ言葉で励ましてくれた人がいた。そんな人は多くはいなかったけど、まるでパーソナルトレーナーのように私のことをいつも気にかけて言葉をくれた。また、言葉を言ってくれる人は誰でもいいわけではない。私のことを本気で考えてくれている人限定だ。 その一人に、もちろん彼もいる。いや、私にとって彼が誰よりも一番大きな存在だ。 人によっては同じことを何度も言われることを、嫌に思ったりプレッシャーに感じる人もいると思う。 でも、私は逆にさっきの条件に当てはまる人にそうされると支えられている気がして、辛い時も頑張ることができていた。 『光り』となり得るものは、きっと一つじゃないから、私に合うものはこれなのかなと思った。 さらに、新しい発
last updateLast Updated : 2025-09-22
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二十五章 「過去が照らし出したもの」

 私がどうして入院させられたのか、未だにはっきりとした理由がわかっていない。 誰も教えてはくれなかった。なぜか周りの人たちは不思議なぐらいそのことについて一切話してこなかった。 それは今後の私にも影響することかもしれない。原因がわかっていないとまた同じことが起こる可能性もあるから。 自分を守る行動をしっかりしたい。 その理由を確実に知っているのは、入院した病院だ。 そこに再び自分から飛び込んでいくという行動はやはりできそうにない。 もう私の意思とは関係なく、閉じ込められたくないから。 でも、電話でならなんとか聞けるかなと思った。 立ち止まっていてはダメだと思い、私はスマホを手にとった。 苦しみの中にずっといない方法を私は今探しているのだから。 それに入院理由を知ることで障害のこともわかるかもしれないから。「坂井 穂乃果と申します。ちょっとお伺いしたいことがあるのですがいいですか?」「はい。どうぞ」 電話口からは、明るいというよりは業務的な返事が返ってきた。「私は数年前にそちらの病院に入院していました。そのことで聞きたいことがあります」 きっと今私の声は震えている。 彼は隣で「大丈夫」と言ってくれている。「はい。どのようなことでしようか? お調べします」 電話に出た人は、そう言いながら私の生年月日や住所を聞いてきた。 電話の向こうからは、人が叫ぶ声が聞こえてきた。 その内容までわかるほど声は大きく、感情がもっていかれそうなぐらいひどいものだ。 それなのに、この電話に出ている人は慌てることなく淡々としていることに恐怖を感じた。 この病院にとって、今の状況は『特別』ではなく、日常なのだろうか。 そんな場所に私が以前いたかと思うと、ますます不安になってきた。「私がそちらの病院に入院した経緯を教えてください」「はい。少々お待ちください」 電話をしている間、彼はずっと私の手を握ってくれている。 私は、自然と彼の手を握る力が強くなっていた。「坂井 穂乃果さんですね。入院されたのは患っている障害により合併症がひどく現れたためです。それは主に希死念慮です。わかりやすく言えば自殺したい衝動が自分では抑えられない状態です」「ありがとうございます。あと、もしよければその患っている障害についても少しだけ聞きたいのですがいいですか?」
last updateLast Updated : 2025-09-23
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二十六章 「どうしてあなたは」

 どうして彼はこんなに障害に詳しいのだろう。 彼はもちろん医者でもなければ、医療系の学校に行っていたという話を聞いたこともない。 発達障害という名前ぐらいは知っていても、詳しく知らない人の方が遥かに多い気がする。メディアで取り上げられいても、わざわざそのことについて調べる人は少ないだろう。だから認知度や理解はきっとまだまだ低い。それに本人である私ですら、わからないことがあるのだから。人によってでてくる症状も様々なところが発達障害をよりわからないものにさせているとも彼は言っていた。 また、どうして障害のある私を拒否せず、理解を示し無条件で受け入れてくれるのだろう。 普通障害があると聞くと、一歩引いてしまいそうなものだ。さらに、夫婦として一緒にいるなら大変なことの方が圧倒的に多い気もする。障害があるとわかったのは最近だけど、先天性のものだからこれまでにも彼の前で変な発言や行動をきっとしてきただろう。 なんでそんなことするのかな? とわからない時もたくさんあっただろう。苛立ったときもあったかもしれない。でも彼は普通と違い変わった人である私と、別れるという道を選ばずに結婚までしてくれた。 私たちは確かに愛し合っている。でも障害とはそれ以上に大変なもので、どんなに愛があっても乗り越えられないかもしれない。いつか彼の心が限界を超えて私を振る時がきたら、それはすごくすごく悲しいけれどそれよりもそんなになるまで心を痛めつけて申し訳ないと私は後悔する。 彼は私といて、幸せと少しでも感じているのだろうか? もし感じていないなら、できるだけ早く私から離れていく方がいいのではないだろうか。 一人で考えていると、どうしてもマイナスな方にばかり考えてしまう。「蒼はどうしてそんなに障害についての知識があるの?」 結局私は、また彼に頼ってしまった。 本当は彼の時間を私のために使わせたくないと思っている。私が何かすると大概面倒なことになるから。毎回同じことをぐるぐると繰り返してしまう。「それは、穂乃果のことをもっと知りたいと思い、発達障害に関する本をたくさん読んだからだよ」 確かに彼は読書が趣味の一つでもある。それでも私はまた質問せずにはいられなかった。気になることをそのままにしておくことがやっぱりできない。「わざわざ私のために、一から勉強してくれたの?」「そうだ
last updateLast Updated : 2025-09-24
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二十七章 「向き合う覚悟」

 私は、『障害』と向き合う覚悟を決めた。 ずっと現実を受け入れたくないと思っていた。いや、自分に障害があることがどうにもしっくりときていなかった。辛いことは確かにあるけど、私がもっと頑張ればなんとかなると思っていた。 でも、過去の辛かったことを思い出し、障害の特徴と照らし合わせてみると、あれは実は障害のためにできなかったのかと納得のいくことがいくつかはあった。 自分が障害とまっすぐ向き合えていないとわかった。 苦しくなることは、今後も変わらずたくさんあると思う。それがなくなることは決してない。 向き合うことで何が変わるか、現時点ではわからない。もしかしたら何も変わらないかもしれない。 苦しいことにわざわざ目を向けるのはとても勇気のいることだし、前に進むことが怖い気持ちももちろんある。 基本今のことだけですぐに頭がいっぱいになる私だけど、障害のことを考えると未来のことが少しだけ頭に浮かぶ。 未来のことを色々と考えたことなんて今までほとんどなかった。そもそもそんな発想が私にはなかった。未来のことを考えるとこんなにも苦しくなるのかと、正直戸惑っている。 でも、苦しみは何もしないでいつの間にか完全に消えてしまうということはない。それは私の今までの経験からよくわかっている。 確かに『時間』が解決してくれることもあると思う。でも苦しみの根本とはいつかは向き合わなければいけない。根本を取り除かないと苦しみはいつまでも消えずに、心の中に居続ける。全て向き合うことで、本当の意味で問題解決できたといけるのではないだろうか。 そもそも私はこの短期間で本当にたくさんのことを考えてこれた。まずはそのことをめいっぱい褒めたい。少し前に彼に褒めてもらえて嬉しかったから、今度は自分で自分を褒めてみようと思った。いいことはどんどん増やしていっていいから。きっと自分を褒めることはおかしなことではない。 そして、一生治らないのであれば、できない自分をずっと責めるより、『障害だからまあ仕方ないよね』と少しでも障害を受け入れた方が気持ちが楽になる気がした。 また、今の気持ちや感じたことを、大塚に伝えに行かないと決めた。 たとえ私がなんと言おうと、相手はおもしろがるだけだろうから。もうそんな風に誰かに振り回されたくない。わざわざ相手の思う壺になる必要はない。 そのことは彼にも
last updateLast Updated : 2025-09-25
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二十八章 「私にできること、あなたにお願いしたいこと」

 私には発達障害のためにできないことがある。 どんなに頑張っても、悲しいけれどできない。でも、ただ嘆いていても何も変わらないと思った。 私の様々な能力をもしグラフで表したら、すごくでこぼこしていると思う。できることととできないことには、かなりの差があるようだから。 他の人のグラフは、きっとそんなに差はなくどれも平均値ぐらいの数値で、でこぼこはしていないだろう。きれいな形をしていると思う。 不恰好ででこぼこな私には、きれいな形をしている他の人のことが羨ましかった。 他の人を羨む気持ちはまだどうしても頭に浮かんでくる。 でも、そんな私にもできることは多少はあることは確かだから、できることに意識を向けたいと思った。 私は辛さをずっと抱えたままではなく、先に進みたいのだから。 私ができることってなんだろう。 何かを継続することは割と得意だと思う。集中することも得意だ。単純作業も苦だとは思わずすることもできる。 また、アイデアを考えたり絵を描いたりという物作り系は全般的に好きだ。 好きというワードで考えると、子どもは好きだ。小さな子に会うといつも懐かれる。また、街中でも、なぜかおじいちゃんやおばあちゃんにもよく声をかけられる。子どもやお年寄りの相手をする仕事は向いてるかもしれない。 話をすることは苦手だけど、話を聞くことはもしかしたらできているかもしれない。または、私に他の人よりも話しかけやすい雰囲気があるという可能性もある。 こうやって考えることは思っていたより楽しかった。自分のできることに目を向けるの悪くないと思った。これからもっともっと自分のできることを探していこうと決めた。 そして、できることをさらに伸ばして、できないことは彼や周りの人に手助けしてもらおうと思った。「できない」と言うことも、助けてもらうことも自分の人生をよくするためならしてみようと思えた。確かに相手にとってはそれをすることで、大変になることもあるかもしれない。でも、まずは私がこれができないと伝えることが大事で、それにはきっと意味があると思った。 相手に余裕がなければ何もしてもらえないこともあるだろうけど、まず私のことを知ってほしい。 だから、私はまた彼の書斎のドアをノックした。 すぐに「入ってきていいよ」と声が返ってきた。 そもそも私たちは基本家にいる時は、いつも
last updateLast Updated : 2025-09-26
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二十九章 「幸せとは」

私は『幸せ』について再度考えてみることにした。 これまで何度も考えてきた。考えることで、本当に様々なこと知った。きっと今なら前よりもたくさんのことが浮かぶ自信があった。 何かに自信がもてるようになったのも、幸せについて考えるようになってからだ。それまでは、何かができても「私なんてたいしてことない」と素直に受け入れられなかった。 自分でもこんなに変わったことに驚いている。 人は、いつでも変わることができるようだ。きっかけさえあれば大きく現状が変えられる。 私が幸せと感じるには、自分自身を大切にできていることだけでなく、『愛する人が幸せでいること』も大切なことだとわかった。 だっていくら私がしたいことなどをたくさんできて心が満たされていても、彼の苦しそうな顔をみると私はそれを無視したまま笑顔ではいられないから。ほっておくことなんてとてもできない。 彼がそばにいて素敵な顔をしていると、私も元気をもらえるし嬉しい気持ちになる。 私は、彼と共に『幸せ』を掴みたい。 それは平坦な道ではないかもしれない。違う考えをもった二人が、お互いに無理したり我慢しすぎに支え合う。言葉だけだとそこまで難しく聞こえないけど、歩み寄り、二人でちょうどいい距離感を見つけてることはきっと私が思っているよりずっと時間や労力がかかることだろう。何も障害や病気をもっていない二人でもそれを見つけることは難しいかもしれない。 私には、障害がある。 それでも、私は幸せになることを諦めたくない。どんなに困難なことに直面しても、たとえ心が疲れても、その思いだけは揺らがない。 そして、彼に支えられるだけでなく、私も彼を支えたいと思った。確かに私のできることはすごく小さなことかもしれない。障害のためにきっと私の方が彼に大変な思いをさせることが多いと思う。これまで彼が大変な思いをしていることにさえ気づけない時がたくさんあっただろう。また、彼がたくさん愛情を注いでくれているのに、私はそれにも気づけず、「なんで私のことをわかってくれないの?」と勝手に一人もやもやもしていた。ひどい言葉を言ったこともあったかもしれない。 私は一つの感情に支配されやすいし、すぐにいっぱいいっぱいになって何事も一気にはできない。それは本当に申し訳ないと感じている。ふとその今の気持ちを言葉にしてみようと思った。上手く言えるか
last updateLast Updated : 2025-09-27
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