炎上から一夜が明けた。 カーテンを閉め切った部屋は、昼間だというのに薄暗い。 テーブルの上には、昨日の夜から手をつけていない食事が、すっかり冷たくなって置かれていた。 私はベッドの布団にくるまり、外の情報を全て遮断していた。 スマホは電源を切って、部屋の隅に追いやられている。もう何も見たくない。何も聞きたくない。(私が有名になんてならなければ、こんなことにはならなかったんだ) 薄暗い中、泣きすぎて腫れた目で私は思った。(私のせいで、オーナーさんにも迷惑をかけた。ルナとマロンも、ネットで酷いことを言われて……もう、全部私のせいだ。私が、この子たちを不幸にしてる) 自己嫌悪の沼に、ずぶずぶと沈んでいく。 枕元ではルナが座って、心配そうに私の顔をじっと見つめている。 ベッドのすぐ下からは、マロンが「クゥン」と悲しそうな鼻を鳴らす声が聞こえた。 二匹が私を心配してくれている。 その事実が、今はかえって辛かった。 と。 ピンポーン、と。 無機質なインターホンの音が、静まり返った部屋に響いた。 私は布団の中で、さらに体を固くする。(誰かが来た。宅配便? ううん、きっと拓也かマスコミだ。居留守を使おう。もう、誰にも会いたくない) インターホンは一度きりで鳴りやんだ。 けれど今度はドアを直接、コン、コン、と優しくノックする音が聞こえる。 拓也の乱暴なノックとは全く違う、物静かで忍耐強い音だった。 しばらくして、ドアの向こうから落ち着いた声が聞こえてきた。 蓮さんの声だった。「みのりさん。篠宮です。そこにいるのは分かっています。……心配で来ました。あなたの顔を見るまで、ここを動きません」(蓮さん……なんで……。こんな姿、見せられない。幻滅されるに決まってる) それでも彼の声には不思議な力があった。 会いたくないの
Last Updated : 2025-09-17 Read more