Semua Bab 離婚から始まる恋: Bab 21 - Bab 30

33 Bab

9-4

 自宅に帰った後、俺は一人でソファに座り込んだ。 今日一日を振り返ると、蓮の愛の深さ、真剣さがひしひしと伝わってきた。彼は本気で俺と人生を歩んでいこうと思っている。故郷を見せてくれたのは、その何よりの証拠だった。彼にとって俺は、もう人生の一部になっているのだろう。 でも、俺はどうだろう。 蓮のことは確かに大切に思っている。彼といると心が温かくなるし、彼の笑顔を見ていると世界が美しく見える。でも、それだけで十分なのだろうか。愛するということは、相手の人生に対して責任を持つことでもあるのではないか。 男同士の関係に対する世間の目。家族や友人の反応。将来への不安。そして何より、俺自身の迷い――これらすべてを乗り越えて、彼を愛し抜く自信が俺にあるだろうか。 俺は頭を抱えた。 もしかしたら、俺は蓮を傷つけることになるのかもしれない。中途半端な気持ちで関係を続けて、最終的に彼を裏切ることになるのかもしれない。それなら、今のうちに距離を置いた方がいいのではないか。短い痛みで済むうちに。 スマートフォンの画面に、蓮からのメッセージが表示された。『今日は本当にありがとうございました。藤崎さんと一緒に故郷を歩けて、とても幸せでした。藤崎さんにとっても、少しでも良い時間になっていれば嬉しいです。またお時間があるときに、お会いできればと思います』 俺の胸が、鋭い痛みで満たされた。こんなにも純粋に想ってくれている人を、俺は裏切ろうとしているのか。彼の優しさ、誠実さ、愛情の深さ――すべてが俺を苦しめた。 でも、今のまま続けても、結局は彼を傷つけることになる。俺の覚悟が中途半端なまま関係を深めても、幸せな結末は迎えられないだろう。むしろ、彼により深い傷を負わせることになるかもしれない。 俺は震える指でメッセージを打った。『今日はありがとうございました。でも、橘さん……』 そこで指が止まった。なんと書けばいいのかわからなかった。「関係を見直したい」「距離を置きたい」「やっぱり俺たちは無理だと思う」――どの言葉も、蓮を深く傷つけるだろう。彼の純粋な心を、俺の勝手な都合で踏みにじることになる
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-09-24
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第十章 再会の夜

 美奈との再会は、思いがけず俺の心を軽くしてくれた。 駅前のカフェで向かい合って座りながら、俺は久しぶりに素直な気持ちで誰かと話をした。美奈は変わらず聡明で優しく、俺の話を最後まで聞いてくれた。「悠真らしいね」 俺が蓮との出会いから今の迷いまでを話し終えた後、美奈は小さく微笑んでそういった。「らしいって?」「真面目すぎて、一人で抱え込んじゃうところ。私たちが離婚したときも、結局最後まで一人で悩んでたでしょう」 確かにそうだった。美奈との結婚生活でも、俺は問題を一人で背負い込み、解決しようとしていた。でも、それが結果的に二人の距離を遠ざけることになった。「でもね、今度は違うと思う」「何が?」「悠真の表情。私と一緒にいたときとは全然違う。その人のことを話しているとき、本当に嬉しそうだったもの」 美奈の言葉に、俺は驚いた。自分では気づかなかったが、蓮のことを話しているとき、自然と俺の表情は穏やかになっていたのかもしれない。「世間体や常識に縛られて、自分の気持ちを抑えてしまうのは、悠真にとって一番よくないことだと思う。私たちの結婚もうまくいかなかったのは、お互いに本音をいえなくなってしまったからかもしれないね」 美奈の言葉が、胸に深く刺さった。確かに俺たちは、いつの間にか本音を言い合うことをやめてしまっていた。形だけの会話、形だけの笑顔、表面的な愛情。「今度は違う人生を歩んでほしい。本当に愛し合える人と」 美奈の声には、離婚した元夫を心配する優しさがあった。恨みも憎しみも感じられない、ただ純粋な思いやりだった。「ありがとう、美奈」「私こそ、話してくれてありがとう。悠真が本当の気持ちを見つけられそうで、嬉しいわ」 美奈と別れた後、俺の心は不思議と軽やかになっていた。まるで長い間胸に溜まっていた重いものが、少しずつ消えていくような心地だった。 でも、家に帰る道すがら、俺は気づいた。美奈に話をしている間、俺は自然と蓮のいいところばかりを語っていた。彼の優しさ、誠実さ、そして俺を想ってくれる深
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10-2

 公園に着くと、蓮はすでにあのベンチに座って俺を待っていた。遠目に見ても、その肩が小さく震えているのがわかった。きっと、最悪の事態を覚悟しているのだろう。「お待たせしました」 俺が近づくと、蓮が振り返った。その瞳には、深い不安と恐怖が宿っている。まるで、大切なものを失うことを覚悟した人の目だった。「いえ……」 蓮の声が、かすれている。俺はその隣に座った。二人の間に流れる緊張した空気が、肌にまとわりつくようだった。「橘さん」「はい」「昨日は、ありがとうございました。本当に素敵な故郷でした」 蓮の表情が、わずかに和らいだ。でも、まだ不安は消えていない。「でも、俺の様子がおかしかったのは確かです。橘さんに心配をおかけして、申し訳ありませんでした」「いえ、俺こそ……無理にお誘いしてしまって」「違います」 俺は蓮の方を向いて、真っすぐに彼の目を見つめた。「橘さんは何も悪くありません。悪いのは、一人で悩み込んで答えを出そうとしていた俺です」 蓮の瞳が、困惑に満ちている。俺の言葉の意味をつかみかねているのだろう。「俺は……怖かったんです」「怖い?」「橘さんの気持ちに応えられるかどうか。俺たちの関係が深くなることで、橘さんを傷つけることになるのではないかと」 蓮の表情が、徐々に理解を示し始めた。俺が彼を拒絶しようとしていたわけではないことが、少しずつ伝わっているようだった。「世間の目や、家族の反応、そして俺自身の迷い……それらすべてを考えると、自分に橘さんと一緒にいる資格があるのか、わからなくなってしまって」「藤崎さん……」「でも、今日友人と話をして、気づいたことがあります」 俺は深呼吸した。これから口にする言葉が、俺たちの関係を決定づけることになる。もう、引き返すことはできない。「俺は、橘さんのことを心から愛しているということです」 蓮の目が、大きく見開かれた。まるで信じられないものを見ているよう
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-09-25
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10-3

 蓮がゆっくりと俺に顔を近づけた。その瞳が、俺の許可を求めている。俺は静かに頷いた。 月明かりの下、俺たちの唇が重なった。 最初は触れるだけの、羽のように軽いキス。でも次の瞬間、蓮の手が俺の頬を包み込み、キスは深く、情熱的なものに変わった。 俺は目を閉じて、蓮の唇の温かさに身を委ねた。彼の唇は想像以上に柔らかく、甘い息が俺の肺に流れ込んでくる。蓮の舌が俺の唇をそっとなぞり、まるで許しを求めるように触れた。 俺は自然に唇を開いた。 蓮の舌が俺の口の中に滑り込んできたとき、俺の身体に電流が走った。こんな感覚は初めてだった。美奈とのキスでは感じたことのない、深い部分まで溶かされるような甘美な痺れ。 蓮の舌が俺の舌に絡みつき、まるで踊るように触れ合う。俺は無意識に小さく声を漏らした。その音に反応して、蓮の腕が俺の腰に回り、身体を引き寄せる。 俺たちの身体が密着した。蓮の厚い胸板や筋肉が、俺の身体に優しく触れる。彼の鼓動が俺の胸に伝わってきて、二人の心臓が同じリズムで鳴っているような錯覚を覚えた。 蓮は俺の髪を優しく撫でながら、さらに深くキスをしてきた。俺も夢中で蓮の首に腕を回し、その髪の柔らかさを指先で感じた。 キスをしながら、俺たちは互いの体温と鼓動を分かち合った。蓮の口の中は温かく、彼特有の香りが俺の感覚を満たしていく。時間の感覚が失われ、この瞬間が、永遠に続いてくれればいいのにと、強く願った。 やがて、蓮がゆっくりと唇を離した。俺たちは息を切らしながら、額を寄せ合った。お互いの荒い息遣いが、静寂の中に響いている。「藤崎さん……」 蓮の声がかすれている。その瞳には深い愛情と、少しの戸惑いが宿っていた。「すみません……夢中になってしまって」「いえ……」 俺も息が上がっていた。唇にはまだ蓮のぬくもりが残り、もう一度キスしたいという気持ちを必死で抑えていた。「俺も……初めてこんな気持ちです」 蓮の手が俺の頬を撫でた。その優しいタッチに、俺の心は再び大きく揺れた。「藤崎さんとキスできて……
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-09-25
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第十一章 初めてのときめき

 蓮の部屋を訪れる日、俺の心は朝から落ち着かなかった。 鏡の前で何度も髪を直し、服装を変え、香水をつけてみてはやめて、を繰り返した。まるで初デートを控えた学生のような気分だった。三十二歳にもなって、こんなに緊張するとは思わなかった。 でも、それは当然のことかもしれない。今日という日が、俺たちの関係にとってどれほど特別な意味を持つのか、俺にもわかっていたから。 ――あの夜のキスから一週間。俺の心は、ずっと宙に浮いたままだった。 蓮の住むマンションは、俺の想像よりもずっと綺麗で落ち着いた場所にあった。エントランスの自動ドアが開くと、ほのかにコーヒーの香りが漂ってくる。高級感のあるロビーに、観葉植物が丁寧に配置されていた。 インターホンを押すと、すぐに蓮の声が聞こえた。「藤崎さんですね。今、下に降ります」 待っている間、俺の心臓は太鼓のように響いていた。手のひらに汗が滲み、無意識にハンカチで拭った。 エレベーターの扉が開くと、蓮が現れた。いつものスーツ姿ではなく、白いシャツにネイビーのカーディガンという、リラックスした装いだった。その姿を見ただけで、俺の胸が甘く痛んだ。「お待たせしました」「いえ……お招きいただいて、ありがとうございます」 俺たちの間に、微妙な遠慮が生まれている。恋人同士になったとはいえ、まだこういった状況に慣れていない証拠だった。エレベーターの中で、蓮の体温が俺の肌に伝わってくる。狭い空間に二人きり。それだけで俺の呼吸が浅くなった。 蓮の部屋は八階にあった。ドアが開くと、彼らしいシンプルで整然とした空間が広がっていた。余計な装飾はなく、必要最低限のものが丁寧に配置されている。でも、所々に彼の人柄を感じさせる小物があった。本棚には警備関連の専門書と、料理のレシピ本が並んでいる。テーブルの上には観葉植物が何気なく置かれている。窓際には、手入れの行き届いたコーヒーメーカーがきちんと置かれていた。「どうぞ、くつろいでください」 ソファに並んで座り、蓮が淹れてくれたコーヒーを飲みながら他愛もない話をした。ただ、
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-09-26
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11-2

「藤崎さん……俺、もう我慢できません」 蓮の言葉に、俺の理性の最後の糸が切れそうになった。でも同時に、強い不安も湧き上がった。美奈との関係とは全く違う世界。男性同士の愛の形。本当に大丈夫なのだろうか。「でも……俺、こういうことは初めてで……男性とは……」 俺の不安を察したのか、蓮の手が俺の頬を包み込んだ。その手のひらの温かさに、俺の震えが少し収まった。「大丈夫です。俺も……男性とは初めてです」 蓮の告白に、俺は驚いた。てっきり彼の方が経験豊富だと思っていたのに。あの自信に満ちた態度の裏に、俺と同じ不安があったなんて。「一緒に覚えていけばいい。お互いに教え合いながら……愛し合いながら」 蓮の優しい言葉に、俺の不安が少しずつ和らいでいった。この人となら大丈夫。心からそう思えた。「お願いします」 俺がそういうと、蓮の瞳が深い愛情で潤んだ。まるで世界一大切な宝物を見るような眼差しだった。「藤崎さんを傷つけるようなことは絶対にしません。約束します」 蓮が俺を抱き上げ、ベッドルームへ向かった。俺の身体は震えていたが、それは恐怖ではなく期待だった。ついに、本当の意味で蓮と一つになれる。その事実に、俺の胸は高鳴った。 ベッドルームは、リビング以上にシンプルだった。でも、ベッドサイドには小さな照明があり、温かい光を投げかけている。その光に照らされて、蓮の表情がより優しく見えた。 ベッドに優しく降ろされながら、俺は蓮の瞳を見つめていた。そこには深い愛情と、俺への気遣いが宿っている。この人になら、すべてを委ねることができる。心も、身体も、魂の奥底まで。 蓮の手が、そっと俺のシャツのボタンに触れた。その指先が微かに震えているのに気づいて、俺の胸が熱くなった。蓮も緊張している。でも、その緊張は俺への愛情の表れでもあった。「いいですか?」「はい」 一つ、また一つと、ボタンが外されていく。蓮の指が俺の肌に触れるたびに、電流のような感覚が全身を駆け抜けた。シャツが肩から滑り落ちると、冷たい空気が俺の肌を撫でた。でも、蓮の視線
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-09-26
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11-3

 蓮の手が俺のベルトに触れた。彼も同じ状態になっているのが、俺の太ももに感じられた。硬く熱いものが、俺の脚に押し付けられている。お互いの興奮が直接伝わってきて、現実感が増した。「俺も……同じです」 蓮が恥ずかしそうにいった。その表情があまりにも愛らしくて、俺は思わず彼の頬にキスをした。普段の冷静な蓮からは想像できない、純真な少年のような表情だった。「大丈夫……恥ずかしがらないで」 お互い最後の衣服も脱ぎ捨て、俺たちは裸で抱き合った。肌と肌が直接触れ合う感覚は、想像以上に親密で甘美だった。蓮の体温が俺の全身を包み込み、まるで二人で一つの生き物になったような感覚だった。 蓮の屹立したものが俺の腹部に触れ、俺のものも彼の腹部に押し付けられている。お互いの興奮が直接伝わってきて、俺の理性が溶けそうになった。こんなにも近くで、男性の身体を感じるなんて。でも、恐怖よりも愛おしさの方が勝っていた。 蓮の手が、俺の一番敏感な部分を包み込んだ。「んんっ……あぁ……!」 俺の身体が激しく震えた。美奈にされるときとは全く違う、深い部分まで響く快感だった。蓮の大きな手が俺のものを優しく握り、ゆっくりと上下に動かし始める。その手つきは慣れないながらも、俺への愛情に満ちていた。「大丈夫ですか? 痛くないですか?」 蓮の気遣いの言葉に、俺の胸が熱くなった。男性同士の行為に不慣れながらも、俺を思いやってくれる優しさ。その心遣いが、俺の心を深く揺さぶった。「大丈夫……気持ちいいです」 俺の正直な返事に、蓮の手の動きがより丁寧になった。親指で先端を軽く撫でられると、俺の腰が跳ね上がった。「あ……そこ……」 俺も蓮の身体に触れた。彼の欲情したものは俺よりも大きく、手に収まりきらないほどだった。触れると、蓮も俺と同じような声を漏らした。「藤崎さん……んっ……」 蓮の先端から透明な液体が滲み出ているのを見て、俺の興奮はさらに高まった。こんなにも俺のことを欲してくれているのだと思うと、嬉しくて胸が熱くなった。自分がこんなにも愛されているという実感。それ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-09-27
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11-4

「愛しています」 蓮が俺の髪を撫でながら囁いた。その声は、深い愛情に満ちていた。「俺も……愛しています」 俺は蓮の胸に顔を埋めた。彼の心臓の音が、まるで子守唄のように俺を包み込んでくれる。力強くて、優しい鼓動。その音を聞いていると、俺は本当に愛されているのだという実感が湧いてきた。 これこそが本当の愛なのだと、改めて実感した。身体だけでなく、心と心、魂と魂がしっかり繋がっているという深い安心感と幸福感。美奈との結婚生活では、決して手にできなかった充実感を今は感じている。以前の自分は、本当の愛が何なのかも知らず、ただ形だけの関係を続けていただけだった。でも今は違う。蓮の腕の中で、「愛されている」と心から実感することができた。「藤崎さん」 蓮が俺の名前を呼んだ。俺は顔を上げて、彼を見つめた。「ありがとうございます」「何をですか?」「俺を……受け入れてくれて」 蓮の瞳に、深い感謝の気持ちが宿っていた。「俺の方こそ……こんなに幸せにしてくれて、ありがとう」 俺たちは再び唇を重ねた。今度は激しいものではなく、愛情を確かめ合うような、優しいキス。唇を離すと、蓮が俺の額に軽くキスをした。「これからも、ずっと一緒にいてください」「はい……ずっと」 蓮の腕の中で、俺は心から安らいでいた。もう一人ぼっちではない。愛し愛される人がいる。この人と一緒なら、どんな困難も乗り越えていける。そんな確信が、俺の心を満たしていた。 窓の外では、夕日が美しいオレンジ色に街を染めていた。一日が終わろうとしていた。でも、俺たちにとっては終わりではなく、始まりだった。新しい人生の第一歩。「橘さん」「はい」「俺……今まで本当の愛を知らなかったんだと思います」 蓮の手が、俺の頬を優しく撫でた。「俺もです。藤崎さんに出会うまでは」「離婚したとき、もう二度と愛なんて要らないと思っていました。でも……」「でも?」「あなたに出会って、愛
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第十二章 新しい人生へ

 目を覚ましたとき、最初に感じたのは蓮の体温だった。 俺の身体に密着する彼の腕、規則正しい寝息、そして肌から立ち上る男性的な香り――それらすべてが現実であることを実感させてくれる。昨夜、俺たちは本当に愛し合った。心も身体も、完全に一つになった。 蓮の寝顔を見つめていると、胸の奥が甘く痛んだ。普段のクールな表情からは想像できないほど穏やかで無防備な顔。長いまつげが頬に影を落とし、少し開いた唇からは浅い寝息が漏れている。 こんな表情を見ることができるのは、きっと俺だけ。 その特別感が、俺の心を深く満たしていく。 そっと手を伸ばして、蓮の頬に触れた。ひげがうっすらと生えていて、男性らしい手触りが指先に伝わる。その感触は美奈の柔らかい肌とはまったく異なるけれど、この違いがかえって愛おしく感じられた。 これが俺の選んだ人。俺を選んでくれた人。 蓮がゆっくりと目を開けた。最初はぼんやりしていた瞳が、俺を認めると一気に愛情深い光を湛えた。まるで世界で一番大切なものを見つけたような表情。その眼差しに見つめられると、俺の心臓が甘く跳ねた。「おはようございます、藤崎さん」「おはよう……蓮さん」 初めて下の名前で呼んでみた。その響きが、俺の口の中で蜂蜜のように甘く転がった。昨夜を境に、俺たちの関係は確実に変わったのだ。もう他人行儀な距離感は必要ない。「蓮さん……」 もう一度呼んでみると、まるで最初からそう呼びなれていたみたいに、自然と口から名前がこぼれた。「その呼び方……いいですね」 蓮の表情が嬉しそうに緩んだ。そして、俺の額に軽くキスをした。唇の柔らかい感触が額に残り、愛されているという実感が全身に広がっていく。「昨夜は……ありがとうございました」 蓮の声には、深い感謝の気持ちが込められていた。「俺の方こそ……こんなに幸せにしてくれて」 本当にそう思えた。昨夜の出来事は、俺の人生を大きく変えてくれた。愛とは何か、本当に愛されることがどういうことなのか――そのすべてを感じさせてくれた、大切な体験だっ
last updateTerakhir Diperbarui : 2025-09-28
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12-2

「藤崎さん」「何ですか?」「昨夜のことを後悔していませんか?」 蓮の声には、ほのかな不安がにじんでいた。自然と、俺は彼の顔を見つめてしまった。 「どうしてそんなことを?」「男性同士で愛し合うということに、戸惑いを感じているのではないかと思って」 蓮の心配そうな表情を見て、胸が締めつけられる思いだった。彼は、こんなにも自分のことを気遣い、思ってくれているのだと実感した。  「後悔なんて、微塵もありません」 俺は蓮の手を両手で包み込んだ。その手は大きくて、少し冷たくて、でもとても温かかった。「確かに、男性とお付き合いするのは初めてですし、戸惑いもあります。でも……」 俺は蓮の瞳を真っすぐ見つめた。「それ以上に、あなたと一緒にいると心が満たされるんです。こんなに愛されていると実感できるのは、生まれて初めてです」 俺の言葉に、蓮の表情が安堵でふっと和らいだ。「俺も同じです。藤崎さんといると、今まで知らなかった幸せを感じます」 俺たちは自然に唇を重ねた。朝の優しいキス。昨夜の激しいものとは違う、愛情を確かめ合うような穏やかなキス。唇を離すと、蓮が俺の髪を撫でた。「これからのことを、一緒に考えていきましょう」「はい」 現実的な問題はたくさんある。職場の人たちにどう説明するか、住む場所をどうするか、お互いの家族にどう話すか。でも、それらの問題も、蓮と一緒なら乗り越えていける気がした。「まずは……お互いの仕事のことを考えなくてはいけませんね」「そうですね。でも、急ぐ必要はありません。ゆっくりと、一つずつ解決していけばいい」 蓮の落ち着いた声に、俺の不安がすっと和らいだ。この人は、いつも俺の気持ちをわかってくれる。そして、一緒に最善の方法を考えてくれる。 こんなに頼もしいパートナーがいるなんて、俺は本当に幸せ者だ。「蓮さんと出会えて、本当によかった」 俺の心からの言葉に、蓮の表情が愛おしそうに和ら
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