自宅に帰った後、俺は一人でソファに座り込んだ。 今日一日を振り返ると、蓮の愛の深さ、真剣さがひしひしと伝わってきた。彼は本気で俺と人生を歩んでいこうと思っている。故郷を見せてくれたのは、その何よりの証拠だった。彼にとって俺は、もう人生の一部になっているのだろう。 でも、俺はどうだろう。 蓮のことは確かに大切に思っている。彼といると心が温かくなるし、彼の笑顔を見ていると世界が美しく見える。でも、それだけで十分なのだろうか。愛するということは、相手の人生に対して責任を持つことでもあるのではないか。 男同士の関係に対する世間の目。家族や友人の反応。将来への不安。そして何より、俺自身の迷い――これらすべてを乗り越えて、彼を愛し抜く自信が俺にあるだろうか。 俺は頭を抱えた。 もしかしたら、俺は蓮を傷つけることになるのかもしれない。中途半端な気持ちで関係を続けて、最終的に彼を裏切ることになるのかもしれない。それなら、今のうちに距離を置いた方がいいのではないか。短い痛みで済むうちに。 スマートフォンの画面に、蓮からのメッセージが表示された。『今日は本当にありがとうございました。藤崎さんと一緒に故郷を歩けて、とても幸せでした。藤崎さんにとっても、少しでも良い時間になっていれば嬉しいです。またお時間があるときに、お会いできればと思います』 俺の胸が、鋭い痛みで満たされた。こんなにも純粋に想ってくれている人を、俺は裏切ろうとしているのか。彼の優しさ、誠実さ、愛情の深さ――すべてが俺を苦しめた。 でも、今のまま続けても、結局は彼を傷つけることになる。俺の覚悟が中途半端なまま関係を深めても、幸せな結末は迎えられないだろう。むしろ、彼により深い傷を負わせることになるかもしれない。 俺は震える指でメッセージを打った。『今日はありがとうございました。でも、橘さん……』 そこで指が止まった。なんと書けばいいのかわからなかった。「関係を見直したい」「距離を置きたい」「やっぱり俺たちは無理だと思う」――どの言葉も、蓮を深く傷つけるだろう。彼の純粋な心を、俺の勝手な都合で踏みにじることになる
Terakhir Diperbarui : 2025-09-24 Baca selengkapnya