***「あ~、この時間帯ってば、暇すぎる……」 ランチタイムが終わった、午後2時15分過ぎ。勤務しているコンビニ内は、お客が誰もいずガランとしていた。 店長は発注をしに、裏に行ったばかりで俺一人がカウンターに佇みながら、さっき関さんからもらったメールを、こっそりと眺めた。「やっぱ、忙しい人なんだよなぁ。でも必ず会いに行くって、書いてくれるだけ有難いかも」 素っ気ない文章の中に、ちょっとだけ含まれている、僅かな幸せを探す。俺の書くメールに、毎回律儀に返信してくれる関さん。 文章は本人同様、素っ気ないものだが、その言葉の裏の裏を、きちんと読みとって噛み砕く。 俺ってどんだけ、関さんに夢中なんだろ。 呆れ果てていたそのとき、コンビニの扉が音を立てて開いた。「いらっしゃいませぇ」 反射的に挨拶をし、入って来たお客を確認する。次の瞬間、心臓がバクバクと一気に、駆け出してしまった。「関さん……」 と背が高くて色白の男性が、何かを喋りながら、楽しそうに入って来たから。 もう何度目だろう、この切ない気持ちを、ぎゅっと噛みしめたのは―― 俺は思わず、俯いてしまった。 レジ横にあるお弁当コーナーで、仲良く品定め。まるで見せつけられている様である。「どれにしようかなぁ……」「数少ない弁当に、どうしてそんなに悩むんだ。さっさと選べ、水野くん」「食べたかったお弁当が、売り切れてたんですってば。だから悩んでるんですよ」 うーんと言いながら、棚を覗きこむ関さんの想い人。そんな彼を、じっと見つめる関さん。 見つめる関さん……って、あれ!?(俺――?) もしかして彼を通して、俺を見つめてる!?――見つめられているのか、俺?『俺のホークアイにかかったんだ。これから覚悟しろよ?』 以前告げられた、その言葉を思い出す。突き刺さるようなその視線に、どうしても目が離せなかった。俺だけを見つめて欲しいと強く願ってしまう。「水野くん……」「はい、すみませんっ! なかなか決められなくって」 棚から顔を上げた想い人は、慌てふためく。関さんは、まだ俺を見続けていた。 その視線に気がつき、想い人も不思議そうな顔をして、小首を傾げながら俺を見る。「紹介するよ。彼は……俺の男なんだ」「は!?」 俺と想い人は素っ頓狂な声で、同じセリフを吐いてしまった。「えっと、
Last Updated : 2025-09-25 Read more