こいつが、自分から非を認めるとは。それほど心に響いたのか、元から実は素直なやつなのか。 それはわからないが、大きな進展であることは事実だ。「じゃあ……協力してくれるのか。永田霞の一件に」 しかし、侑の表情は曇った。完全に心を許したわけではないようだ。「……僕には立場がある。それ以前に、生活があります。簡単に、協力するなんて言えませんよ」 紅茶をまた一口飲み、彼は続ける。「僕には愛する人がいる。彼女を危険に晒すわけには、いかないんですよ」 なるほど、守るべき人がいるわけだ。彼の事情も考えると、無理強いはできない。 俺だって、彼女がまだ隣にいたなら──そんな無茶はできなかっただろう。「わかった、ありがとう。日比谷検事、無理にとは言わない。できる範囲で、やれることをやってくれないか」「努力はしましょう。ですが……上層部は今、永田霞の事件で神経質になっている。期待はしないでください」 永田霞の件で、侑は恐らくまだ何かを握っている。それを話さないのは、ここでは話せない話だからなのか。それとも、俺たちにまだ信用がないのか。どちらにせよ、いずれ話してくれるのを待つしかない。 侑と解散し、新川と二人で歩く。「……桜田」「何だよ」 新川が、話しかけてきた。声のトーンが高くないので、明るい話題ではなさそうだ。「日比谷のこと、どう思った?」 どう思った、か。少しだけ考えて、答える。「……そうだな。まだ底の読めない男、といったところか」 日比谷侑。絶対に、まだ何かある。それを引き出すまで、俺は彼の全部を信用しない。「あいつはそういう奴さ。昔から、な」「新川、お前……何か知ってるな?」 新川は、確か侑とは大学の同期だったはず。俺の知らない何かを知っていても、不思議ではない。「どうだかな、俺とあいつは仲が悪いから。あいつは昔から、ああ
Last Updated : 2025-12-11 Read more