Semua Bab 桜田刑事は正義を貫き通す: Bab 21 - Bab 23

23 Bab

第二十一話 対峙

 そんなことを話したり考えたりしていると、人影が見えた。女性、らしい。思わず駆け寄る。新川の制止も無視して。「千代」 声をかけると、彼女は目を逸らした。でも、あの髪の結び方。伏せがちな目。シュッとした顔立ち。千代なのは、疑いようがない。「……どうして、ここがわかったの」 千代の第一声は、それだった。確かに、言われればそれも気になりはするか。「……永田霞のこと、知らないわけじゃないんだろ」「教えない」 千代の声は、はっきりとしていた。「もう貴方の正義に付き合わされたくない。だから別れたのに」 そう言い、去りかける千代の手を取り引き留める。「待ってくれ」 握った手は、酷く冷たい。そして、思っていたよりもずっと小さかった。「千代、お前を蔑ろにしていたのは認める」「だったら」 手を振り解こうとする千代。それでも、握り続ける俺。「……これが終わったら、二人で話がしたい」 彼女がこちらを振り返った。目は、丸く見開かれている。 何も話さない。俺も、千代も。どれほどの時間が経ったか、わからない。段々と、俺の手も冷えてきた。冷え切った頃、千代はようやく口を開いた。「……霞くんなら、三階の自習室よ。さっき見た時はね」 そして、もう一言。「終わったら、絶対に話をする?」「当然だ」 手を解くと、熱が戻ってきた。 千代の去る姿を見ていると、新川が来た。こいつなりに、空気を読んだのだろうか。「夫婦喧嘩は終わったのか? じゃ、案内してやるよ。どこにいるって?」 先ほどの情報を新川に伝える。彼は携帯を操作し、こう言った。「侑たちも行くってよ。行こうぜ」 階段を昇っていくと、少しだけ蒸してきた。いよいよ、決着か。この事件も、長いようで短かった。 だが、俺はどうしたいのだろう。永田霞を問い詰めて、彼に罪を償わせるのか。千代と、仲直りをするのか。円香は、東京地検に戻れるのか。問題は山積みだが、とにかく目先のことから片づけていくしかない。 自習室の前で、侑たちと合流した。「じゃあ、行くぞ」 全員に目配せして、中に入る。そこでは、線の細い青年が一人で本を読んでいた。 少し長い黒髪、目つきの悪さ。間違いなく、永田霞本人だ。「……永田霞、だな」 詰め寄ると、彼は目線をあげた。「はい、そうですが」 そう言いつつも、表情は変わらない。「話を
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-07
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第二十二話 犠牲

 霞は、口を開いた。「話って、何のです?」 この期に及んで、逃げるつもりらしい。だが、そうはさせない。「法務官僚、笹川明弘氏を殺したのは君だろう」 霞は、柔らかく微笑みこう返してきた。「……それは、もう終わった話でしょう。第一僕は、釈放されている。違いますか?」 それは違わないが、もうその手は通用しない。「そうだよ、お前は釈放された。お前の一番嫌いな、父親のおかげでな」 新川の一言で、霞の顔色が変わった。そして、黙り込む。 俺たちも言葉を発しない。今、この場で話すのは霞であるべきだ。 やや長い沈黙があってから、再び霞は話しだした。「……そう、ですね。確かに、僕は結局のところあの人の世話になってしまった」 自分の父親だというのに、距離感のある言い回し。隠し子って、そんなもんか?「どうしてこんなことを?」 問いかけると、穏やかな声でこう言われた。「長いですよ。とりあえず、お座りください」 霞に促されるまま、全員席に着く。動作が落ち着いたところで、霞はまた語りだした。「笹川明弘は、父の性格を見抜いていました。あのままでは、家族ごと消されてしまうところだった。だから僕は最低限の犠牲で済むよう、彼だけを殺害した。こう思ってくれませんか。最低限の犠牲で他のものを守った、と」 言葉が出なかった。犠牲なんて、あっていいものか。 だが、俺は千代に何をした? 千代は俺の犠牲になったのではないか? どう返せば良いのかわからない。その間にも、話は続く。「まあ、一回そういうことにしておいてやるよ。で、続き」 新川が、言葉を流す。助かった。また、思考にはまるところだった。「それに、笹川さんは……父の弱みも握っていました。父の弱み。篠崎家の闇。それが露呈すれば、義姉さんも日比谷家から縁談で切られる。僕が守りたかったのは、些細な幸せなんですよ。家族が、人波の幸せを生きる権利」 律花と侑の表情が強張る。俺としても、家族と言う単語を出されると強く出られない。こいつには守れて、俺には守れなかったもの。犯罪者ではあるが、永田霞が眩しい。「……自首、するのか」 ようやく捻りだした一言に、霞は首を振る。「まさか。ここでそんなことしたら、義姉さんが日比谷家から切られる原因をまた作るでしょう。でも、いつかは露呈するかもしれない犯罪です。だから、僕は提案します
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-08
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第二十三話 正義

 永田霞を見逃す。犯罪を見逃す、ということだ。 新川も、侑も、律花も、霞も俺を見ている。つまり、最終決定権があるのは俺だ。 ここで見逃さなければ、千代とは永久に会えないかもしれない。教え子を俺が逮捕した、なんて知れたら。 それでも、隼や円香のように俺の正義を信じてくれる人もいる。どちらをとればいい。多分、どちらをとっても後悔する。 それなら。「駄目だ。永田霞、罪は償う必要がある。どんな理由であっても、だ」 真っすぐ目を見つめる。もう、逃げない。「君は、君の中では正しいことをした。だが、社会はルールだ。法を犯したのなら、償う必要があるんだよ。日比谷家の問題まで、君が背負う必要はない」 霞の表情は変わらない。「俺も支える。一緒に、警察に行こう」 立ち上がり、手を差し出す。この手をとってくれたなら、霞と俺は対等に話せる気がする。 彼は動かない。この場の誰もが、霞を見ている。また、長い時間が流れた。 霞が動いた。立ち上がり、俺の手を取る。「……最後に一言だけ」 律花と侑の方を向き、涙を浮かべこう述べた。「義姉さん、お幸せに」 そして、こちらに振り返る。もう、涙は拭われていた。「行きましょうか」 全員がばらけた。霞を警察に連れて行くのも、俺の仕事らしい。 メッセージで連絡を入れていたからか、隼が待ってくれたいた。「桜田警部補、お疲れ様です。して……彼は?」 忘れっぽい隼は、霞の容貌と不起訴事件の詳細がリンクしなかったらしい。時々、刑事として心配になる。「永田霞。笹川明弘が殺された事件の──」「彼は、僕が殺しました」 隼は、目を見開く。そして、ゆっくりと永田霞を引き取った。そこに言葉はない。最後の一言だけだった。「……死なないでいてくれたんですね、桜田警部補」 その後の記憶は、曖昧だ。極度の緊張感から解放され、隼が代行してくれていた仕事の引き継ぎもあり。瞬く間に時間が過ぎていった。気がつけば、季節も変わっている。  新川は、相変わらず裏社会と取引しているらしい。近況を詳しくは知らないが。 事件が終わってしまっては、新川と話すことなどない。元気でいるなら、それでいい。 侑は、家の説得に苦労しているようだ。本人から聞いたわけではなく、円香からの伝聞。 律花を伴侶にするという覚悟は、昔からあったらしい。こういうところで、
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