私は、離婚歴のある男と七年間もずるずると関係を続けている。別れては戻ることを繰り返し、いま数えれば別れは九十四回、離婚は五度に及ぶ。あと一度で百回目になるはずだが――もう続ける気力はない。疲れ切ってしまった。最初の別れは、私が彼に初めて身を委ねた夜だった。行為の途中で、彼は前妻に呼び出され、パンを買いに走っていった。五度目の別れは、妊娠したばかりの私を高速道路に置き去りにして、妊娠中情緒が不安定な前妻を宥めに行った。その結果、私は事故に遭い、子を失った。血相を変えて駆けつけた彼は、乱れた服装のままだった。どれほど傷つけられても、私は彼から本当に離れることができなかった。そして最後の離婚理由も、やはり滑稽なものだ。前妻と子どもが親子参加型のバラエティ番組に出ることになり、三人家族としての世間体を取り繕うために、彼はまた私と離婚しようと決めた。「薫(かおる)、明日離婚届を出したら、しばらくは透子(とうこ)のところに身を寄せるよ。約束する。番組が終わったら、俺たちはまた一緒になる」私は彼を無視して、自分の荷物を黙々とまとめている。滝沢深司(たきざわ しんじ)の瞳に焦りの色が走る。「……聞いてるのか?」「……うん」私は冷ややかに相槌を打つ。「じゃあ、何で荷物をまとめてるんだ?薫、これが最後だ。もう二度と彼女のせいでお前を悲しませたりしない。な?」私は手を止め、真っ直ぐに彼を見据える。「深司、あなたは分かってるはずよ。私を何度も傷つけてきたって。――こんなに長い間、本当に私を愛したことがあるの?」深司は声を柔らげ、両手で私の肩を撫でる。「愛してる。七年前に初めて出会った時からずっと、俺の気持ちは変わってない。これからも変わらない。でも、透子が子どもをひとりで育てるのは大変なんだ。助けたいだけなんだ。彼女と離婚した時に、家族として支えていくって約束したんだ」私は自嘲気味に笑う。この言葉を、耳にタコができるほど繰り返されてきた。答えが同じだと分かっていても、それでもまた信じようとしてしまう――そして毎回、裏切られる。「……私、実の両親が見つかったの。しばらく一緒に暮らしてみないかって言われてる」話を続ける気にはなれず、ただそう告げる。深司の顔に驚きが浮かぶ。「いつの話だ?ど
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