病床の上で紫雲は横を向き、ずっと実桜の方を見つめている。わずか二週間の別れだったが、彼にはまるで何世紀も過ぎたかのように感じられた。しかし何よりも幸運なのは、二人とも生きていることだ。実桜は赤く充血した彼の目を見ても、顔色一つ変えなかった。感情を動かさず、嫌悪も憎しみも見せず、まるで何も感じていないかのようだ。あるいは、すべての感情を心に深く埋めているのかもしれない。彼女は傷口を確認した後、抗生剤を注射した。そして、注意事項を公務的に伝えると、さっと立ち去った。「実桜……」紫雲のかすれた弱々しい声が背後で響いたが、彼女は足を止めることなく歩き去った。三人は同じ病院にいるのに、紫雲と時雨は実桜と話す機会を全く得られなかった。手術や投薬の初日以外、時雨が彼女を訪ねても、彼女は看護師に任せるだけだった。彼女が忙しいのはもちろんだが、ただ一人、例外がいた。その名は内山峯の男だ。彼には毎日傷の回復具合を気にかけ、笑顔も見せていた。紫雲と時雨は嫉妬しつつも、彼たちには何も言う資格がないことを知っていた。一週間後、峯は退院した。紫雲も歩けるようになった。医療資源が逼迫している状況では、二人は病院を離れるべきだ。しかし、彼らは医療資源を差し出す代わりに、ここに留まった。その夜、実桜はすべての仕事を終え、病院前の空き地で月を見上げた。それが彼女の一日の唯一の休息の時間だ。彼女が無意識に胸元のペンダントに手を伸ばすが、そこには何もなかった。祖母を思い出すと、もともと穏やかだった心が瞬く間に沈んだ。彼女は祖母に育てられた。祖母は学はあまりなかったし、生活も裕福ではなかったが、それでも彼女にたくさんの愛情を注いでくれた。小学校のころ、父母のいない彼女をいじめる同級生が多く、教師たちも家庭の揃った子どもを自然にひいきした。しかし、いじめにあうたび、祖母は必ず彼女を守る方法を考えてくれた……「実桜」低くかすれた声が実桜の思考を遮った。紫雲が彼女のそばに立った。実桜は微かに赤い瞳で彼を見つめ、その眼差しは氷のように冷たかった。紫雲は彼女の前に座った。「実桜、俺たちはアビエに来たのは、お前を探すためだ。正式に謝らなければならない。すまなかった、実桜。本当にすまなかった」紫雲は目の前の冷徹
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