白衣をはためかせながら駆け寄ってくる東野から逃げるように、美亜は指宿の背後に隠れた。「……課長、まさか今日のお仕事って、あの人も同席するんですか?」 類は友を呼ぶ。イケメンは、イケメンを引き寄せる。 そんな法則を信じているわけではないが、深夜の病院で出迎える医者の目的は一つしか思い当たらない。「課長?あの……」 何も言わない指宿に、美亜は身体を捻って見上げる。 面会時間が終わり、間引きされた蛍光灯に照らされた指宿の顔は、苦い顔をしているがやはりイケメンだ。 こちらに到着した東野も、同じくイケメンではある。でも医者のコスプレをしているホストにしか見えない。恐るべきチャラ男力。 そして東野は、更に医者の象徴である白衣を汚すような発言をした。「美亜ちゃん、この前のワンピースも可愛かったけど、今日もシックで奇麗だねー。俺の為にお洒落してきてくれて、マジ感動!」 合コンで大矢に対してキツイ物言いをしたのは記憶違いだったのかと疑うほど、東野は今日もチャラ男感が半端ない。 やはりこの人とは関わり合いたくないことを再認識した美亜は、指宿の背に隠れたまま無言を貫く。「お前、こいつと知り合いなのか?」「まさか。課長ったら違いますよー」 即答する美亜に、指宿は疑惑の目を向ける。「本当に他人ですから!あんな人、私、知りません」「向こうはそう思ってないようだが?」「それこそ知りませんよっ」 ムキになって言い返せば、指宿は何か言いたげな顔をしたがすぐに前を向く。 美亜もおずおずと顔を覗かせば、東野は傷付いた様子はなく、今度は指宿の肩をポンッと叩いた。「よっ!指宿ー。こんな可愛い子連れてムカつくな。マジムカつくな。元気だったか?今日は悪いな。あとお前が連れてくるって言ってた稀眼の子ってまさか美亜ちゃん?」 息継ぎせず一気に言い終えた東野に、指宿は「ああ」と一言だけ言った。その声は、不機嫌以外何ものでもない。「久しぶりだってのに、そんな怖い顔すんなよー。俺とお前の仲だろー?」「はっ……オレとお前の仲?冗談じゃない」「ボッチのお前と仲良くできるのは、俺だけなのに冷たいねー」 兄貴然する東野に対し、指宿は虫けらを見る目つきだ。 指宿からそんな視線をちょっとでも向けられたら、美亜なら一ヶ月は引きずるだろう。 しかし東野は、へこたれずに、ヘラヘラと
최신 업데이트 : 2025-11-18 더 보기