All Chapters of 【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜 通: Chapter 71 - Chapter 80

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第1部 三章【護りのミサト!】その5 第三話 ミサトの大博打

70. 第三話 ミサトの大博打  なんと言っているかはわからないが店の中で言い争ってる声が聞こえる。  カラカラカラ「だからーー! あなたが……」「おじさん、こんにちは!」 「! あれぇ、久しぶりだねえ。井川さんちのミサトちゃんだろ? ずいぶん大人になって。何年ぶりだろう」「よく、すぐにわかりましたね」「目元は変わってないから。髪型も昔と同じだったしね。……あのね、今日はちょっと忙しくてせっかく来てくれたんだけどお店はやってないんだ」「知ってる。そうだと思った」「えっ?」「お店が担保になってるのよね。私なら力になれるかもしれない。詳しく教えて欲しいの」  するとハアハア言いながら遅れてついてきたユキが表にとめてある自転車に懐かしいものがついていることに気付く。 「2人乗りのステップがついてる。久しぶりに見たなー」「ああ、これ。僕らは『ニケツ棒』って呼んでたけど。……これねえ、錆びてるからか取れなくてね。もうずっと付けっぱなしなんだ。この自転車も古くて今は使ってないけど…… 昔はこれで伸也と2人、日曜日にはスーパーに買い物しに行ったもんでね。日曜日は卵が1パック99円になるスーパーだった、お一人様一点限りだから一個下の伸也を後ろに乗せて…… 歩くには遠いスーパーまで卵2パック買いに行ったっけ。貧乏だったけど、日曜日は卵いっぱい入れた卵スープと卵チャーハンを作ったもんでした。あの頃から僕の作るチャーハンは評判が良くてね、それで気をよくして中華屋になったようなもんですね」 「おじさん……」 「ああ、ごめんね。いきなりこんな話をしても分からないし面白くないよね」
last updateLast Updated : 2025-12-03
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第1部 三章【護りのミサト!】その5 第四話 ミサトの作戦

71. 第四話 ミサトの作戦  詳しい話を一通り聞いたミサトたちは作戦会議を始めた。 「それで、ミサトの考えってのはなんなの?」「麻雀で負けた借りは麻雀で返せばいい。勝てばOK」「はあーーー? それ、考えたうちに入らないでしょ! 勘弁してよねー」「大丈夫。大丈夫。ゴホッゴホッ、ユキを巻き込むつもりはないから」「そーゆー問題じゃなくてぇ」「まあ任せてよ。要するにいつもの100倍のレートでやればいいんでしょ。それなら200万くらい稼げるでしょう」「100倍!」「でも、相手には絶対に勝てるからくりがあるって言ってたじゃない。それはどうするの」「あー、ゴホッゴホッ、それは話聞いて謎が解けてるから。大丈夫よ、私なら勝てる」「ええっ!? これまでの話でもうヤツらの手口が分かったのかい?」「ええ、これはイカサマとかじゃなくて、おそらく『倍プッシュ』ですね」「倍プッシュ?」  倍プッシュとは。次のゲームはレートを2倍にしていくという方法である。1.2.4.8.16と倍倍倍でレートアップしていく。これをやられるとどんなに勝ち続けていても一回の負けで逆転されてしまう。 なお、倍プッシュの申請は負けた方だけがすることが出来る。「相手はヤクザだったんでしょ。つまり、奴らは金にもの言わせて勝つまで倍プッシュしたのよ。儲かることのための資金は出してもらえるのがヤクザ。最初は計画的に負けてやって、倍プッシュ倍プッシュでレートを高くしてから一気に勝ちに行く。そこで負けてもまた倍プッシュで勝てばいい。イカサマよりタチが悪いわよね。ズルはしてないんだから」「堂丈組(どうじょうぐみ)っていう黒龍会(こくりゅうかい)の三次団体の組員だって伸也は言ってたな」「三次団体ならショボいかもしれないよね。堂丈組なんて聞いたことないし」「ていうか黒龍会も聞いたことないけどね。ブラックドラゴンとか
last updateLast Updated : 2025-12-04
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第1部 三章【護りのミサト!】その5 第伍話 相手のフィールドでは戦わない

72. 第伍話 相手のフィールドでは戦わない  雀荘『ささき』の斜向かいには広い駅前駐車場があり、そこの隣に雀荘『みやこ』もある。 この駐車場はみやこの利用者なら駐車料金を無料にしてもらえる仕組みだ。 ミサトの指定で対局はみやこで、という話になった。ミサトたちは車を夜までに移動しなければいけなかったのでそこが丁度良かった。  呉の指定したのは『東南』という雀荘だったがそこは4階は貸店舗。2階に怪しい事務所。1階に少し高そうな中華料理屋といういかにも怪しいビルの3階にある雀荘だったので、車で来てるからというもっともらしい理由をつけて駅前の『みやこ』を決戦の場になるよう交渉したのだ。 (大勝負なんだから相手のフィールドでやるわけにはいかない)とミサトは始まる前から戦いに不利にならないよう警戒したのである。  相手からしたら出鼻を挫かれただろうが、しかしどのみち美味しい話には変わりない。3対1でやっていい高レートなんてそれだけで大喜びな提案なので場所くらい正直な話どこでもいいと思ったのだ。 ────── 「ねえ、本当にやるの?」「ユキ、この私が負けるとでも思うの?」「思ってない。そんなの微塵も思ってないけど、何があるかは分からないのが麻雀じゃない。ミサトもそれはよく知ってるでしょ。もし、万一のことがあったらどうするのよ!」「その時はこの車を売るかな、はは」(このワゴンは中古車で買い取り価格50万がせいぜいだってことはユキには黙っておこう)  駅前駐車場に車を移動させると斉田夫婦も丁度駆けつけてきていた。 「おじさんたちは仕事してていいのに」「そうはいかないよ、おじさんのために戦ってくれるっていうんだ、応援させてくれよ。お金の工面は伸也が頑張ってるから、おじさんたちはミサ
last updateLast Updated : 2025-12-05
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第1部 三章【護りのミサト!】その5 第六話 手順から安全牌を探す

73. 第六話 手順から安全牌を探す 半荘五回勝負1戦目  起家はミサトだ。 「よし、リーチだ」  ノータイムリーチだった。 西家の呉八起(くれやおき)からの先制攻撃。まだ5巡目である。 「さて、お嬢さんのお手並み拝見といこうか」 呉捨て牌①北六5西(リーチ) ドラは三 (ふむ、六萬以外は全て手出しなのでヒントとなるのはまず①筒かな。①筒と北の切り順について考えることで見えるものがある)  場全体を眺める。 (変わったことは特にない場で数牌を先に切り出し字牌が後から出る。それはつまり①④北とあったことの可能性の高さを示している。今、呉の手の中には④筒が高確率で使用されていることがここから予想される)  最終手出しを見てさらに考える。 (最終手出しは宣言牌に使った西。西は2巡目に私が、3巡目に南家がそれぞれ1枚捨てており非常に安全性の高い牌だ。つまり安牌抱えたイーシャンテンを作り、そこからのリーチだと予想出来る。それは要するに高確率でリャンメン待ちだという事だ。例えばこう……) 予想一一一二二四伍六④⑤赤556 (場に二萬は1枚放たれててドラ表示牌も二萬だ。ここにツモ西ときたら打5とするだろうな。そして今引いた牌でテンパイして打西でリーチ。ピンズが埋まってれば5索の周辺が本命でしょ。なんにしても……) ミサト選択打⑦! 「何っ?!」
last updateLast Updated : 2025-12-06
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第1部 三章【護りのミサト!】その5 第七話 守備の達人

74. 第七話 守備の達人 「親倍だと……!」「うおお! すごい! ミサトちゃんすごいよ!!」 ミサトの手が開けられて呉たちは後悔した。しかし時すでに遅し。 「おじさん、ミサトが本当にすごいのはここからよ」  そう、ミサトは守備の達人だ。50000点に到達したミサトを逆転出来る素人などこの世に存在しない。その可能性は限りなくゼロに近いものだ。 どんなに足掻いた所で無理なものは無理である。一回戦はミサトの勝利。 「すごい…… 組んでる3人相手にノー放銃で逃げ切った……!」 (まず、1勝) 「呉さん。まずくないか。この娘まったく隙がない」「えらい集中力やで。ワシらかて下手な麻雀したつもりはない。せやけどあの娘、待てど暮らせど放銃せえへんやんか」「慌てるな。まだ一回戦が終わっただけだ。落ち着いてやりゃあ俺たちが3対1で負けるゲームがあるわけないだろ」「それは、そうやが」 「ちょっとお手洗い行っていいかしら」「まて。おれらは待つのは苦手なんだ。そこのお仲間さんに代走入れて行ってくれ」「それなら私が」とユキがトイレ代走に入ることになった。「必ずしもミサトが打たないといけないってわけじゃないんですね」と話しながら二回戦を始める。「あー、別にいい。3対1で打てるならな!」「待たされるよりは交代の方がいいわな。麻雀てのはその日一日空けとかなきゃいけないし、具合悪くなりました、別日にやり直しましょうとかなるよりは交代可能の方がおれらも助かりますわ」「そうなんですね。分かりました…… と、リーチ」 ピンポン『リ
last updateLast Updated : 2025-12-07
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第1部 三章【護りのミサト!】その5 第八話 王手をかける

75. 第八話 王手をかける 「ふぅー」  ミサトと交代して後ろに下がったユキは震えていた。「こ、怖かった。いつもの100倍の緊張感で…… リーチの声が出てこないかと思った……」 「飯田さん。頑張ってくれて、ありがとうございました……!」 「あ、えへへへ。私、活躍しちゃいましたね」 「大活躍ですよ!! 本当に」 「だよね。リードさえしておけばミサトならきっとそのまま勝ってくれる。だって普通の人間がリードしたわけじゃなく、日本一守備力の高い雀士がリードしたんだから」 「それほどなんですかミサトちゃんは」と斉田の奥さんが聞いてきた。「そうです、ミサトは誰よりも守備力が高い。この世の、誰よりもね」  (そうよユキ。だからあなたのこの頑張り。無駄にしない!)  ミサトは目一杯の受けをせず、あくまでも手役を作る手順だけ選び、ダマテン可能に、いつでも攻撃回避可能な手順だけを選んでいった。  だが、それが裏目だった。ミサトは強気なら整っていた手を空振りしてしまう。その隙をついて呉が仕掛けた。 「チー」「ツモ。1000.2000」 (1枚厚く持てていれば私のアガリだった局に逆にアガリを取られてしまったな。まあ、3対1ならそれは仕方がない所でもあるが……。それにしても中々のアガリだ。やるな、こいつ) 「ククク…… 悪いなあ、隙があったもんでアガらせてもらったわ」「くっ&hel
last updateLast Updated : 2025-12-07
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第1部 三章【護りのミサト!】その5 第九話 呉八起の人生

76. 第九話 呉八起の人生  おれの人生はクラゲのように漂う放浪人生だった。たいした意思もなく流れ流され気付いたら極道になってたんだよな…… まったく、極める道なんてのが皮肉なくらいの半端者だ。ギャンブルの才能は人より少しだけあったが…… それだけだった。 特に好きなのは麻雀だ。だが、好きと得意は別問題。地頭が悪いから(自分で言ってて悲しくなるが)麻雀みたいな高度な知恵比べではどうしてもボロが出る。高校生の時、一生懸命に先輩が教えてくれたから覚えられたけど1人だったらルール把握もムリだったかもな。 だって難し過ぎんだろこの点数の計算方法とか。でも先輩が「一日で覚えないと殴る」って言うから気合いで覚えたっけ。 ただ、押し引きの勘の良さは先輩に褒められたし、それ一点。ただその1つだけの強さを武器に勝って負けて勝って負けてを続けて気付いたらヤクザの代打ちしてた。その勝負も、運良く勝って晴れて正式に構成員(ヤクザ)の仲間入りだ。……わっかんねえ。どうしてこうなったかな。 ただ、おれは別になんでもよかった。目標とか夢とかなんもないおれはこの生活がお似合いだったのかもしれない。なるべくしてなった。落ちぶれる者のなれの果てがこの姿なのかもと思ったりもした。 (それに比べて……)  この女が何者かは知っている。競技麻雀プロだ。おれとは違う。別世界の麻雀打ちだ。  呉にはミサトの真剣な眼差しが輝いて見えた。 「どうしたんすかアニキ?」「いや、なんでもねえ」(この女はおれたちのような人間と勝負をしちゃいけねえんだがな。おれたちのような卑怯な人間とは…… な) 「おい、ヤス! ハマさん! 三回戦からはアレで行くぞ」「あー、もう負けてらんないっす
last updateLast Updated : 2025-12-08
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第1部 三章【護りのミサト!】その5 第十話 3人目のお人好し

77. 第十話 3人目のお人好し  私は財前香織(ざいぜんかおり)。義理の姉である財前真実(ざいぜんまなみ)と2人で『財前姉妹』と呼ばれる競技麻雀プロよ。  その実績は自分で言うのもなんだけど、正直たいしたもので麻雀界で最も格式の高い大会である『師団名人戦』の優勝に始まり各種雀荘の大会でも参加すると必ず決勝に残り姉妹のどちらかが優勝するほどだった。それもそのはず、私たち姉妹は神さまに教わった、言ってみれば麻雀神の弟子なの。まあ、マナミは見守られてただけで『教わった』って感じじゃないけど。私は確かに教わっていた。 伍萬(ウーマン)の付喪神だと言う神様『woman』に私は愛されて育った。 とは言えそれは二十歳までのこと。大人になってからはもうwomanの指導鞭撻はなくなって夢の中でしか会えなくなった。だから私は寝るのが好きで毎晩さっさと寝ることにしてる。 womanが憑いてた頃は気合い入れてツモると必ず伍萬をツモってきてしまうという特殊能力があったなんて言っても誰も信じないでしょうね。(山に残ってない場合はもちろん無理)私はちょっとした超能力者だったの。  でもね、結局あんまり力は使わなかった。だって次のツモが分かってるなんて…… そんなのドキドキしないじゃない? たまたま引いてくるから嬉しいのよ。偶然だから尊いってこと。そんで、私があんまりにも能力使わない主義でいたら神様ったら憑くのやめるーって。まあいいけどさ。夢で会えるから。そんなわけで、今の私はなんの能力もないただの人。だけど、神様から学んだ勇気と知識は私の血となり肉となってる。私の中にwomanは生き続けてるの。  そんな、神を師匠に持つプロ雀士が私ってこと。強くて当たり前なのよ。   ♪~~~ (ユキからの着信だ。珍しいな) 「はい、もしもし」
last updateLast Updated : 2025-12-08
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第1部 三章【護りのミサト!】その5 第十一話 落雷

78. 第十一話 落雷 「ロン!」 「ローン!」 「ロンッ!」 (くっ…… 私以外に危険牌をバシバシ打って1人凹みを作る戦略か。なるほどイカサマはやってない。ただこの戦略をやるには懐が同じである必要があるが、その辺はあとで分け合うことにしてるんだろうなぁ。こうも1人凹みされるとトップに追いつこうにもその前にラス目を飛ばしちゃうから逆転したって良いとこ二着止まりだ。くそ、まいったわね…… どうする?) 「ロン!」(しまった!)  一瞬の油断で放銃してしまいもう二着も捲ることができない位置まで落とされたミサト。そこからも根性でねばるが三着が関の山だった。  三回戦は三着。(ストレート勝ちとはいかなかったか…… ふう、これはキツイぞ。どうしたもんか)  ◆◇◆◇ (東場で飛びが出たか。カオリが来るまでまだ時間がかかる……。ミサトの体調は大丈夫だろうか) ドン! ゴロゴロゴロゴロ…… ザーーーーー!! 「わ、急にすごい雨。すいません、換気してた窓閉めますね」と店員さんが店内の窓を閉めて回る。「手伝います」とユキも窓を閉めて回った。猛烈な雨だったので一刻も早く全窓閉めるべきであり、店員さんは「助かります、ありがとうございます」と言ってユキと2人で急いで店内を一周した。 ────  続く四回戦。ミサトの方の勝負の雲行きも暗雲たち込めていた。
last updateLast Updated : 2025-12-09
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第1部 三章【護りのミサト!】その5 第十二話 ミサト、苦戦する

79. 第十二話 ミサト、苦戦する  ミサトは苦戦していた。咳は出るわ、敵の連携は想像した以上に厄介だわで五回戦もトップは取れそうにない点差まで突き放された。 「ロン!」 (ああ、これでオーラスにハネツモでもトップが取れない位置に…… いや、それどころか)  そう、それどころではない。オーラス二着と500点差とは言え三着のままフィニッシュしてしまったらトータルで祝儀合わせて微妙にマイナスになってるかも知れない。それはつまりこの勝負が負けで終了することを意味する。何としても二着に浮上してこの五回をドローゲームとし次の五回勝負に突入させなければならなかった。そんなオーラスのミサトの7巡目の手がこれだった。 五回戦オーラス南家7巡目ミサト手牌 ドラ④①②③赤⑤⑤⑦⑧⑨4467南 8ツモ (テンパイした! とは言え期待は出来そうにないシャボ。役無しだからってこれをリーチすることにどれ程の価値があるだろうか。まだダマがいいかもね) 打南ダマ  すると次巡。 ツモ5 (序盤で捨てた9索がフリテンになってるけどこれはもう最終形! ここで腹を括るしかない!) 「リーチ!」 打4リーチ  それを見て待ってましたとばかりにラス目の北家(浜田)もツモ切りで追っかけリーチをかけてくる。しかも…… 「リーチ」 打4リーチ (ぐっ! 4索切り追っかけリーチ? シャボのま
last updateLast Updated : 2025-12-09
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