All Chapters of 【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜 通: Chapter 1 - Chapter 6

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【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜 通

【牌神話】〜麻雀少女激闘戦記〜 通 ――人はごく稀に神化するという。 ある仮説によれば全ての神々には元の姿があり、なんらかのきっかけで神へと姿を変えることがあるとか。 そして神は様々な所に現れる。それは麻雀界とて例外ではない。 この話は、麻雀の神とそれに深く関わった少女あるいは少年たちの熱い青春の物語。その大全である。 ◆◇◆◇もくじ➖️メインストーリー➖️第1部 麻雀少女激闘戦記二章 闇メン➖️表紙イラスト➖️しろねこ。◆◇◆◇ごきげんよう、彼方です! 麻雀の楽しさを1人でも多くの人に伝えたくてこの物語を書いています。良いと思いましたらぜひ拡散の方をよろしくお願いします!この小説の読み方は──── ──これは時間の経過です。2つなら少しの、3つなら大きな時間の経過になります。思考吹き出しのイメージですね。── ────これは時間の遡りです。────これはちょっとした区切りです。◆◇◆◇これは視点変更か大きな区切りです。 これを意識していれば視点混乱などしないで読めると思います。 では、最後に。本編に入る前に確認しますけど。あなたは麻雀に精通してますか? してる? では次に進んで下さい。でももし、まだわからない。よく知らない。まるで無知。という方は読めない漢字があるかもしれません。それをここでざっと書いておきましょう。 まず牌(はい)の名称です。 1〜9の数字があり、スートは3種です。スート……スートって何か言い換えられないかな。色、絵柄、いや種類……かな。まあ、種族というか。そんな感じ。で読み方は1=いー2=りゃん3=さん4=すー5=うー6=ろー7=ちー8=ぱー9=きゅーこれが基本。種族の読み方は萬=まん(わんとも言うが基本はまん)筒=ぴん索=そーでもこれは略してて実際は萬子筒子索子(まんずぴんずそーず)と言うもの。漢数字が萬子数字に丸が囲ってあるのが筒子全角数字が索子です。 つまり二とあればこれはりゃんまんを持ってるってことで⑤ならうーぴんを持ってるってこと。OK?ここまでが数牌(すうはい)の説明。で、他にも字牌(じはい)というのがありまして。まず字牌の風牌(かぜはい)から。東=とん南=なん西=しゃー北=ぺーで、もうひとつの字牌が三元牌(さんげん
last updateLast Updated : 2025-10-09
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第1部 二章【闇メン】その1 第一話 俊足のシーナ

1. 雀荘で働く従業員にはいくつかのタイプがある。 まず、一般的なのは『メンバー』。あえて言うなら『表メン』という立場の普通の従業員。 はっきり言ってこれが一番大変なのだが。なにせ、接客からお茶汲みから掃除から雑用まで全てやる。休みはだいたいは週に一回だけだし1日の労働時間は12時間が原則だ。それでいて麻雀も打つのだからとんでもない仕事である。しかし、慣れてしまえばそれもどうと言う事はないのだが、慣れないうちに辞める人は数知れず。この仕事は新人が続かない仕事ランキング1位かもしれない。 それに対して、そんなことやってらんねーよ。でも麻雀打って金欲しーってヤツがやる仕事が『裏メンバー』。要するにサクラで通称『裏メン』と呼ばれる。 この裏メンの扱いは大抵雑で店側に隠そうとする意識があまりなくて常連客にはサクラだとバッチリバレてるのがほとんど。あ、サクラがいるからって別に店とグルになって素人客からむしろうって訳じゃないから安心して欲しい。そもそも給料が良くないので自分の麻雀に必死なのが裏メンのほとんどだろう。給料はよくないが麻雀してるだけでいいので腕とスタミナに自信があるならこっちの仕事を選んだ方がいい。表メンとは給料に大差がつきがちだが。そこは能力給でまかなえばよし。 よく知られているのはこのメンバーと裏メンの2種だけなのだが、世の中の知る人の少ない職種のさらに知られていない役割を持つ者たちがいる。 それが、店のオーナーしかその存在を知り得ない身内すら欺く裏メン。通称『闇メン』だ。 ここは『渡邉クリエイター派遣会社』 渡邉クリエイター派遣会社はいわゆる『闇メン』を契約して派遣する麻雀専門家派遣会社。そこに登録してある打ち手達は超一流の雀士だけ。 この物語は、その渡邉クリエイター派遣会社でも最年少にしてトップの打ち手となる伝説的『闇メン』のストーリーである。 彼の名は椎名。 通称『韋駄天のシーナ』二章 闇メン~エキスパート裏メンバー派遣会社~その1第一話 俊足のシーナ パァン! 発砲音と共に走り出す。100m。この距離を誰よりも早く走り抜ければいい。単純な戦いだ。おれはそれが好きだった。 学校の勉強は面白いとは思えなかった。やらされてるだけだ。苦手という程でもなかったが成績は普通より少し下くらいだ。好成績を出したいとも思っていなかった
last updateLast Updated : 2025-10-09
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第1部 二章【闇メン】その1 第二話 指名打者

2.第二話 指名打者 今のバイトは稼げるけど、まあでもそれだけなんだ。やりがいなんてもんはゼロだし、長時間の立ち仕事で疲れるし、とても良い仕事とは言えない。 当たり前だよなぼったくりの店の客引きなんて言い換えれば詐欺の片棒担ぐのと同じ。まあそのことにはその頃は気付いてもなかったんだけど。ちょっと想像力が足らなかったよな。自分が悪さしてるって認識は無かったんだから。 なのでいつも新しいバイトを探してた。そしたら日曜日の新聞に挟まってる求人のチラシに何となく気になるバイトがあった。それが『渡邉クリエイター派遣会社』 名前はクリエイター派遣とか書いてあるのに仕事内容に『麻雀を打つ仕事』ってあるのが印象的で目を引いた。(は? 麻雀を打つ仕事? 『打つ』って何? 多分、麻雀するってことだよな。クリエイター派遣で?) きちんと読むとつまりは麻雀を打つ黒子(くろこ)の仕事をするってことみたいだ。お茶くみや清掃などの仕事はしない打つ仕事だけの専門家。野球で言うと指名打者みたいなものかな。 ちなみに、おれは麻雀が大好きだ。最後には運任せなゲームでありながら戦略性の高さがすごいところがいい。学生時代はずっとゲームでやり込んだし、友達とやる時もあったけど、ハッキリ言って身内の中では負け無しの圧倒的ナンバーワンだった。 その、おれの好きな麻雀というゲームを決して『ギャンブル』とか言ってなくて『麻雀はクリエイティブなゲーム』として解釈しているということだろ? クリエイター派遣っていう名前は。つまりそう思ってるって事なんだろ?「わかる! 麻雀は実に創造的だ!」 それがすごく気に入っておれは連絡を入れたんだ。「お忙しいところすいません、私、椎名(しいな)と申します。アルバイトの求人広告を見てご連絡させていただきました。担当者の方はいらっしゃいますか?」『ご連絡ありがとうございます。私が担当者の渡邉(わたなべ)です。では椎名様、さっそくですが明日など面接のご予定を入れて宜しいでしょうか?』「明日ですね。大丈夫です」────── こうして明日、渡邉クリエイター派遣会社の面接を受けることが決まった。
last updateLast Updated : 2025-10-09
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第1部 二章【闇メン】その1 第三話 風変わりな面接

3.第三話 風変わりな面接 面接当日。約束の時間は朝の9時だ。リクルートスーツに着替えて、まずは8時から開いてる駅中の床屋に行って散髪する。そんなに伸びてもいなかったが今から面接を受けるのならそれは当然の礼儀である。そういうことをおれはしっかり分かっていた。「お兄さん、まだそんなに伸びてないようだけど。髪型変えるのかい?」「いえ、このままでいいです。ただ整髪してください。今からバイトの面接なんです」「あんた真面目なんだねえ。今どきの子では珍しいよ」「これを落ちたらまた探さないといけない。二度手間が嫌いなだけですよ」────「よし! バッチリだ。自信持って面接行っておいで!」「ありがとうございます」 おれは綺麗に整えてもらうと時刻は8時33分。待ち合わせ場所に向かうのに丁度いい時間だ。 駅前にもう何十年も前から変わらずあるアイスコーヒーが美味い喫茶店『えにし』で待ち合わせ。 おれはえにしの扉を開けた。この扉には鈴が付いていてその鈴の音が独特で、密かにおれはここの扉を開けるのが好きだった。カロンカロン「いらっしゃいませ」 入ってみると客席にはかなり渋い40代後半くらいかなというおじさんが1人いた。カウンターには50代くらいの二代目マスター。その奥の住居スペースには女性が座椅子に座っていた。テレビでも観ているのだろうか。少し音が聞こえる。 客席に目をやった。(この人が渡邉さんかな? 雰囲気はあるが、でもまだ8時40分だし着いてないだけの可能性もあるな)と思ったが「早かったな。椎名さんだろ?」と話しかけられた。「あ、ハイ。渡邉さんですか? 初めまして、椎名です」「はい、初めまして。マスター、アイスコーヒー2つ」と渡邉さんは指を2つ立てて注文した。「アイスコーヒー2つですね。ありがとうございます」「ここはアイスコーヒーがとくに美味いんだ。今日は少し寒いけどせっかくだから飲んでみてほしい」「あ、ありがとうございます。……でも実は知ってました。僕もここのアイスコーヒーが大好きでして」「なんだそうか! 椎名さんもかい。分かってるじゃないか! おれはもうここのアイスコーヒーを飲むために面接場所をここにしてるまであるんだよ」「何で僕が椎名だって分かったんですか? 待ち合わせ時間にはまだ余裕があったと思いますが」「なに、電話の印象と服装
last updateLast Updated : 2025-10-09
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第1部 二章【闇メン】その1 第四話 実技面接開始

4.第四話 実技面接開始 「社(やしろ)。一旦closedにして鍵を閉めて来てくれ。お父さんは卓をセットするから」「はーい」  お嬢さんの名前は『ヤシロ』というらしい。おとなしめの日本顔をした美人のお嬢さんにぴったりな名前だなと思った。  部屋の隅に置いてあった麻雀卓を中央に移動させる。 「よっ、とと、重いな」「手伝います」「ありがとう、じゃあ『せーの』で持ち上げるよ」「分かりました」「はい「「せーの!」」  重たいが男2人で持てばなんてことなかった。卓を部屋の中央に移動させてコンセントを差し込み、椅子とサイドテーブルを準備した。  起動スイッチをオンにする。 ガラガラガラガラ  中でターンテーブルが回る。準備はOKだ。 「では今から実技面接を始めます。ルールはごく普通のルールでピンの1-3」「え、レート乗せるんですか」「まずいか? 今日は手持ちが少ないとか?」「いえ、今日からでも働けるようにしっかり持ってきました。大丈夫です。それよりメンツは?」「そこにいるだろう」 気付いたらもうマスターとヤシロさんは椅子に座って待っていた。 「言っておくが2人とも凄腕だからな。本気で勝ちに行かないと痛い目みるから。それだけは忠告しておく。本気を出した上での麻雀を見させてもらうよ」 「なるほど、面白い面接もあったものですね」 おれはそう言うと場決め用の牌を引いた。 (北か) 「基本的に半荘一回勝負。早く終わった時だけ二回やる。それでいいね」
last updateLast Updated : 2025-10-10
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第1部 二章【闇メン】その1 第伍話 ヤシロの実力

5. 第伍話 ヤシロの実力  実技面接という名のゲームがスタートした。 座順は 東家 マスター南家 渡邉西家 福島ヤシロ北家 椎名(おれ)  渡邉さんの話だとヤシロには気をつけろということだった。あれは女の皮を被った魔物だと。とにかくヤシロさんは卓に着いたらガラリと人が変わるそうだ。 本当だろうか。2人とも凄腕だと言うことだが、マスターはまあ、強そうな空気を醸し出してるけどヤシロさんも凄腕ってホント? と失礼ながら疑った。だっておれから見たらただの若い美女でしかないから。美人が麻雀上手くないとは言わないが…… そんなのは麻雀に関係ないのは知っているけど、それにしても『凄腕』というのはもっとベテランに付けられる称号のように思っていた。しかし…… 「リーチ」  渡邉さんのリーチが入る。 全員とりあえず一歩引いて対応した、が、リーチを受けて3巡後。 「…ふうん」とヤシロさんは小さく呟いた。その時渡邉さんは三萬をツモ切る。  そこからはヤシロさんの猛烈な押し返しが始まり、ついに追いつく。「リーチよ」 打③  おれとマスターは勝負手にならないのでオリ。するとヤシロさんが一発で。 「ツモ」 ヤシロ手牌二二三四④④④⑤⑤⑤234 伍ツモ 「裏3で3000.6000の4枚」  強烈! ……しかし解せない。なぜ③切りリーチなんだ。二萬を勝負していれば②③④⑤の4面
last updateLast Updated : 2025-10-11
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