私は同じ男と、七度結婚した。そして彼も同じ女のために、七度、私と離婚した。彼が「自由の身」となって初恋と休暇を過ごすため、彼女が噂にさらされないように守るため。初めて離婚した時、私は手首を切って彼を引き留めようとした。救急車のサイレンが鳴り響く。だが彼は一度も病院に来てくれることはなかった。二度目は、私は自分の価値を犠牲にして彼の秘書になった。ただ、もう一度だけ彼の横顔が見たかったから。私のヒステリーも、譲歩も、妥協も――彼にとっては、いつもの「一時的な別れ」の儀式でしかなかった。彼は予定通りに私の元へ戻り、予定通りにまた去っていった。だから六度目には、もう泣き叫ぶこともなく、黙って荷物をまとめた。二人で過ごした部屋から、静かに出て行った。そして今回は七回目。今度こそ、私が本当に去るのだ。「白石雪歌(しらいし せつか)が帰国した。私たち……離婚しましょう」そう告げて、私――夏目千昭(なつめ ちあき)はサイン済みの離婚届を夫・入江羽空(いりえ はく)の前に静かに置いた。彼の表情が一瞬で凍りついたが、すぐに我に返り、慣れた手つきで署名をした。私から離婚届を差し出すのは、これが初めてだった。それでも彼は、これまで六回と同じように、聞き慣れた口調で私に約束した。「一ヶ月もすれば、雪歌も帰る。そうしたら……また籍を入れ直そう」昔の私なら、そんな言葉では満たされなかった。誓約書を書かせたり、無理に約束させたりしたかもしれない。でも今回は、心がまったく動かなかった。返事する気すら起きなかった。「千昭……聞いてるのか?」羽空は眉をひそめ、私の沈黙に苛立っている。私はただ、軽くうなずいた。「うん」そう答えると、私は淡々と服を畳み、スーツケースに詰め続けた。羽空が「また籍を入れ直そう」と言えば、必ず約束は果たす。彼は業界でも誠実で知られている。そこは疑いようがなかった。たまたま私たちの関係は、最初から夫婦というより、契約更新を繰り返す、ビジネスパートナーに近かったから。決められた期日が来たら、形式的に「婚姻届」と「離婚届」という「契約書」にサインするだけ。一年に二回。これまで、私は十四枚の「契約書」に名前を書いてきた。結婚式の日、彼は言った。「結婚
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