「体調を崩されているようなら、すぐに長嶺組に連絡して、連れて帰ってもらおうかと思ったんですが、違いますよね。――何かありました……ね」 返事は、沈鬱なため息だった。 昨日、総和会本部で守光と夕食を共にとったあと、ある要求をされた。 曰く、来週の金曜日に俊哉が和彦との対面を求めており、そのときは、人目のない場所で父子で時間を気にせず語り合いたいと希望が出されたそうだ。 守光が切り出した時点で、それはもう決定事項で、和彦に否という権利はない。能天気に構えていたわけではないが、再び俊哉と顔を合わせるのはもう少し先ではないかと、切望にも似た気持ちで考えていたのだ。 和彦を一層精神的に追い詰めるのは、俊哉との定期的な対面を考えているという、守光の言葉だった。 間に総和会が入ることで、和彦は俊哉を避けられない。求められるまま、総和会の護衛に守られ――見張られて、俊哉の放つ毒気を浴びることになる。 守光は、疎遠だった父子を結びつけて、ただ偽善的な喜びに浸るような人間ではない。総和会を率いている狡猾な化け狐は何かを計算しているだろうし、そこを十分理解したうえで、俊哉も接触しているはずだ。 聞きたいことはいくつかあったが、何も聞けずじまいだった。聞いてしまえば、さらに厄介な事態に引きずり込まれると考えたからだ。とにかく和彦の立場は、聞けば、従わずにはいられないという弱いものなのだ。 今回は守光から口止めされなかったため、本部をあとにしてすぐに、賢吾に連絡し、報告した。もちろん、二人の権力者による計画を止めてほしかったわけではない。そんなことをすれば、賢吾と守光、長嶺組と総和会との間に要らぬ不和を生み出しかねないと、冷静さを失った頭でもわかる。 電話越しに賢吾に対して何度も、堪えてほしいと和彦は訴えた。賢吾は納得していない様子だったが、不承不承、諾と言ってくれた。守光が決めた以上、賢吾もまた、それ以外の返事を持っていないのだ。 自分が苦々しい思いを味わうのは仕方ないといえるが、同じものを賢吾に味わわせるのは、和彦にはつらかった。「――……君は、両親と連絡を取り合っているか?」
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