「嫌な、感じだ……」 南郷に体に触れられるのも嫌だったが、その南郷に賢吾が煩わされていると思うと、強い苛立ちを覚える。同時に、対処を他人任せにするしかない自分がもどかしい。 大事に扱ってくれる男たちに、せめて自分は何ができるだろうかと考える。佐伯家の事情に巻き込みたくないとは思っているが、和彦を取り巻く問題はそれだけではない。総和会と長嶺組の関係に、長嶺の男同士の関係も深く関わってくるのだ。 帰宅したら、せめて賢吾に電話しておこうと思っているうちに、車の心地よい振動に促されるように眠気が強くなり、抗えなかった。ほうっと吐息を洩らして目を閉じる。 軽い居眠りのつもりだったがしっかり寝入ってしまったらしく、軽く肩を揺すられる感触に、和彦の意識は少しだけ浮上する。 先生、と控えめに呼ばれて、夢を見ているのだと思ったが、冷たい空気に頬を撫でられて、眠気は一気に霧散した。パッと目を開けると、なぜか三田村の顔が近くにあった。状況がわからず硬直する和彦に、三田村は優しい眼差しを向けてくる。「もう少しだけがんばってくれ」 耳に馴染むハスキーな声で言われ、意味がわからないまま頷いた和彦はシートベルトを外し、差し出された手を反射的に掴む。車を降りてすぐに、小さく声を洩らす。自宅マンションに帰り着いたとばかり思っていたが、そうではなかった。三田村が、和彦との逢瀬のために借りているマンションの前に、車が停まっていたのだ。 いまだに状況が掴めず戸惑う和彦の傍らで、三田村は護衛の組員たちと手短に会話を交わし、荷物を受け取っている。「行こうか、先生」 三田村に促され、我に返った和彦はぎこちなく歩き出しながら、その場に留まっている組員たちを振り返る。心配ないと言いたげに、頷いて返された。 組員たちの姿が見えなくなり、車が走り去る音がしてから、ようやく口を開く。「――……こんな予定だなんて、聞かされてなかった」 言ったあとで、なんだか非難がましくなってしまったと、和彦は慌てて言い募る。「嫌というわけじゃなくてっ……、今晩は部屋に戻ったら、さっさと
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