地区大会一回戦の劇的な勝利から、二週間が過ぎた。 僕たちのチーム『ジャンク・キャッスル』は、あの後も、快進撃を続けていた。 二回戦の相手は、フィールド全体に巧妙な罠を張り巡らせる、待ち伏せ戦術を得意とするチーム『スパイダーズ・ネスト』。僕たちは、ユイの索敵・分析能力で全てのトラップの位置を事前に看破し、クエンティンがそれを掻い潜って敵を蹂躙した。 三回戦の相手、『アルケミー・ワークス』は、フィールドに配置された「魔法の素材」を誰よりも早く確保し、強力な属性攻撃だけで戦う特殊なチームだった。僕たちは、彼らが狙う「炎の魔石」を敢えて無視。代わりに、ユイの提案で、水場を利用して湿らせた木材で「燃えない壁」をクラフトし、彼らの戦術を完全に無力化した。 そして先日の四回戦。軍隊のように統率の取れた動きで相手を追い詰める『アイアン・センチネル』。その完璧な連携を、僕とユイがリアルタイムで作り出す、予測不能な「ジャンク・クラフト」でかく乱し、勝利をもぎ取った。 今日も僕たちチームが『シュミットの工房』に集まると、ヴィル爺さんが上機嫌で鼻歌を歌っていた。「よう、若きチャンピオンたち。祝勝金だ、持っていきな」 ヴィル爺さんは、そう言って、一枚のクレジットチップをテーブルの上に放る。そこには、僕たちのような高校生にとっては、ありえないほどの金額が表示されていた。「まだ賭けてたのかよ、爺さん!」「当たり前よ。お前さんたちのチーム、とんでもない大穴だからな。すでに、いつ敗退するかなんて賭けも始まっているくらいだ。おかげでワシの懐も、久々に潤ったわい」 彼は、にやりと口の端を吊り上げると、「たまには息抜きも必要だ。パーッと使ってこい!」と、僕たちの背中を押した。「ねぇねぇ! このお金があったらさ、ミッドタウンにある、あの高級な人工ビーチに行けるんじゃない!?」 ミミ先輩の提案で、僕たちの、たった一日だけの豪華な息抜きが決まった。 清潔で、洗練されたミッドタウンの街並みに、まず僕たちは気圧された。そして、目的地の巨大なドーム型人工ビーチに足を踏み入れた瞬間、誰もが息をのんだ。 完璧に再現された
Last Updated : 2025-11-16 Read more