僕は彼女に話があると声をかけた。 ソファーで二人で座り、話するのが僕たちの普通になってきていた。 親、SNS、しおりから話を聞いて、僕は自分の中で信じることについて答えを導き出すことができた。 それは、すべてのことが重なりあって出来上がったものだった。 僕の中で光りが生まれた瞬間だった。「美月、信じるものが見つかったよ」「本当に? どんなもの??」 彼女は目をキラキラさせて僕の方にやって来た。 今思えば、彼女は僕のことを信じてくれていた。 僕が信じるものを見つけることを、信じて待ってくれていた。 そう思うとふとある考えに至った。 もしかして、彼女が最後まで信じることができなかったことは、親との関係性だったのではないだろうか。 つまりは、変わっていく僕を信じることができなかったのではないか。 それを後悔して未来からやって来たとしたら⋯⋯。 僕は頭を切り替えて、話し始めることにした。「信じるものは愛する人。そして信じるとは、信じると決めた人や物と、共に歩む覚悟を持つことだ」「もう少し詳しく聞かせて」 彼女は真剣な顔をしていた。 僕は言葉をうまくまとめてしゃべるのが得意ではない。でもなんとか伝えたいと思った。「信じると言っても、すべての人を受け入れる必要性はないと思った。信じるか信じないか判断する目が必要で、自分がしっかり守れるだけの人でいい。そして、信じるということはまずは自分をさらけ出すことから始まる。次に、ただ相手の言っていることをそのまま受け入れるのではなく、相手がもし間違えていたらちゃんと意見が言えることとそれを許すことだ。そして、口先だけだけなく、一緒に最後までその問題に向き合って、ともに行動することだと決めたよ」「すごく素敵。それならきっとお金を手に入れても支配されないわ」 彼女は満面の笑みで僕に抱きついてきた。僕も嬉しくなって抱きしめ返した。 やっと彼女が心から笑ってくれたから。 人はなぜ何かを信じるのだろう。 信じなくても生きていくことはきっとできる。 信じるものが何かという明確な答えもない。 簡単に見つかるものでもない。 でも、信じるものが僕たちに大切なものが何か改めて教えてくれる。 大切なものを知るためにそして守るために、僕たちは信じるのかもしれない。 信じるとは、自分の中で何かを大切にし
Last Updated : 2025-10-21 Read more