パン! 刹那、コントローラーが割れ、コロコロっと吹き飛んだボタンが転がる。 へっ!? 渾身の一撃を放ったはずのクレアは凍り付いた。理不尽にも砕けたコントローラーはそれを受けつけなかったのだ。 はぁっ……!? な、なに……? 総立ちになって歓声を上げていた観客たちは一体何があったのか分からず、言葉を失った。 あまりに強くボタンを押しすぎたせいで、コントローラーが壊れてしまったのだ。 やがて、クレアの画面には「GAME OVER」の文字がうかびあがる。 クレアは茫然自失となってただ、その文字を眺め、動けなくなった。数万の熱い応援を受け、自分の限界を超えた渾身のプレイ、それがあと一歩のところで砕けてしまうなど到底受け入れられない。 クレアは静かに首を振り、そしてガックリとうなだれた。「け、決着! 総合優勝は、ジェラルド・ヴェン……」 お姉さんが声を上げると、王子は慌てて両手を振ってそれを止める。「待て! 待ちなさい! この勝負はドロー。いいね? 引き分けだ。よって、一般の部はクレア嬢、ロイヤルの部は我がそれぞれ優勝だ」「え? それでよろしいのです……か?」「王族に二言はない。機材故障で負けてしまっては彼女がかわいそうだ」 そう言いながら王子は泣きべそをかいているクレアにのそばに立った。「ナイスプレー、最高だった。キミの『想い』見せてもらったよ」 王子はさわやかに笑い、クレアの手を取る。「あっ、いや、そのぉ……」 クレアは調子に乗って自滅したことを恥じ入るようにうつむいた。「ほら、観客に応えないと」 王子はクレアに大歓声の観客を見せる。 そこには最後まで王族相手に死力を尽くした、テトリスの女神に対して惜しみない拍手、歓声を捧げる総立ちの観客たちがいた。「あ&helli
最終更新日 : 2025-10-31 続きを読む