「ちょ、ちょっと待て……。どんな……、アニメを観てるんだ?」 よく考えればアニメといっても別に日本に限ったことではない。タケルは恐る恐る聞いてみる。「ん? 最近は長寿のエルフの物語にはまっとるんじゃ」「えっ……ま、まさか……。好きなキャラとか……は?」「あー、それぞれ魅力があるがのう……。最近はほれ、断頭台の……」「アウラ!」 タケルはそう言って頭を抱えた。なぜ日本アニメをこんなところで観ているのだろうか!?「なんじゃ、なぜお主も観ておるんじゃ?」 ネヴィアはキョトンとした顔をして小首をかしげた。「ちょ、ちょっと見せてよ!」 タケルはネヴィアの肩をガシッとつかんではげしく揺らす。「うわぁぁ! え、ええが、拘束を解いてくれんとなぁ」「斬りかかって来ない?」 タケルはジト目で見る。何しろこの娘はさっき自分を斬り殺そうとしていたのだ。「アニメ好き仲間を攻撃などせんよ。カッカッカ」 ネヴィアは楽しそうに笑った。 ◇ その後、タケルはネヴィアから魔法についての情報や、日本のコンテンツが集積されているデータベースへのアクセス方法など、多くの情報をもらった。もちろん核心の情報は得られなかったが、周辺の情報だけでもタケルにとっては宝の山である。お礼にフォンゲートと金貨を一袋渡しておいた。「今日はありがとう。これからいろいろ相談させて。ネヴィアも何かあったらフォンゲートで呼んでね」 タケルは右手を差し出す。「うむ。たまには遊びに来てくれ。アニメは一緒に見る人がいた方が楽しいからな。カッカッカ」 ネヴィアは握手をしながら楽しそうに笑った。 一体二人の間に何があったのかよく分からないソリスとクレアは、微妙な表情でその様子を見ていた。廃墟と化していた古代遺跡の管理人の少女と、彼女から何かを受け取ったタケル。それはきっと世界を揺るがす大発見になるはずだったが、きっとタケルは公にはしないのだろう。ソリスも護衛中に知り得た情報は漏らすことはできない。 ソリスとクレアはお互い目配せし、肩をすくめた。 ◇ その後、事業は順風満帆に急速に伸びていった――――。 フォンゲートの人気は圧倒的で、成人への普及率は八割を超え、他の国へも急速に広まっていった。 こうなると信用創造の効果は莫大で、ジェラルド陣営の貴族、傘下の企業には湯水
Last Updated : 2025-11-23 Read more