Todos os capítulos de 【金こそパワー】ITスキルで異世界にベンチャー起業して、金貨の力で魔王を撃破!: Capítulo 51 - Capítulo 60

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52. 銀の鎖の男

 奪還作戦最終日――――。 Orange軍は毎週奪われた村々の奪還作戦を粛々と実施し、数か月もすると旧領土は残すところ村一つとなっていた。「さーて! バッチリ決めますよぉ!」 |氷結《クリスタル》|幻影《ミラージュ》で出撃したクレアは、純白の翼を青空に輝かせながらグングンと高度を上げていった。 いつも通り超音速でターゲットの村をカッ飛んでいくクレア。|氷結《クリスタル》|幻影《ミラージュ》に取り付けられた魔力探知機が、地上の魔物の位置をレーダーのように捕捉していった。 すると前方に大きめの反応がいくつか浮き上がる。明らかに待ち伏せしているような布陣である。「クレア! |右急旋回《ハードスターボード》!」 画面を食い入るように見つめていたタケルは、焦って叫んだ。「|了解《ラジャー》! くっ!」 クレアは素早く操縦桿を倒すが、同時に森の中からファイヤーブレスの火柱がすっ飛んでくる。ワイバーンが潜んでいたのだ。 ゴォォォォ! ギリギリで直撃は免れたものの、激しい灼熱の閃光が画面を真っ白にしてしまった。 しかし、クレアは慌てず目を閉じゾーンに突入すると、冷静に体に染みついた機体の動きを思い出しながらバレルロールでファイヤーブレスをくるりと回避し、スロットル全開で上空へと離脱した。それはクレアでなければできない神がかった凄技だった。 やがてカメラの視界が戻ってくるとクレアはニヤッと笑い、機体を背面宙返りさせていく。青空に純白の美しい機体が陽の光を浴びてキラリと輝いた。 追いかけ始めていたワイバーンたちはそれを見て本能的に恐怖を感じる。華奢で小さな機体。しかし優雅に宙返りする姿には王者のオーラの香りが漂っていたのだ。「おいおい! 敵は三体だぞ! 無理するな」 タケルは思わず叫んだが、クレアは操縦桿の先端に付けられた発射ボタンのカバーをパカッと開けた。「この空は私のよ! ファイヤー!」 超音速で急降下しながら|炎槍《イグニスジャベリン》が次々と放たれていく。 ズン! ズン! 
last updateÚltima atualização : 2025-12-13
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53. 炎の牢獄

 なんだかどっと疲れが出てしまったクレアは、一人アバロンの保養所へと帰っていった。本当は単独行動は禁止されていたのだが、タケルは話も聞いてくれないし、休養にまで誰かについてきてもらうわけにもいかない。 王都行きの魔導バスに揺られながらクレアはぼーっと車窓の景色を眺めていた。白い雲がぽっかりと浮かぶ青空のもと、丘陵にはどこまでも麦畑が広がり、小さな赤い三角屋根の家がポツンと見える。そこでは老夫婦が楽しそうに何かを話していた。 自分たちの活躍により、彼らの穏やかな日常が守られたのかもしれないと思うとクレアは誇らしく思うものの、謎の男の存在がどうしても気になってしまい、はぁと重いため息を漏らす。 数時間揺られたクレアは、王都近くの街で降りた。そこからは迎えに来ていた使用人の馬車に乗って久しぶりの保養所にやってくる。 以前は毎月魔石の補充に来ていたクレアだったが、今ではゴーレムが代わりにやってくれているので最近は訪れていない。ただ、サーバーラックの増設が必要だということなので一度は様子を見に来ようと思っていたのだ。 部屋に荷物を置いたクレアは早速裏山の洞窟へと足を運ぶ。途中、藪の中でひそかに警備しているゴーレムの様子を見つけたクレアは声をかける。「お疲れ様っ!」 グァッ! いかつい岩でできた身長二メートルを超えるゴーレムにはコケが生え、しばらく身動きもしていないようであったが、それでもじっと異状が無いか森の中を見つめ続けていた。 狭い入口についた金属の扉を|軋《きし》む音と共に押し開け、身を低くしてその秘密の空間へと足を踏み入れると、目の前には夜空に浮かぶ無数の星々のような青い光が、輝きを競い合うかのようにチカチカと瞬いていた。「うわぁ、素敵ねぇ……」 以前来た時よりはるかに盛大に瞬く光の洪水にクレアは圧倒される。一つ一つのランプは誰かが想いをもってどこかへアクセスしている輝きであって、それはまるで人類の熱い想いの活動を一堂に集めた『想いの宝石箱』のように見えた。 その時だった。グオォォ! というゴーレムの咆哮に続き、ズガーン! という、激しい衝撃音が
last updateÚltima atualização : 2025-12-14
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54. 可憐なる抵抗

 その直後、炎がブルブルっと震えた――――。 え……? 真紅に輝く目をギラリと光らせながら魔人が炎の中から飛び出してくる。魔人は紫色に輝く短刀を振りかざし、一気にクレアに襲い掛かった。 キャァッ! ゾーンに入っているクレアは何とかギリギリ、銃身で受け止める。 くぅぅ……。「おい、小娘! 今のはちぃとばかしヤバかったぞ?」 銀髪をチリチリと焦がした魔人は、赤い目をギラリと光らせながら短剣を押し込んでくる。「なんで無事なのよぉ!」 力では到底かないっこないクレアは銃を振り切りながら横にすっと回避し、ファイヤーボールを撃ちながら逃げ出した。 魔人は涼しい顔でファイヤーボールを一刀両断にすると、嗜虐的な笑みを浮かべながら紫色に輝く刀身をペロリと舐めた。         ◇ 洞窟で緊急魔法が炸裂したことは第一級の緊急事態であり、タケルのスマホにも緊急速報が流れる。しかし、タケルは祝勝会の席で盛り上がっており、その警告音に気がつかなかった。 次々と大声で話しかけてくる酔っぱらいに囲まれ、タケルも辟易としていたが、功績のある者達をむげにはできない。ポケットの奥で鳴り響いてるスマホの音は運命の|悪戯《いたずら》にかき消されていってしまった。          ◇ クレアは奥の倉庫に逃げ込むと重い鉄の扉を閉め、しっかりとカギをかけた。サーバーの異常はタケルにも伝わっているはずだから、きっとタケルが助けに来てくれる。クレアはそう信じて時間稼ぎに出たのだった。「タケルさん……、早くぅ……」 クレアはガタガタ震えながら手を組んで、来ないタケルを待ち続けてしまう。 ガンガンガン! 扉を乱暴に叩く音が響き、クレアは縮みあがる。「ひぃぃぃぃ! タケルさぁぁぁん!」 クレアの碧い瞳には涙があふれてきた。
last updateÚltima atualização : 2025-12-15
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55. 魔王軍のターン

 祝勝会の会場で、タケルは、いきなり心地の悪い不安に|苛《さいな》まれる。周囲の空気が突如として重くなり、落ち着きを失って名もなき焦燥感に飲み込まれていく。「ちょっと失礼」 タケルは湧き出してくる悪い汗をぬぐいながら席を立つと、スマホを取り出し、画面を開いて固まった。「な、何だ!? こ、これは……!?」 そこにはクレアの死闘を示唆するメッセージが並び、さらに魔法通信が圏外となっていて何もできなかった。これはデータセンターでとんでもないことが起きていることを示している。「た、大変だ!! ネ、ネヴィア! ど、どこ!?」 タケルは真っ青になって会場内を見渡し、奥のソファーでソリスと盛り上がっているネヴィアに走った。「ネヴィアーー! データセンターに今すぐ連れてって!」「うぃ? なんじゃ、気持ちよく飲んどるのに……」 ネヴィアはトロンとした目で面倒くさそうにタケルを見あげる。「なんかありましたの?」 ソリスは赤ワインのグラスを傾けながらチラッとタケルを見た。「通信が全滅してる。データセンターで何かがあったんだ!」「ほう、それは大変じゃな。で、我か? ふぅ……。我にばかり頼りおって、しょうがないのう……。どっこいしょ」 ネヴィアは渋々立ち上がると、指先で空間をツーっと裂いた。「ソリスさんも来てくれませんか?」 タケルは手を合わせて頼み込む。「えー……。時間外割増料金がかかるわよ?」 ソリスは面倒くさそうに肩をすくめる。「ク、クレアに何かあったかもしれないんです!」 タケルが頭を抱えて叫ぶと、ソリスはピクッと眉を動かし、何も言わずにすくっと立ち上がる。「急ぎましょ!」 大剣を背中に背負ってホルダーのベルトをガチっとはめると、ソリスは真っ先に空間の割れ目を開いて跳び込んでいった。
last updateÚltima atualização : 2025-12-16
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56. 天崩滅魔

 |棺《ひつぎ》の中で、クレアはまるで眠っているかのように美しく、今にも微笑みながら目覚めてくるようにすら思えた。だが、頬に触れた瞬間、タケルはその冷たさに現実を突き付けられ、湧き上がってくる激しい悲しみに心が壊れそうになる。 自分がこんな仕事を頼まなければ、彼女は王都で楽しく暮らしていたはずなのだ。タケルは一番大切な人を自分のせいで亡くしてしまったことに耐えられず、棺のそばから動くことができない。 データセンターを作り直し、Orange軍を再起動せねばならなかったが、タケルには全てがどうでもよくなっていた。 クレアのいない人生にどんな意味があるのか皆目見当がつかず、タケルはただポタポタと涙を流し続ける。知らぬ間にあのクレアの輝く笑顔が自分の心の中を占めていたことにようやく気がつき、自分のバカさ加減が本当に嫌になってしまったのだ。「おい、魔王軍が集結しているらしいぞ」 ネヴィアはタケルをいたわるように、そっと顔をのぞきこみながら小声で言った。「殺す……。弔い合戦だ……」 タケルはボソッとつぶやく。「いやしかし、スマホが使えんなら何もできんじゃろ? どうするんじゃ?」 タケルはクレアの冷たい手を握ったまま、じっと思いを巡らす。 |仇《かたき》を取らねばならない。魔王をこの手で粉砕してやるのだ。でも、どうやって……? 軍隊は動かせず、エースパイロットも失われた。一体どうやって……? くぅぅぅ……。 全てを奪われてしまったタケル。かたき討ちと言いながら、使える手が何もなかったのだ。 この時、タケルの脳裏を悪魔的な発想が貫いた。武器など何もいらない、全部吹き飛ばしてやればいいのだ。それは常軌を逸したまさに禁じ手だったが、今のタケルには気にもならなかった。「これだ……。これだよ……。最初からこうすればよかったんだ!」 タケルは目を見開き、ガバ
last updateÚltima atualização : 2025-12-17
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57. 比類なき狂気

「下手をしたらこの大陸が消し飛ぶぞ?」 ネヴィアはタケルを非難するようににらんだ。魔石というのは膨大なエネルギーの集合体。それこそTNT火薬なんかよりずっとエネルギー密度は高いのだ。岩山全体の魔石を爆弾として使えば、核爆弾を超えるエネルギーが放出されるに違いない。「大丈夫さ。僕の計算だと|天崩滅魔《ヘヴンズフォール》なら百キロ以内が火の海になるだけさ。ハハッ!」「ひゃっ、百キロ!?」 ネヴィアは思わず宙を仰いで頭を抱えた。タケルは魔王支配域全体を焼き払うつもりなのだ。それは恐竜を滅ぼした隕石の落下のようにこの星の全てを変えてしまうかもしれない。ネヴィアはその予測不能の暴力に気が遠くなりそうになった。 タケルはどんどん小さくなっていく岩山を見ながら言う。「ねぇ、宇宙へ連れていってよ」「う、宇宙?」「ここに居たら焼け死んじゃうかもだし、その瞬間をしっかり見ておきたいのさ」 タケルはひと仕事やり終えたさっぱりとした顔で言った。「……。ふぅ、しょうがないな……」 ネヴィアは大きく息をつくと、両手を高々と掲げ、二人をすっぽりと包む大きなシャボン玉状のシールドを張り、そのまま空へと高く持ち上げていった。 うっそうと茂る暗黒の森が眼下に広がり、それがどんどんと小さくなっていく。湖が光り、山脈が見え、雲を突き抜け、ぐんぐんと高度を上げていった。遠くの方にキラキラと金色に輝くものが飛んでいるのが見える。「よしよし、|天崩滅魔《ヘヴンズフォール》は順調に飛んでいるな」 青かった空は上空へと上がって行くとやがて暗くなり、眼下には霞んだ森が広がり、雲が流れているのが見える。宇宙へと足を踏み入れたのだ。 |天崩滅魔《ヘヴンズフォール》も真っ黒な宇宙を背景にキラキラと輝きながら徐々に上昇をやめ、今度は魔王城めがけて放物線を描きながら急降下していく。 それは前代未聞のカタストロフィの襲来であり、まるでアポカリプスを知らせる鐘のように激しい衝撃波を放ちながら、爆破予定地点へと着実に近づ
last updateÚltima atualização : 2025-12-18
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58. 碧き魔王城

 やがて、徐々に落ち着いていく輝き……。 そっと目を開けて見れば、世界の終わりを告げるかの如き天を|穿《うが》つ巨大なキノコ雲がそびえている。灼熱の輝きを放ちながら、ゆったりと昇るキノコ雲はこの世のものとは思えない禍々しさで、まるで神話に出てくる神の怒りのようだった。 爆心地から白い繭のように衝撃波の球体が音速で広がっていく――――。 広大な燃え上がる炎の森に襲いかかった衝撃波は火砕流のように全てを吹き飛ばし、炎と共に木々は舞い、沸き上がる湖は霧消していった。その、全てを飲みこむ圧倒的暴力はもはや美しさすら|湛《たた》えている。 タケルは無言でその未曽有の|殲滅《せんめつ》劇を眺めていた。きっとクレアを殺した魔人もこれで死んだに違いない。もし、魔人と共存共栄できる道があるならばそれを模索するのもありかもしれないなどと、昔は甘いことを考えていたが、今となってはその甘さに激しい怒りを覚えてしまう。 クレアを殺すような連中と組むことなど絶対にありえない。全力で叩き潰す以外の選択肢などないのだ。 終末の風景を眺めるタケルの頬には静かに涙が流れている。「気が済んだか……?」 ネヴィアは渋い顔をしながら重いため息をついた。「そうですね。これで魔王も倒せたでしょうし、クレアも浮かばれると思います」「いや、魔王様は……」 ネヴィアは何かを言いかけて首を振り、口をつぐむ。「え……? ネヴィアは魔王のことを知ってるの?」「まぁ、行けばわかるじゃろ」 ネヴィアはため息をつきながらシールドを操作し、魔王城の方へと飛ばしていった。         ◇ 爆心地付近は活火山の火口のように一面のマグマの海で、黒く冷えて固まった表面も裂け目ができると赤黒い溶岩が顔をのぞかせる。「あれが魔王城じゃな」 ネヴィアの指さす先には、まるでマグマの海の上に浮かぶようにガラスの立方体が建っ
last updateÚltima atualização : 2025-12-19
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59. 海王星の衝撃

 タケルは魔王城に近寄り、どこか出入り口は無いかと手の甲でカンカンと叩きながら構造を探っていく。しかし、まるで水族館の大水槽のように継ぎ目一つなく、ただ、ひんやりと冷たいガラスが続いているだけだった。汚れ一つない透明感をたたえるガラスをのぞきこんでも、中心部には漆黒の闇が広がり、青色に輝く不思議な光の微粒子がチラチラと舞っているばかりだった。 手詰まりとなったタケルはネヴィアに振ってみる。「なぁ、ネヴィア。お前はここの中に入る方法を知っているんだろ?」 ネヴィアは腕を組み、渋い顔をしてタケルの行動をじっと見つめていた。「魔王様に会ってどうするつもりじゃ?」「分からない……。でも、僕はそいつに会わねばならない気がするんだ」「『分からん』じゃ、紹介しようも無いんじゃぞ?」 ネヴィアは険しい目でタケルを見る。やはり、ネヴィアは魔王への会い方を知っていたのだ。「……。僕は……、本当のことが知りたいんだ。魔人とは何者で、魔王は何がしたいのか? クレアはなぜ死ななければならなかったのか? 知らなければもう生きてはいられないんだ」 タケルは自然と湧いてくる涙をポロポロとこぼしながら、ブンッと、こぶしを振った。「……。ええじゃろう。お主は規格外じゃからな。こんなところまで来た人間は初めてじゃ」 ネヴィアはふぅと大きく息をつくと魔王城に近づき、指先でそのガラスの表面に不思議な図形を描いた。 ヴゥン……。 重厚な電子音がしてガラスの表面にパキパキっと格子状に割れ目が入り、その部分がすゅうっと奥へと引っ込んでいく。通路ができたのだ。「ついてこい」 ネヴィアはタケルをチラッと見ると、魔王城の中へと進んでいった。        ◇ 古代遺跡の管理人、ネヴィアが魔王城への入り方を知っていた。それはタケルにの心中に複雑な想いを巻き起こす。ネヴィアとうまくコミュニ
last updateÚltima atualização : 2025-12-20
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60. 選択の結果

「今参ります!」 ネヴィアはそう言うと、タケルの手を取ってピョーンと跳び上がる。 うわぁ! タケルはコロニーの上空へと連れていかれた。しかし、跳び上がってしまえば基本無重力である。二人は不思議な軌跡をえがきながらやがて男性の方へと近づいて行く。 ネヴィアはくるりと回って着陸態勢に入ると、タケルにも足を床の方へと向けさせた。 おわぁ!「上手く着地するんじゃぞ!」 かなりの速度で回っている床に、ネヴィアは一足先にスライディングするように着陸すると、タケルの身体を受け止める。 よいしょー! タケルはネヴィアに抱きかかえられるようにして何とか床に着地した。 ふぅ……。 安堵しているタケルの元に男性がニコニコしながら近づいてくる。「|地球《ジオスフィア》|管理局《ネクサス》へようこそ!」 ダボっとしたわずかに金属光沢を放つジャケットを着た、気さくな男性はにこやかに右手を差し出した。 タケルは困惑しながら握手をする。「あ、あなたが……、魔王……ですか?」「あぁ、それは魔人たちが勝手にそう呼んでいるだけさ。僕は|瀬崎《せざき》|豊《ゆたか》。ただの|管理人《アドミニストレーター》だよ」 瀬崎は面倒くさそうに肩をすくめた。「瀬崎……? もしかして……」「そう、僕も日本出身さ。まぁ座って……」 瀬崎はそう言いながら会議テーブルの席を案内した。  は、はぁ……。 タケルは人類の敵、クレアの仇である魔王が、こんなスペースコロニーで働いている日本人だったことに混乱を隠せない。 瀬崎はコーヒーを入れたカップをタケルに差し出す。「いやぁ、まさかあんな攻撃を繰り出してくるとは完全に予想外だったよ。おかげで魔王軍は全滅。君の完勝だな」「なぜ……、なぜこんなことをやっているんですか?」 タケルは声を震わせながら、極力冷静に努めながら聞いた。「これが……宇宙の意志……だからかな?」 瀬崎は自分も納得していない様子で、渋い表情を浮かべながら首をかしげる。「人を殺すのが宇宙の意志だって言うんですか!?」 タケルはガン! と、テーブルをこぶしで叩いた。こんなところで涼しい顔で人類を手玉に取っている構造など許しがたいのだ。「うん。君の怒りは良く分かる。僕も最初そう思ったからね」「人生はゲームじゃないんだぞ! みんな必死に生きているんだ!」 
last updateÚltima atualização : 2025-12-21
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61. 蛇の道は蛇

「クレアちゃん……、呼び戻す?」 見かねた瀬崎はボソッとつぶやく。 へ……? タケルはその耳を疑うような言葉に固まった。「瀬崎様! そ、それは禁忌……」 横で聞いていたネヴィアが真っ青な顔で言いかけるのを遮って、タケルがガバっと体を起こす。「そ、そんなことできるんですか!?」 涙でグチャグチャになった顔を隠しもせず、瀬崎をまっすぐに見つめるタケル。「はっはっは! 君がそんなこと言うなんてね。自分の存在をなんだと思っているんだ?」 瀬崎は楽しそうに笑った。「じ、自分……ですか……? あっ!?」 タケルは自分自身死んで転生してこの世界にやってきたことを思い出す。死は終わりではないのだ。それは自分の存在が証明していた。「瀬崎様、マズいですよぉ……」 ネヴィアは眉をひそめながら小声で言う。「もちろん、命の再生は女神様の専権事項。僕がやったら捕まっちゃうよ。でも、蛇の道は蛇。バレなきゃいいのさ」 瀬崎は悪い顔でニヤッと笑った。「ど、どうやるんですか?」 タケルは身を乗り出す。「これさ」 瀬崎はそう言いながらポケットから小さなガラスのかけらを取り出し、テーブルに置いた。「え……? こ、これは……?」 タケルは恐る恐る手を伸ばし、そのガラスの破片を手に取ってみる。まるで目薬のような不思議な形をしたそれは、光にかざしてみると中に集積された微細な構造がキラキラと虹色に輝き、まるで宝石のように見えた。「も、もしかして……」 ネヴィアは嫌な予感を感じ、首を振りながら後ずさる。「君の想像通り。これをジグラートのサーバーに挿す。それで解決さ」「い
last updateÚltima atualização : 2025-12-22
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