「お前はクビ! とっとと出ていけ!」 夕暮れの食堂で、冒険者パーティーのリーダーがウンザリとした表情でタケルを罵倒した。「えっ!? な、なんで……? 僕の武器の整備で強い魔物も倒せるようになって……」「ありがとう! つまりもうお前なしでも十分勝てるってことなんだよ! はっはっは!」 リーダーは美味そうにビールジョッキをグッとあおった。「そうですよ、タケルさん。アイテムの整備はもう十分……。戦わない人はパーティには要らないわ。ふふふっ」 ビキニアーマーの女魔導士はリーダーの首に手を回しながら、|嗜虐《しぎゃく》的な笑みを浮かべる。「いや、契約書ちゃんと読んでくださいよ! それは契約違反ですよ!」 タケルはカバンから契約書を出すと、該当の条文を指さして怒った。「んー? どれどれ……?」 リーダーは契約書を受け取ると、鼻で嗤い、そのままビリビリッと破いて床にぶちまけた。「な、何するんだよぉ!!」 慌てて契約書を拾い集めるタケル。 しかし、リーダーはそんなタケルを思いっきり蹴飛ばした。 ぐはっ! タケルはもんどりうって転がる。「冒険者に契約書なんか関係あるかい! そういうところがお前はウザいんだよ。文句あるなら裁判所へ行けや! まぁ、訴訟費用があればだがな! はっはっは!」 くっ……! タケルはリーダーを見上げてにらむ。明日の食費すら心配な自分にそんな費用など出せるわけがない。「そしたら、僕は明日からどうやって食べて行けば……」「知るか、バーカ! お前のその陰気なツラ見てっと酒がマズくなる! さっさと出てけ!」 リーダーはおしぼりをタケルの顔に投げつけると、女魔導士のお尻に手を回す。「いやっ、ダメよ……」 女魔導士はまんざらでもない様子でほほを赤らめる。 タケルはギリッと奥歯を鳴らした。「分かったよ! その代わり、僕の力が必要になっても絶対に助けないからな!」「お前の力……? なんかあったっけ?」「逃げ足の速さ……よね? きゃははは!」 タケルは怒りでブルブルと震えた。今まで自分が整備してきた魔道具のおかげで高ランクのモンスターを狩り、Aランクパーティにまで達してきたというのに、感謝の一つもないのだ。「ぜっっっったい! 後悔させてやる!!」 タケルはビシッとリーダーを指さし、にらみつける。「後悔? ははっ、お前
Last Updated : 2025-10-23 Read more