「で、殿下! ここは陛下の寝殿です。困ります!」 未明の王宮で警備兵が異形と化したアントニオに叫ぶ。 アントニオは何も言わず、スラリと|幽玄の《エーテリアル》|王剣《レガリア》を引き抜いた。「で、殿下! 何をなさるのです!」 フンッ! 後ずさりながら叫ぶ警備兵を真っ二つに叩き斬るアントニオ。 ひ、ひぃぃぃ! 逃げだしたもう一人の警備兵だったが、アントニオは瞬時に追いつくと背中から一刀両断に斬り捨てた。 グハァ!「王族に意見するなど万死に値する!」 アントニオは不機嫌そうに血のしたたる刀身をビュッと振り、血を飛ばすとそのまま国王の寝室を目指した。 豪奢なインテリアの廊下を進み、ガン! と重厚な寝室のドアを蹴破ると、アントニオはのっしのっしと中へと入っていく。それはもはや魔物の襲撃そのものだった。「な、何者だ!」 いきなりの未明の乱入に国王は飛び起き、短刀を身構える。「父上、そろそろ隠居されて私に王位を継ぐというのはいかがでしょうか?」 アントニオは薄暗い室内で不気味に瞳を赤く光らせながら言った。「な、何をいきなり……。おい! 誰かここに!!」 国王は後ずさりながら叫ぶ。「無駄ですよ。寝殿には私と陛下しかおられませぬ。くっくっく……」「お、お前……、どうした? 正気を失っとるのか?」 国王はアントニオの異様な雰囲気に気おされる。「正気を失う? 逆ですよ。ようやく真実に気がついたのですよ、父上……」 |幽玄の《エーテリアル》|王剣《レガリア》をギラリと光らせながら、不気味な笑みを浮かべるアントニオ。「し、真実?」「最初からこうすればよかったんですよ」 アントニオは王剣を大きく振りかぶった。「待て! 王位ならくれてやる。お前が国王だ! だから剣をしま
Last Updated : 2025-12-03 Read more