【金こそパワー】ITスキルで異世界にベンチャー起業して、金貨の力で魔王を撃破!

【金こそパワー】ITスキルで異世界にベンチャー起業して、金貨の力で魔王を撃破!

last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-01
Oleh:  月城 友麻Ongoing
Bahasa: Japanese
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元プログラマーである転生者のタケルが付与されたスキルは【IT】。これは精緻な魔法陣をプログラミングできるというものだった。 早速テトリスマシンを作る。これができるのであればスマホも作れるのではないだろうか? と、気づいたタケルは異世界でAppleのような巨大ITベンチャーを起業しようと思いつく。 世界を一変させ、世界一の大金持ちになって、圧倒的な金の力で魔王を打ち倒してヒーローになってやると燃えるタケル。 会長令嬢のクレアも巻き込み、一気にIT革命を実現していくタケルだったが、急激な変化に快く思わない勢力も出てきてしまって……。 異世界IT起業家の未来はいかに!?

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Bab 1

1. 異世界テトリス

"آسفة يا آنسة ياسمين، لقد فاتك أفضل وقت لإجراء العملية..."

ظلت ياسمين واقفة متجمدة وهي تمسك بورقة التحليل التي تؤكد إصابتها بسرطان الرحم. بعد صمت طويل، اتصلت بسكرتير عمر، كريم الزهري.

رنّ الهاتف طويلًا قبل أن يُجيب أخيرًا، بنبرة لا مبالية كعادته:

"سيدتي، هل لديكِ أمر ما؟"

قبضت ياسمين أصابعها المرتجفة وقالت:

"أين عمر؟ أريد التحدث معه."

أجاب كريم:

"السيد عمر مشغول الآن ولا يستطيع الرد."

قالت بصوت متوسل:

"هل يمكنك أن تجعله يرد عليّ للحظة فقط...؟"

لكن قبل أن يكمل كريم كلامه، سمعت ياسمين من الطرف الآخر صوتًا ناعمًا:

"عمر، ما المفاجأة التي تخبئها لي حتى تتصرف بهذه السرية؟"

ثم جاءها صوت عميق مألوف حتى النخاع، لكنه كان يحمل حنانًا لم تنله هي أبدًا:

"ارفعي رأسك."

وفي اللحظة التالية، أنهى كريم المكالمة بلا تردد.

وفي الوقت ذاته...

بوم——

دوّى انفجار من جهة الميناء، فرفعت ياسمين رأسها بوجه شاحب.

ارتفعت في السماء المقابلة ألعاب نارية متلألئة، تتشابك ألوانها الزاهية في ليلٍ أزرق قاتم، فتبدو بجمالها كما في الأساطير.

أمام باب المستشفى، كان الناس يتحدثون بصخب:

"سمعتم؟ هذه الألعاب النارية التي أطلقها السيد عمر الراسني من شركة الأفق الأزرق لعيد ميلاد حبيبته، كلفته أكثر من مليوني دولار في ليلة واحدة!"

"إنها ليلى السويدي! حاصلة على دكتوراه من معهد كاليفورنيا للتكنولوجيا، نخبة تتنافس عليها أكبر الشركات المحلية، ذكية وجميلة ومن عائلة مرموقة، وحبيبها وسيم وقوي النفوذ!"

"ليس غريبًا أن يحبها السيد عمر الراسني إلى هذا الحد، حبيبة كهذه تُعتبر فخرًا له!"

ظلت ياسمين تحدق طويلاً في تلك الألعاب النارية الباذخة، ثم ارتخت قبضتها ليسقط ورق التحليل من يدها إلى الأرض.

استدارت ورحلت.

في ساعات الفجر الأولى، عاد عمر إلى المنزل، فوجد ياسمين جالسة في غرفة المعيشة دون أن تشعل أي ضوء.

رفع الرجل يده وأشعل المصباح، قطّب حاجبيه وقال:

"لماذا لم تنامي بعد؟"

رفعت ياسمين عينيها إليه، كان يحمل سترته على ذراعه، وعيناه السوداوان العميقتان تحدقان بها ببرود معتاد.

كانت تظن يومًا أن طبعه بارد بالفطرة، لكنها أدركت اليوم أن ذلك الجليد الذي ينام إلى جوارها ما هو إلا جمرة متقدة في قلب شخص آخر.

قالت بصوت خافت:

"لم أستطع النوم... ذهبت اليوم إلى المستشفى."

ألقى عمر سترته على الأريكة بلا مبالاة وسأل:

"وماذا قال الطبيب؟"

كانت ياسمين قد اشتكت منذ فترة من ألم في أسفل بطنها، وقد وعدها أن يرافقها للفحص، لكنه كان يؤجل دائمًا.

مرة بحجة عقد بملايين، ومرة بمشكلة معقدة في مشروع.

حتى البارحة وعدها أن يذهب معها إلى المستشفى، لكنه علم أن ليلى أخفت عنه عيد ميلادها، فسارع للحاق بها ولم يسعفه الوقت إلا لإطلاق الألعاب النارية.

أما ياسمين، فلم يجد وقتًا لها.

خفضت رأسها وقالت بهدوء:

" لا شيء يُذكر، مجرد أن أنتظر قليلًا وكل شيء سيكون بخير... لكن لماذا عدت إلى البيت اليوم؟"

توقف عمر لثوان، ثم اقترب منها.

ضمها إلى صدره، أنفاسه الحارة تتردد على عنقها، وصوته مبحوح:

"هذه الأيام هي فترة إباضتك."

وأضاف ببرود:

"لقد طلبتِ مني واتفقنا أن نكون معًا في هذه الأيام من كل شهر، حتى ننجب وريثًا لعائلة الراسني. أم أنك نسيتِ؟"

كانت رائحة عطر نسائي تفوح منه بوضوح، كرصاصة مزقت ما تبقى من كرامة ياسمين التي كانت تتشبث بها.

لم يكن مخطئًا؛ ثلاث سنوات من الزواج وهو بارد معها، لا يقترب منها إلا استجابة لإلحاح الحاجة الراسني بضرورة إنجاب وريث لعائلة الراسني.

تاهت ياسمين في أفكارها: طفل؟ لم يعد ممكناً.

كان طبعها دائمًا هادئًا وخاضعًا، لكنها هذه الليلة لم تعد قادرة على الاحتمال.

قالت بحدة:

"عمر، ألا تخشى أن تغار حبيبتك إذا جئت لتنام معي؟"

كانت عيناها تلمعان في الظلام، كحيوان صغير أظهر أنيابه أخيرًا.

تأملها عمر، ورأى جديتها، فبردت نظراته شيئًا فشيئًا.

ثم ابتسم ابتسامة باهتة لا تصل إلى عينيه وقال:

"ولماذا أخاف؟ نحن متزوجان سرًا، وأنتِ من تعيشين في الظل."

وتابع ببرود:

"بما أنكِ اخترتِ أن تكوني الدور الثانوي، فلا يحق لكِ المطالبة بالكثير."‬
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1. 異世界テトリス
「お前はクビ! とっとと出ていけ!」 夕暮れの食堂で、冒険者パーティーのリーダーがウンザリとした表情でタケルを罵倒した。「えっ!? な、なんで……? 僕の武器の整備で強い魔物も倒せるようになって……」「ありがとう! つまりもうお前なしでも十分勝てるってことなんだよ! はっはっは!」 リーダーは美味そうにビールジョッキをグッとあおった。「そうですよ、タケルさん。アイテムの整備はもう十分……。戦わない人はパーティには要らないわ。ふふふっ」 ビキニアーマーの女魔導士はリーダーの首に手を回しながら、|嗜虐《しぎゃく》的な笑みを浮かべる。「いや、契約書ちゃんと読んでくださいよ! それは契約違反ですよ!」 タケルはカバンから契約書を出すと、該当の条文を指さして怒った。「んー? どれどれ……?」 リーダーは契約書を受け取ると、鼻で嗤い、そのままビリビリッと破いて床にぶちまけた。「な、何するんだよぉ!!」 慌てて契約書を拾い集めるタケル。 しかし、リーダーはそんなタケルを思いっきり蹴飛ばした。 ぐはっ! タケルはもんどりうって転がる。「冒険者に契約書なんか関係あるかい! そういうところがお前はウザいんだよ。文句あるなら裁判所へ行けや! まぁ、訴訟費用があればだがな! はっはっは!」 くっ……! タケルはリーダーを見上げてにらむ。明日の食費すら心配な自分にそんな費用など出せるわけがない。「そしたら、僕は明日からどうやって食べて行けば……」「知るか、バーカ! お前のその陰気なツラ見てっと酒がマズくなる! さっさと出てけ!」 リーダーはおしぼりをタケルの顔に投げつけると、女魔導士のお尻に手を回す。「いやっ、ダメよ……」 女魔導士はまんざらでもない様子でほほを赤らめる。 タケルはギリッと奥歯を鳴らした。「分かったよ! その代わり、僕の力が必要になっても絶対に助けないからな!」「お前の力……? なんかあったっけ?」「逃げ足の速さ……よね? きゃははは!」 タケルは怒りでブルブルと震えた。今まで自分が整備してきた魔道具のおかげで高ランクのモンスターを狩り、Aランクパーティにまで達してきたというのに、感謝の一つもないのだ。「ぜっっっったい! 後悔させてやる!!」 タケルはビシッとリーダーを指さし、にらみつける。「後悔? ははっ、お前
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2. 澄み通る碧眼
「やるぞ……、やったるぞぉぉぉ!」 月を見つめ、武者震いするタケル……。すると、若い女の子の声がする。「あのぅ……、それ、何ですか?」 金髪の少女が碧い瞳をクリっと輝かせながら、好奇心いっぱいに声をかけてきたのだ。指さす先にはテトリスがピコピコと動いている。「あ、これは……ゲーム、ゲーム機です。やってみますか?」 挙動不審だった自分が恥ずかしくて真っ赤になったタケルは、テトリスマシンを差し出した。「ゲーム?」 小首をかしげる少女。薄手のリネンのシャツと、その上に重ねられた装飾的なボディスが、彼女の上品な雰囲気を演出していた。かなり裕福な家の娘に違いない。 タケルは少女の澄んだ碧い瞳に見つめられて、ほほを赤らめながら丁寧に説明していった。「ここを押すと右、ここで左、これで回転ですね……」「はぁ……?」 少女は押すたびにチョコチョコとブロックが動くのを見て、不思議そうに首をかしげた。「で、ここを押すと……」 タケルがブロックを隙間に落とすとピカピカと光って列が消える。「うわぁ! 面白い!」 少女は碧眼をキラッと輝かせて嬉しそうに笑った。「簡単でしょ?」「うん! やらせて!」 少女は受け取ると、好奇心いっぱいの瞳で画面を見つめ、ブロックを操作していく。 最初は下手だった少女も段々慣れてきて、うまく列を消せるようになってくる。「やったぁ! 四列消しよっ!」 少女は自慢げにタケルを見て、パアッと笑顔を輝かせた。「上手ですね、僕より上手いかも」 タケルは喜んでくれるのが嬉しくて、ニコニコしながら少女の横顔を見入る。不器用なタケルは、前世でも女の子に喜んでもらった経験などなかったのだ。 ものすごい集中力で
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3. わが師ジョブズ
 タケルがやってきたのはアバロン商会本店。目抜き通りにある豪奢な石造りの建物で、木の板にフェニックスをあしらったシックな看板がかかっている。中には煌びやかな宝飾品が並び、ボロい服を着たタケルではとても気軽に入っていける雰囲気ではない。「あのぉ、すみません……」 タケルは入り口の警備員にクレアと約束があることを告げた。「タケル様ですね。お待ちしておりました。どうぞこちらへ……」 警備員はにこやかにタケルを二階のVIPフロアへと案内していく。豪華で煌びやかな室内、床には赤いカーペットが敷かれてあり、庶民には実に居心地が悪い。タケルは店員たちの鋭い視線に渋い顔をしながら、警備員に着いていった。 洗練されたインテリアの応接室に通され、言われるがままにフワフワとした豪奢なソファーに腰かけたタケルだったが、とても場違いで居心地が悪い。出された紅茶の繊細な香りに圧倒されているとコンコンとドアが叩かれ、クレアが顔をのぞかせる。「タケルさん、お待ちしておりましたわ!」 クレアは満面の笑みで足早に入ってくると、後からは恰幅のいい紳士もついてきた。会長だろうか?「きょ、恐縮です」 タケルは慌てて立ち上がり、胸に手を当てて頭を下げた。「で、商品版はできましたの?」 クレアは待ちきれない様子でタケルの顔をのぞきこむ。「は、はい。こちらです……」 タケルは早速テトリスマシンをクレアに渡す。「わぁ……、随分……変わりましたね……」 クレアはハイスコア表示もされ、ブロックに色もついたテトリスマシンに目を輝かせる。「ほう……、これは珍妙な……。一体これは何なんだね?」 紳士はクレアの後ろからテトリスマシンをのぞきこみ、口ひげをなでながらけげんそうな顔で聞いてくる。「ゲームマシンよ? こうやるのよ!」 クレアは【START】ボタンをタン! と叩いた。「ほう……? なんか動いとるな……」「これは列を消して楽しむのよ!」 クレアは得意げにタン! タン! とボタンを叩き、次々とブロックを積み上げていく。そして『棒』のブロックがやってきた。「見ててよ! えいっ!」 クレアは得意満面に棒のブロックを|隙間《すきま》に落とす。 ピコピコっと点滅しながら四列が消えていった。「ほう! なるほどなるほど……、これは新鮮じゃな……。どれ、ワシにも貸してみなさい」 紳
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4. 夢を売れ!
「タ、タケル君、どうした?」 急に黙ってしまったタケルに会長は不審に思い、首をかしげる。 タケルはこの世界には珍しい黒髪の若者だった。お金には苦労していそうではあったが、清潔感のある身なりには好感が持てるし、話してみると大人の思慮深さを感じる不思議な雰囲気を纏っている。 長くお付き合いできればと、かなりいい条件を提示したつもりだったが、タケルは押し黙ってしまった。 すると、タケルは顔を上げ、覚悟を決めた目で会長を見つめた。「会長、一台当たり銀貨三枚でいいので、一万個売れませんか?」「い、一万個!?」 会長は目を白黒させ、タケルを見つめ返す。「多くの人が買える値段で一気に普及させたいのです」「ふ、普及って言ったって……、ゲーム機なんて前例のない商材は……」 会長は腕を組み、首をひねって考え込む。百個ならお得意さんに卸して行けばすぐにでも捌けるだろうが、一万個となると庶民向けの新規の流通経路がいるのだ。ゲームは面白いが、ゲームに大金を払える庶民なんて本当にいるのだろうか? 前例のない商品を新規の流通経路に流してトラブルにでもなったら、アバロン商会の信用にも傷がついてしまう。合理的に考えればとても乗れない提案だった。 渋い顔をする会長にタケルは両手を前に出し、まるで夢を包むように想いを込める。「テトリス大会を開きましょう! ハイスコアトップの人に賞金で金貨十枚を出すのです!」 起業家は商品を売る前にまず、夢を売らねばならない。前例のない提案でも熱い情熱で相手を動かす、それがわが師、スティーブジョブズの教えなのだ。「じゅ、十枚!?」「それ素敵! 私も出るっ! きっと私が優勝だわっ!」 クレアは太陽のように輝く笑顔で笑った。 その今まで見たこともないような、希望に満ち溢れた笑顔を見て会長はハッとする。娘がここまで入れ込むなんてことは今までなかった。つまりこれは新たなイノベーションであり、ブレイクスルーに違いない。ここは若い感性に賭けるべきでは無いか?「ふぅ……。タケル君……。キミ、凄いね……。うーーーーん……。分かった、一万個、やってやろうじゃないか!」 会長はタケルの手を取り、グッと握手をする。その瞳にはタケルやクレアから燃え移った情熱の炎が燃え盛っていた。 タケルも負けじと情熱を込め、グッと握り返し、うなずく。 かくして、テトリ
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5. 地響きのスタジアム
「プロモーションの方は進んでいますか?」 パウンドケーキの芳醇な甘さを楽しみながらタケルは聞く。「今、試用品をあちこちのお店に貸し出しているの。手ごたえは悪くないわよ。それと、市場の一角を借りてステージを作るの!」 クレアはグッとこぶしを握り、ニッコリと笑う。「ステージ……?」「ゲームが上手い人のプレイを見てもらおうと思うのよ!」「いやでも、こんな小さな画面じゃ遠くの人には見えませんよね?」「そ、そうなんですよね……」 クレアは眉をひそめ首をかしげた。一つの画面をのぞきこんでもらうのは数人が限界な事はクレアも気になっていたのだ。「……。分かった。じゃぁ、巨大画面版を作るから、大きなプレートを用意してくれますか?」 タケルはニヤッと笑う。「巨大画面!?」「そうです、二メートルくらいのサイズなら遠くからも見えるでしょう?」 異世界に登場する大型ディスプレイ。そんな物などこの世界の人は見たことないからきっと驚くに違いない。みんなの驚く姿を想像しただけで変な笑いが出そうである。「す、すごい! そんなことできるんですね。タケルさん、すごーい!!」 クレアはタケルの手を取るとブンブンと振った。 タケルはその嬉しそうに輝くクレアの笑顔に思わず胸が熱くなる。こんなビビッドな反応をしてくれる人なんて前世でも一人もいなかったのだ。モノづくりをする者にとって感動し、感激してくれることこそが最高の報酬である。 タケルはクレアの手をギュッと握って、軽く目頭を押さえながら何度もうなずいた。         ◇「なんでタケルさんって、こんなことできるんですか?」 クレアは尊敬のまなざしでタケルを見つめる。高名な魔導士ですら到底できないことを軽々とやってのける素朴な青年、それはクレアにミステリアスに映っていた。「僕のスキルがね、そういうことができる特殊な奴
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6. 生まれながらの気品
「さて! それでは予選を開始します! 私が『用意、スタート!』と言ったら、プレイを開始してください。最後まで残った8名が決勝トーナメントに進みます!」 うぉぉぉぉぉぉぉ!! プレイヤーたちはテトリスマシンを高くつき上げ、スタジアムは興奮のるつぼと化していく。それぞれ、今まで必死に寝る間を惜しんでテトリスを攻略してきたのだ。スポットライトを浴びるのは自分だとばかりに、テンションマックスで叫ぶ。「それでは行きますよーー? 用意は良いですか?」 急に静まり返るスタジアム。 さっきまでの歓声が嘘のように、みんな血走った目で合図を固唾をのんで見守る。「それでは……、スタート!!!」 パパパパーン! パッパー! 吹奏楽団がにぎやかなJ-POPメドレーを演奏し、プレイヤーたちは一斉にプレイに没頭した。「ゲームオーバーになったらもう再開しちゃダメですよ、スコアでバレますからね?」 ワハハハ! まだ余裕のあるプレイヤーたちから笑いが起こる。 タケルは会長と共にステージの袖から感慨深く観客席を見上げた。自分の些細な思い付きがあれよあれよという間にこんなに多くの人の熱狂に繋がっている。それはまるで夢を見ているかのようにすら感じるのだ。「いよいよ始まったな、タケルくん!」 会長もワクワクした様子でタケルの肩を叩いた。「えぇ、こんなに盛り上がるなんて最高ですよ! でも、テトリスはまだ第一歩にすぎませんよ?」 タケルはニヤッと笑って会長を見た。「え? 次は何を作るつもりじゃ?」「それはお楽しみです」 タケルは満面に笑みを浮かべながらステージを見上げる。 そう、これはまだスタート地点に過ぎない。これを足掛かりにスマホを作り、莫大な富を築き、そして魔王を撃ち滅ぼして人類の歴史に名を残す。それはITベンチャーをキーとした壮大な旅なのだ。でも、今『魔王を倒す』なんて言っても会長には頭がおかしいだけにしか見えないだろう。 ふはっ&helli
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7. ハングリーであれ、馬鹿であれ
 会長は王子に気おされながら言葉を紡いだ。「も、もちろん存じ上げております。いつぞやのパーティーでご尊顔は拝見しております」「なら、話は早い。護衛随伴は問題ないな?」「も、もちろんでございます。御心のままに……」 会長は冷汗を浮かべながら頭を下げた。「それから……。対戦においてわざと負けるとかは……許さんぞ?」 少年は真紅の瞳をギラリと光らせる。「えっ……、そ、それは……」「八百長は無しだ? いいか、分かったな?」「いや、しかし、王家常勝は大前提ですし……」 会長はあたふたしながら冷汗を垂らす。一般に王族が参加するイベントでは必ず王族が勝つように台本が用意されているのが習わしだった。「何……? その方、我は八百長せねば負けると申したか!」 少年はローブをバサッと翻し、腰に付けた剣に手をかける。黄金で王家の紋章が刻まれた剣の柄のブルーサファイヤが不気味に輝いた。 ひぃぃぃぃ! 会長は恐れおののいて床にへたり込んでしまう。 その剣は|幽玄の《エーテリアル》|王剣《レガリア》。王族だけに所持の許された『斬り捨て御免』の剣である。つまり、この剣であればだれを殺しても罪には問われないという絶対王政の象徴だった。「よいか? 八百長は無しだ。手を抜いているのが分かったら……」 少年は剣を少し抜いてチャキッと金属音を響かせる。「か、かしこまりました!」 会長は土下座して叫んだ。「よし! その方、我を案内せよ!」 ローブをバサッと脱ぎ去った少年の胸元には、金の鎖がきらめく宝石のように輝いている。彼の純白のジャケットは赤い立て襟で華やかに彩られ、美しい立ち姿で女性スタッフへと話しかける様子はまるで絵画の一コマのようだった。
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8. テトリスの女神
 決勝トーナメントでは高さ五メートルはある巨大プレートにテトリス画面を表示させ、それを二枚、ステージ上に並べた。プレイヤーは手元のコントローラーのボタンを叩いて操作する。 対戦テトリスには相手を邪魔できる機能が追加されており、二列以上同時に消すと相手側に、消せないお邪魔ブロックがランダムで降ってくるようになっている。つまり、二列以上をより早く消し続けた方が勝つのだ。 まずは、一般の部のトーナメントが行われ、白熱した対戦に会場は大いに沸いた。どんなに上手いプレイヤーでもお邪魔ブロックには手こずり、リズムを狂わされ、あっさりとヘマをして自滅していったりするのだ。 その、真剣勝負の中に現れる勝敗を分ける妙に会場は興奮し、声援が響きわたった。 そして、迎えた一般の部決勝戦、ひときわ高い声援がスタジアムを包み込む。歓声がうねりのように地響きを起こし、熱気が渦巻いた。 王子対応に奔走していたタケルと会長は、地響きが気になって、様子を見に来て呆然とする。「か、会長! クレアさんが残ってますよ!」「へっ!? あ、あの子はなぜそんなに強いんじゃ?」 クレアが勝ち残っていたことに二人は目を丸くし、クレアの激闘にくぎ付けになった。 クレアはノータイムで次から次へとブロックを回し、落としていく。そこには一切の迷いもなく、まるで機械のようにタタタターン! タターン! とボタンを軽快に叩いていった。 もちろん、対戦相手もかなりのものだったが、お邪魔ブロックの扱いに若干の戸惑いが見られ、そのわずかな差が新たなお邪魔ブロックを呼んでしまい、さらに差が開いてしまう。 そして、ついに対戦相手は手詰まりとなり、パーン! と両手でコントローラーを叩き、うなだれた。「けっちゃーく!! 勝者、クレアちゃーん!」 司会が叫ぶと、うぉぉぉぉぉ! という割れんばかりの歓声がスタジアムを埋め尽くした。 クレアは晴れやかな顔で両腕を青空に高く突き上げる。揺れる金髪が陽の光にキラキラと輝き、観客は皆この美しきテトリスの女神の誕生にくぎ付けとなった。「やったぁぁぁ! あっ、タケルさ
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9. 輝ける違和感
「ま、負けるとは申しておりません! ただ、腕が拮抗するだけ、テトリスに対する想いの強さを競う戦いになるだけです!」 タケルは胸を押さえながら必死に言葉を絞り出した。「想い……?」「そうです、本来ゲームとは想いと想いのぶつかり合い、どれだけ魂を熱く燃やせたかを競うものです! それをこの決勝戦での評価といたします」「ほう?」 王子は小首をかしげながら、タケルを鮮やかに輝く真紅の瞳でにらんだ。「技ではなく、ハート。これが本決勝戦でのテーマとなります」「考えたな……。これは誰の発案か? お主か?」 王子はまるで面白いオモチャを見つけたような笑みを浮かべる。「わ、私です……」「いいだろう。対戦終了後もう一度ここへ来い。お前の小手先の策略が正しかったかどうか裁いてやる。くっくっく……」 王子は嗜虐的な笑みを見せた。その真紅の瞳にはタケルの挑発に対する怒りと好奇心の混ざった炎が揺れている。「み、御心のままに……」 タケルは背筋を貫く悪寒にブルっと身震いをしながら頭を深々と下げた。       ◇ いよいよ決勝戦。タケルはクレアに事の次第を丁寧に伝え、最後の最後に上手く負けることをお願いした。接戦ののちに王子が勝てば丸く収まるはずである。 しばらく口をとがらせ、うつむいていたクレアだったが、何かを決心するとグッとこぶしを握り、にこやかに笑った。「分かったわ!」「ゴメンね、王族に逆らう訳にはいかないんだ」「ううん、いいの。私が全て解決してあげるわ!」 クレアは美しい碧眼を光らせ、タケルをまっすぐに見つめる。「あ、そ、そう?」 タケルはそのクレアの瞳の輝きに違和感を感じたが、クレアはスタッフに呼ばれてしまう。「じゃあ、行ってきまーす!」 クレ
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10. ゾーン突入
「そ、それでは位置についてくださーい!」 にらみ合う両者に気おされながら司会のお姉さんが声をあげる。 二人は席に着くと、コントローラのボタンをカチカチと押したり、首をグルグル回したり、座る位置を調整したりしながら気持ちを集中させていく。 数万の観衆が固唾をのんで見守る中、それぞれ想いを込め、その時を待った――――。「それではこれより決勝戦を開始します!」 うぉぉぉぉぉ! 委縮していた観客たちだったが、いよいよ始まる世紀の対戦に調子が戻ってきたようで、スタジアムは歓声に包まれた。 大観衆の元での王族と平民のゲーム対戦、それは王国始まって以来の歴史的イベントであり、必ずや後世語り継がれる試合になるに違いないと、観衆は興奮を抑えられなくなっている。「Ready……、GO!」 パパーッ! パパラッパー!! わぁぁぁぁぁ! 大歓声の中、二人は真剣なまなざしでプレイを開始した。 タタタッタンタン! タタッタタッ! クレアはクリっとした目で画面をにらみながら、目にも止まらぬ速さでブロックを動かし回し、落としていく。 王子は表情を一つも変えず、鋭い視線で優雅に小刻みにボタンを叩き、負けじとブロックの山を築いていく。 先行したのはクレア。 ハイッ! 掛け声とともにブロックを隙間に落として二列を消し、王子側にお邪魔ブロックを発生させた。 クッ! ピクリとその美しい顔をゆがめる王子だったが、即座にやり返す。 フンッ! しかし、クレアは顔色一つ変えず、次々とブロックを落としていった。 ハイッ! ハイッ! 続いてクレアの連続二列消し。 な、なんだと……。 王子は口をキュッと結んだ。 畳みかけると思われたクレアだったが、なかなかいいブロックが湧いてこない。ここでハンディキャップが効いてきたのだった。「な、何よ
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