「いいん……ですか? まだまだ子供ですよ?」 クレアの瞳には戸惑いが浮かぶ。「ここまでしっかりしてたら年齢なんて関係ないって」「し、しっかり? そ、そうかな……?」 可愛い口元に浮かぶ笑みに、タケルもにっこりと笑った。「そうさ」「ふふっ。やったぁ!」 クレアはタケルと重大な秘密を共有したことにワクワクが止まらなくなる。自分がタケルにとって一番頼れる存在なのだ。それは沈みかけていたクレアの心をパァッと明るく輝かせた。 それに、テトリスにしても電話機にしてもこの世界を大きく変える最先端のイノベーションをタケルと一緒にやっていける、それはクレアにとって夢の広がる大きなチャンスだった。「明日、詳細は相談させてね」「うん!」 クレアは嬉しそうにグラスをタケルのグラスに当てた。「夢広がるOrangeにカンパーイ!」「秘密サーバー管理者にカンパーイ!」 二人は笑顔で見つめあった。 いよいよOrangeが動き始める。異世界にITの力でイノベーションを起こし、莫大な金で人間界で確固たる地位を築き、魔王を蹂躙してやるのだとタケルはグッとこぶしを握った。 ◇ カラン、カラン……。 その時新たな客が入ってくる。 タケルはチラッと見て思わず顔をそらしてしまった。それは自分を追放した冒険者パーティのリーダーと女魔導士だったのだ。 彼らはこのレストランにはほとんど来なかったのに、今日は運が悪かった。もちろん、顔を合わせたとしてもどうということはないのだが、気まずく感じてしまう。 しかし、タケルが目をそらしたのをリーダーは見逃さなかった。「おーっと、役立たずくん、見ーっけ! うぃ~」 リーダーは大声を出しながら千鳥足で近づいてくる。どうやらかなり酔っているようでとてもまともな受け答えができそうにない。
Last Updated : 2025-11-10 Read more