Semua Bab ミルメコレオ ─宇宙スライムのヒューマノイド観察日記─: Bab 1 - Bab 10

18 Bab

プロローグ

 貨物を運ぶ宇宙船の中は、機器を操作する音の他は、ほとんど静寂と言ってよかった。「コーヒー、飲みます?」 巨大な船は、ほとんどがAIによって操作される。 人間の搭乗員は二人だけ。 ただの生活物資を運ぶ、決まりきった航路の民間船。 実際には一人で充分だが、緊急時に備えて二人乗りと規約で定められていた。「ありがとう。でも、交代の時間には早いんじゃないか?」「こう頻繁にアラートが鳴ってちゃ、寝てらんないっすよ」 ため息をつき、ダニーは2つある操縦席の空いている方に座った。「最近のセンサーは過敏だからな。かなり距離のある磁気嵐も感知する」「ストームスポット……ですっけ? あんな距離のものまで警告する必要ないと思うんですけどねぇ」 片方のカップをエドに渡し、ダニーは自分のカップに口をつける。 合成だが、香りはかなり本物に近い。 長旅の宇宙船は、艦内に重力発生装置もあり、湯気がたゆたい、手を離せば床に落ちる。「今どき、こちらの航路で貨物を運ぶ路線が残ってることのほうが不思議さ」 エドが言った。「ストームスポットの奥には罠がある……。スポットラップの伝説……でしたっけ? そんなものに怯えて、わざわざ迂回路を飛ぶなんて、莫迦みたいじゃないっすか?」「スポットラップは、本当に存在するぞ」「まったまたぁ! 確かに磁気嵐が集まってるストームスポットは、なかなか解明が進まないとは聞きますけど、逆にそんな場所に、生き物がいるわけないじゃないっすか!」「ストームスポットが確認され、迂回路も整備され、いまや "伝説" なんて言われちゃいるが、実際にスポットラップは存在するのさ」「まさかっ! 見てきたみたい言ってぇ!」 冗談として打ち消そうと、ダニーはことさらおどけた調子で返したが。「……ああ、見てきたのさ……」 エドは、目線をストームスポットのある方角に向けたまま、短く答える。 その様子に、ダニーは微かな恐れと大きな好奇心を抱いた。
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1.出会い

 目を覚ましたとき──自分が凍眠カプセルのようなものに寝かされていることが、わかった。 最後の記憶は、磁気嵐に見舞われて、全ての計器が異常な数値を示し、狂ったようにアラート音が鳴り響いていたこと。──そして、衝撃……。 ハッとして、エドは腕を上げる。「うわっ!」 透明な──液体とも固体ともつかないベトベトしたものが、首から下を包んでいた。「あ、目が覚めた?」 それは、耳で聞き取っているのとは違う、直接頭に響く "聲" だった。「誰だ……?」「だれ? だれ……は、名前を知らない相手を呼ぶ時の代名詞……だっけ? ヒューマノイドは個の概念が細かいからなぁ」 エドの体を包んでいたベトベトが、ぬるりと動いた。「ええっと……、僕は、僕。磁気嵐で遭難していたきみの船を回収したんだ。生存者がいたのは久しぶり! きみ、お腹が裂けてたんだ。回復してよかったねぇ!」 ベトベトはカプセルの外に出ると、するすると人型を形作り、たちまちエドにそっくりの姿になった。 しかもそれは、救助された時の姿。 斜めに倒れ、腕は関節と関係のない位置で折れ、腹が裂けて内臓の一部が溢れ出ている。 血の気の引いた顔、虚ろな瞳には生気がなく、ただエドの顔を写している。「うわっ! うわあっ!」「あれ? あ、ごめん。ヒューマノイドは、こういうビジュアルを見せられると、混乱する種族だったね。忘れていたよ」「おまえは一体、なんなんだっ!」「だから、僕は僕。ごめんね、ヒューマノイドと違って僕たちには個を識別するって概念がなくてね。固有名詞? 名前? っていうのが、ないんだよ」 人型を失い、ベトベトはぷるりとした球体になった。「不定形生物……か? しかし……」「あ〜、ヒューマノイドは、僕たちみたいな知的生命体の存在を嫌う? 怯える? からね。存在がわからないようにしているよ」「だが、おまえは……」「僕は、ヒューマノイドの文化にすごく興味があるんだ! ここは僕の家! 家って概念も、ヒューマノイドのものだよね。この宇宙域は磁気嵐が発生しやすい環境でね。ヒューマノイドの宇宙船がたくさん遭難してるんだよ。だから僕は、それを集めて家にしたんだ!」 ぷるり、ぷるりと動く様は、ゼリーのように見えなくもないが。 頭に響くその声は、むしろ無邪気な印象しか無い。「ジョンにそっくりだ……」「
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§

 傷が癒えるまで、最初に寝かされていたカプセル状のものから、出ることは出来なかった。「それは*****星域のヒューマノイドが使う、回復カプセルだよ。怪我や病気の治療をするための道具。使い方はマニュアルを見たけど、きみとはちょっと種族が違うのかな?」 *****の部分は、聞き取れなかった。「聞いたことのない星域だ……」「きみの乗ってきた宇宙船と、仕様が違っているから。きっと違う種族だと思ったんだ。でも、きみの怪我が治っている様子からすると、似ている要素があるのかも。僕はヒューマノイドの構造に詳しくないから、比較は出来ないけど」 回復カプセルは、原理はわからないが横たわっているだけで "全て" が整った。 手当はもちろん、カプセルに横たわっていると空腹を感じない。 それは排泄も同様で、エドはただ、カプセルの中で眠り、起きている間はジョンと会話をするだけだった。「きみの話は面白いね!」 弾んだ声で、ジョンが言う。「なにも、面白いことなど言ってないと思うが?」「貨物って概念が面白い。僕が漂着物を集めて家を作るのと違って、欲しいものを選んで手に入れるんだろう?」「そんなことが面白いのか? というか、そもそもジョンは、どうやって言語を習得したんだ?」「漂着した遭難船のコンピューターだよ。動かないものも多いけどね」「コンピューター? データベースを調べたのか?」「それは、なんだい?」「カプセルのマニュアルと同じだ。最近の船は、乗組員を減らすためにAI搭載のコンピューターを付けている。データベースは、コンピューターのための基礎知識のようなものだ」「なるほど、知識を集約しているものをデータベースと呼ぶのだね」 回復カプセルの周囲が、薄暗くなる。「ああ、休憩サイクルだね。おやすみ、エド」「おやすみ、ジョン」 エドが眠りについた後、ジョンはいそいそと部屋を出た。
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2.データベース

 次に目覚めた時、エドの横にはエドがいた。「うわっ!」「やあ、目が覚めたね。回復カプセルが、きみの体調はオールグリーンと教えてくれた。グリーンは問題なし、レッドは問題あり。オールグリーンは、きみの傷が完全に癒えたってことだよね?」「そう……だな。……なぜ、その形に?」「データベースを見たよ。色々知識が広がった。きみたちの種族は、孤独を嫌うとあったよ。貨物船の乗務員は、最低二人以上のこととあった。でもきみの船にはきみしかいなかったね。船が大破していたし、減圧で外に放り出されてしまったのかな?」「いや、最初から俺だけだ」「船の記録には、二人とあったよ?」「嘘を吐いた。そうすれば、二人分の人件費を、俺が一人でもらえる。それより、なぜ俺と同じ姿に?」「データベースには、きみの種族の "模倣が可能な全身像" の知識がなかったんだ。きみの体なら、最初に接触をしているから全て把握しているからね。細部まで再現が可能だったのさ」「それじゃ、説明になってない」「以前から、 "孤独" という言葉の意味がよくわからなかったんだけど。きみたちの体は融合が出来ないってことを、データベースを見ることで理解できたんだ。つまり、きみたちは肉体の中に精神を閉じ込めて、精神を共有できないんだよね?」 むしろ、ジョンの言っていることが理解の範疇を超えている。「でも、きみたちは肉体的な接触……ハグやキスをすることで、物理的な距離を縮めて、精神の共有ができないなりに、融合の真似事をするんだろう? なら完璧な模倣が必要だと考えたから、完全なデータのあるきみの姿を選んだんだ。さあ、ハグをしよう」 ジョンは手を伸ばし、混乱しているエドの体をふんわりと抱いた。 最初に首から下を包んでいた時もそうだが、ジョンの体は特別冷たくも暖かくもない。 最初の時も、腕を上げようとしてその存在に気づいたほどだ。 故にそのハグは、奇妙なほど "なにも感じない" 抱擁であった。「じゃあ、次はキスだね」「え……いや……」「なんだろう、きみの心拍数が上がったね。緊張? そうか、初めての相手とのキスには緊張が伴うんだね」「そういうのとは……」「大丈夫。僕は初めての相手かもしれないけれど、きみの姿を模しているから、きみとほぼ同じ存在だ。自分自身とのキスは、未体験であるから、初めてに該当するかも
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§

 ジョンは、エドの体を抱いたまま、思考するような顔つきをしていたが。 数秒後に、パッと表情を明るいものに変えた。「ごめんね、情報を見落としていたよ。ハグとキスは、熱くないと駄目なんだね」「なにを……」 エドがなにかを言うより早く、ジョンはエドの体を抱きしめ、再びキスを施してくる。 唇を割って、熱を帯びた舌が入り込む。 先ほどまで無機質だった膜のような舌先が、今度はしっかりとした温度と湿り気を持ち、エドの舌を捕らえてくる。 吸い上げられるたびに、喉の奥で熱い空気が震えた。「……んむ……ぅ……んっ……」 耳に響く、水音のような響き。 ジョンの舌は、確かに唾液のような水分を含んでいる。 息を奪われ、エドは不覚にも──そのキスにうっとりとしてしまった。「心拍数、上昇。脳波にも変化が現れたね。体温も上がって、発汗も確認。きみの表情の変化から、好意的に受け取られたようだ。なるほど、これが "快感" なんだね」 頭の中に、聲が響く。 けれど、ハグとキスによって抗う言葉を失ったエドは、ただその快感に押し流されていた。 次の瞬間、エドは明確に "ぬるっとした" 感触を感じ、ハッとなった。 ハグをしていた──エドの形をしていたものが、輪郭を失い服の隙間から肌への直接の接触をしていたのだ。「なん……」「肌の接触面積が増えることで、エクスタシー? を感じるってデータベースにあったよ。エクスタシーを感じると、体の力が抜けるともあった。でもそれって、リラックスとどう違うんだい?」「ちょっ……と、待て! 説明を……っ、ああっ!」 まるでそれは、肌に広がる温水のように、服と皮膚との隙間に入り込む。 やがて──下着の中にも……。 当然のように下腹部も包み込み、鼠径部に適度な圧迫を掛けてくる。「やめ……、待てって……っ!」「心拍数、上昇。体表に変化……。これは、鳥肌っていうんだっけ? ゾクッとするとなるってデータベースにあったよ。ゾクッとするって、快感の一部だったよね? このバイタルの総合値は、いわば "快感ポイント" だね。あ、エクスタシーを感じると体液が分泌されるのか。ヒューマノイドは服が汚れるのを嫌うというし、一度取り払うね」 一瞬にして、エドは全裸にされた。「ひゃあ!」「おや? この数値は意外だな。寒さは暑さは、僕が体表を覆っているから感
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§

 膜が、するっと動いたと思った瞬間、エドは悲鳴を上げた。「よせっ!」 膜が、細い糸のようになって、背後から体内へと侵入してきたからだ。「データベースによれば、ここから指を挿れて、前立腺の裏側? に刺激を加えることで、強い快感を得るんだって。僕には指がないし、すぼまった場所にきみの指のサイズを押し込んだら、痛みを感じるかも。繊維状で様子を見てみるよ」 更にぞわりと、胸のあたりが蠢く。「なん……っ」「乳首を刺激して、充血させると快感を得るとあった。あと、首筋や背中。耳の周り。ヒューマノイドはパターンを好むけど、パターンを続けすぎると飽きるとあったよ。感じやすい部位は個体差があるから、きみの体のパターン化して欲しい場所と、変化として刺激されたい場所を見つけよう」「んああっ!」「まずは、前立腺の裏側って場所を探さないとね。データベースにヒューマノイドの構造を立体映像にしているものがあったけど。個体差ってのがあるからね。……うーん、この辺かな?」「ふあっ!」 繊維状のジョンの体は、入口に全く負担を掛けず、体内深くで突然動いた。「このバイタルは……ただびっくりしただけっぽいな。あ、でもデータベースでは指の他に性器で刺激を与えていたね。すぼまっている部分は筋肉? が集まっているけど、中は柔らかくて入口ほどの収縮はしてないな……」「ひぐっ!」 不意に、体内を押し広げられるような感覚に襲われ、エドは体をのけぞらせた。「これも、驚いただけ? 緊張もしてるね。よくない兆候だなぁ。あ、そのために他の部分を刺激して、緊張を解きほぐすのか! 肉体って、複雑だけど面白いね!」 ぞわり……と、首筋から耳元に掛けての膜が動いた。 耳朶を甘噛され、耳の中に舌が差し込まれる。 胸の膜は、乳首を舐めつつ柔らかく吸った。「ひゃうんっ!」「バイタルが上がって、一瞬緊張が高まったけど、だんだん弛緩してきたね。なるほど。腰部の筋肉が収縮。これが "腰を振る" って動きだね」「や……め……っ!」 背中の膜もぞわぞわと動き出し、まるでたくさんの舌で舐め上げられているような感覚に襲われる。 複数箇所を同時に刺激され、翻弄される間に体内の質量も大きくなっていた。「うーんと、律動運動で、前立腺の裏側を探せばいいのか」 ずるりと、体内の圧が動いた。「んああっ!」「おっと、
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§

 二度の絶頂にエドは肩で息を切らせていた。「お……まえ……、こんなことを一体どこで……」 「どこって、きみが教えてくれた、船のデータベースだよ。ヒューマノイドの生活仕様や、思想まで、色々勉強になったよ」 「待て……、データベースってのは基本のプロンプトの集約みたいなもんで、生活仕様だの思想だのは入ってないはずだ……」 「データベースにあったプロンプトを全部試したよ。その中に、孤独なヒューマノイドを癒やす方法もあった。本来はVRゴーグルというのを使うらしいけど、僕の神経系統はヒューマノイドと違うから、刺激を直に味わうことは出来なかった。でも、きみの反応を見れば僕にも理解出来る部分もあると思うんだ」 にこりと笑った自分の顔に、エドは再びゾッとなった。  ジョンの言っている "孤独なヒューマノイドを癒やす方法" とは、つまるところ娯楽目的の快楽シミュレーションを指していることに気づいたからだ。「快感ポイントが最高値を記録したし、データベースの再現映像でも、性器で前立腺の裏側を刺激されていたヒューマノイドが『だめぇ、イッちゃう』って言いながら体液を放出していたし。きみが同じ結果になったってことは、エクスタシーを感じたってことだし、今きみが弛緩している状況からしても、より良い結果を得られたんじゃないかな?」 「そ……そんなわけがあるかっ!」 怒りで、全身がわなわなと震える。「また、強張ってきたね。よくない兆候だ」 「やめろっ!」 「ヒューマノイドは、否定語を遠慮で使うから、難しいね。でも、僕はヒューマノイドみたいに疲れたりしないから、安心して」 ぬちゃりと音がして、膜が動く。  体を包んだ膜が、筋肉を "無理なく" 動かして、足を大きく広げられた。「なにを……っ!」 「データベースにもあったけど、服を脱がした時にきみは快感ポイントが上がっただろう? つまり、羞恥はきみの快感ポイントに良い効果を表すってことだよね。こうして下腹部を晒して、そこを明るく照らし、体内に穿ったものが出入りするさまを第三者に見られるのって、効果があるらしいから」 仰向けにされ、室内が薄暗くなったところで、広げた足の間にスポットライトを当てられる。  そして、その周囲に人の気配を感じるような、シルエットが次々に浮かび上がった。「よせっ! いやだっ! ああっ!」 「
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3.遭難者

 回復カプセルの中で、エドは意識を取り戻した。「やあ、目が覚めたね。きみに知らせがあるよ」 こちらの気持ちなど察することが出来ない、エイリアンの無邪気な挨拶。「知らせ……ってなんだ?」「磁気嵐に巻き込まれた、遭難船が流れてきたよ。ドローンが今、回収に行ってる」「なんだって?」「待ってね。中に生命体がいるかどうかは、僕にはわからないんだ。この宙域は、いろんな難破船が流れてくるからね」 エドは固唾をのんだ。 接岸する音は響かず、不審に感じていると──。「ヒューマノイドの生存者がいるね。ちょっと掛かりきりになるから待っててね」 そういったかと思うと、するんっとジョンは天井の通気口から出ていった。 部屋の中が、しんと静まり返る。 改めて屋内を見回して、エドはこの部屋が実は驚くほど広いことに気づいた。 回復カプセルが並び、それを操作するためのパネルがあるだけで、他に何もない。 この部屋の広さに、なぜいままで気づかなかったのか……と考えて──。 常に蜘蛛の巣のように、ジョンが部屋の中に広がっていたからだと気づいた。「おまたせ! かなりの重傷だよ。でも大丈夫。きっと良くなるよ」 ジョンは、通気口ではなく、部屋の扉から戻ってきた。 ベトベトした体が広がり、ヒューマノイドを包んできている。「これで本当に、治るのか?」「治るよ。だって、きみよりは中身が出てないもの」 最初の時、自分の身体にべっとりとジョンが張り付いていた理由が、今、判明した。 ジョンは、ヒューマノイドの裂けた傷からの出血を防ぐために、そのベトベトした膜で傷を覆い、回復カプセルの治療に合わせて体温の調節などを手伝っているのだ。「きみは、腹が裂けて中身が出てた」「見せなくていい!」 ジョンが再現しようとしたので、エドは慌てて首を横に振った。「そうだった。きみたちは、そういうのを見るとびっくりするんだったね」 血まみれの服を、ジョンが器用に取り払う。「スクアモス人じゃないか……」「すくあもすじんって、名前? 知り合い?」「いや、知り合いじゃない……。スクアモスってのは……」 なんとか説明をしようとエドが考えている間に、ジョンがひらめいたような顔をする。「データベースにあったね! 僕たちは、肉体に精神を閉じ込めた知的生命体は全部ひとくくりでヒューマノイドだと思っ
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 カプセルの中で目を覚ましたマークは、鋭い瞳をゆっくりと開けた。 瞼の裏に隠されていた爬虫類特有の膜が、すっと横に動く。「……ここは……?」「ひゃああっ!」 頭上から声が響き、マークは振り仰いだ。 そこには透明な膜に包まれたホモ・サピエンスが、中空に吊るされ、両脚を開かれたまま、胯間に照射された光を浴びていた。 不自然にのけぞった姿勢。 脱力していながらも、時折ピクリと跳ねる体。 全身にうっすらと浮かぶ汗、紅潮した肌。「これは……一体……」「やあ、目が覚めたね。僕はジョン。ごめんね、エドは今、僕にデータを提供するために協力してくれている最中で、挨拶は出来ないんだ」「エド……? あの、上で悶絶しているホモ・サピエンスか?」 マークの前に、膜の一部から立ち上がったマークそっくりの姿が現れる。「磁気嵐にあったのは覚えてる? 僕は遭難していた船から、きみを回収して回復カプセルに入れたんだよ」「俺を救助してから、どれぐらいの時間が経過した?」「ヒューマノイドの共通時間で、約3日だね」「あのホモ・サピエンスに、暴行を働いているのは、……おまえか?」「彼はエド。きみはマークと言うんだろう? ヒューマノイドなら、個の名称を使うのが礼儀? のはずだよ。僕は、ヒューマノイドの生活仕様や思想を学んだんだけど、データと実地には違いがあるだろう? エドは実地のデータ提供をしてくれているんだ」「データの提供? あまり……協力しているようには見えんが……」「ヒューマノイドは、奥が深いね。言語では否定的な発言をしていても、バイタルは肯定を示していることがある。遠慮や謙遜、奥ゆかしさとか慎み深さを美徳としているんだね。興味深い」 悲鳴が上がり、ガクガクと震えていたエドの全身から力が抜けた。 膜がするすると下がってきて、その体を回復カプセルへと寝かしつける。「お疲れ様、エド。よく、体を休めて」 ジョンは、愛情深い母親のようにエドの額にキスをする。「きさま、俺にも協力をさせるつもりか?」「きみは傷が塞がったばかりだ。体力も落ちているし、無理な運動は傷が開く可能性もある。まだ安静にしているべきだね。僕は、集めたデータの再検討をするので、部屋でリラックスしてて」 それだけ言うと、ジョンは天井の通気口から部屋を出ていった。 カプセルに身を横た
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 それからしばらく、エドはマークと共に過ごさざるを得なかった。「うーん、マークが部屋にいると、快感ポイントは上がるけど……」 ジョンの容赦のない "データ収集" は、マークが部屋にいてもお構いなしで、エドはマークの前で痴態を晒し続ける結果となった。 ぐったりと虚脱したエドを、労わるように回復カプセルへ運びながら、ジョンの聲が頭に響く。「データベースを見たら、ホモ・サピエンスとスクアモスって、あまり相性が良くないんだね」「今更かっ!」 吐き捨てるように、マークが言う。「ごめんね、僕はマークが来るまで、肉体に精神を閉じ込めた知的生命体は、全てヒューマノイドと一括りで考えていたものだから、その辺りの配慮が足りなかったね」 エドの額に "おやすみのキス" を施したところで、ジョンはするするっと部屋の出入口へ向かう。「マークには、別の部屋を用意するよ」 同時に部屋の端に設置されている回復カプセルに、ドローンが集まって解体を始める。「この回復カプセルが一番効率が良いからね。マークに別の部屋を用意するなら、寝床はそちらに移さなきゃ」 にこりと微笑むジョンを、マークは胡散臭そうに見つめた後に、開かれた扉の向こうへと去っていく。 その足音を、エドは瞳を閉じて黙って聞いていた。
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