美千花は独身時代シャンパンにジャムを入れて飲んだり、温かな紅茶に入れてロシアンティーにして飲むのも好きだったから。 動悸と息切れが少しずつ落ち着いてきた美千花は、手指に込めていた力を少し抜いた。 ――と、そこで鞄に入れていたスマートフォンのバイブが響き始めて、律顕かも知れないと思っていそいそと取り出してみる。 「蝶子……?」 だが、画面に表示された相手が友人だと知って、小さく落胆の吐息を落としてしまった。 (ごめんね、蝶子) 時刻を見れば正午を回ったところで、恐らく昼休みを利用して電話をくれているんだろう。 美千花は急いで通話ボタンをタップした。 「もしもし?」 『あ、美千花、今平気?』 仕事をしていない美千花だ。 平気でないことの方が少ないのに、と思いながら「大丈夫だよ」と答えたら、『病院は終わった?』と意外な事を問われた。 「……私、蝶子に今日健診だって言ってたっけ?」 彼女にそんな話をした覚えはなくて戸惑ったら、『わーい! やっぱりビンゴだった〜。今日、永田さんお休みだって聞いたからさ、そうなのかな?って鎌をかけてみました〜』と美千花にとって寝耳に水なことを言う。 『美千花、前、ご主人との事で悩んでる風だったから心配してたの。仕事休んで妻の健診について来てくれるご主人とか……やっぱ最高じゃんっ⁉︎ 愛されてるよ、美千花!』 良かったね、と嬉しそうに言われて、美千花は「あ、うん……」と取り繕うので精一杯。 『やっぱ西園先輩の所とは違うね』 吐息混じり。ついでのように付け加えられた言葉に「え?」と呟いたら、 『あれ? 言ってなかったっけ。西園先輩、ちょっと前
Dernière mise à jour : 2025-12-13 Read More