目を覚ますと、体中が軋むように痛かった。もう何度も経験しているのに、中村拓海(なかむら たくみ)の獣みたいな体力には、いつまでたっても慣れない。振り向くと、彼ももう起きていた。きれいな広背筋がむき出しになっていて、太陽の光を浴びて彼の肌は淡い小麦色にほんのり輝いていた。そして、今彼はまだ目を半開きにして眠たそうにしていた。「起きるの早いすぎない?」拓海の声はまだ掠れていた。腰の鈍い痛みに、私は思わず顔をしかめる。屈んでストッキングを穿こうとしたら、昨日はストッキングが彼にめちゃくちゃに破られていて、もう穿ける状態じゃなかった。すると、拓海が寝返りを打ち、指先で私の下着をつまみあげて差し出してきた。その目元には、意地悪そうな笑みが浮かんでいた。「いい歳して、まだこんな白いレースなんて穿いてんのかよ。ダサいって。もっと違うのにしたら?」私は下着を受け取った。「じゃあ、新しいの買うね。どんなのが好き?」でも、拓海は私の言葉を遮った。「いや、もういい。オートロックの暗証番号を変えたから。今度からもう用がない限り来ないでくれ」それを聞いて、私は固まってしまった。拓海とこんな関係になって、もう1年が経つ。最初は数日おきに呼び出されるだけだった。でもいつからか、残業がある日以外は、ほとんど彼の家に泊まるようになっていた。普段は私が彼の家の片付けをして、仕事が早く終わった日には、ソファで一緒にポップコーンを食べながら映画を見た。そして、映画が終わる前からいちゃいちゃするのがお決まりだった。それはまるで、本当の恋人同士みたいな関係だった。いつしか私はこの生活に慣れてしまった。もしかしたら拓海も、私がそばにいることに慣れてくれたんじゃないか、なんて思う時もあった。もし、この先二人で家庭を築けたら、きっとすごく幸せだろうなとさえ思っていた。なのに、彼は今、私に「もう用がない限り来ないでくれ」と言った。とっさに私は口を開いた。「ご家族が来るの?それとも最近、仕事が忙しいとか?だったら私……」彼は体を起こして私を見ると、軽く唇の端を上げた。「違うよ。彩花がオッケーしてくれたんだ」しばらくして、私はようやく彼が言う「彩花」とは誰のことなのかを思い出した。最近、拓海が大学を卒業したばかりの女の子を口説いている
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