直後、彼の分のスイーツセットが届いた。「……それで、聞いてほしい事って何すか?」スイーツに舌鼓を打ちながら、南波さんがたずねた。僕達二人が同居すること、先ほどその物件候補の内見をしてきたことをかいつまんで話す。「で、ここからが本題なんだけど」竜希はそう言って、コーヒーを一口飲んだ。「先に見た物件を扱ってる不動産屋に、変な奴がいてさ。物件自体はいいんだけど、そいつと会わなきゃならなくて、どうしたもんかって悩んでてな」「変な奴って、どんな?」首をかしげる南波さんに、君島さんの事を告げた。その瞬間、南波さんの表情から感情が消え、「君島さんは、俺の――知り合い、っす」と、絞り出すように言葉を紡ぐ。「知り合い? じゃあ……あいつとも、そういう事してるわけ?」竜希の問いに、南波さんは、ほんの少しだけ寂しそうな笑顔を浮かべた。「ううん、全然。なんか、壊れ物みたいな扱いされてるんすよね。一緒に暮らしてるってのに」「そうなんだ。じゃあ、僕達の先輩だね」僕が軽く言うと、「あ、いや、そういうわけじゃ……。俺は、居候させてもらってるだけなんで」南波さんは、慌てて否定する。「ふーん。で? あいつに、そういう相手は?」「たぶん、いないっすよ。仕事が終わったら、すぐ帰ってくるんで」「ならいいけどさ。あいつ、佳晴さんをエロい目で見てたから。こっち側なんだろうなって」「竜希さんって、そういう嗅覚、鋭いっすよね。でも、残念ながら、君島さんはそういうんじゃないんで」そう言う南波さんの笑顔が、なぜか輝いて見えた。(君島さんの事、好きなんだろうな)なんて思ったけれど、口にはしない。言ってしまったら、ややこしい事になりそうな気がした。「僕達、君島さんに苦手意識あるんだけど、どうしたらなくなるかな?」何かヒントが欲しくて、軽い調子で南波さんに聞いてみた。
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