テオドールはカラミタを連れて二階に上がり、冒険者ギルドの最高責任者であるギルドマスターの部屋に彼を案内した。流石に、部屋に入るなり、此処でまで攻撃をされたりはしなかったが、威圧的なオーラを纏ったギルドマスターと目が合った途端、カラミタが顔を顰めた。「……本当に、攻撃の意思は無いようだねぇ」 そう言うと、ギルドマスターの表情から威圧感がスッと消え去り、温和な表情になっていった。 彼は八十代にまで達しているのだが、まだまだ現役にも負けぬ圧と実力を兼ね備えた人物だ。『器用貧乏』と言われがちな『ヒューマ族』でありながら二十年近くギルド長を務めており、ご高齢になった今でもまだ現場に出る事のある行動派でもある。長めの白髪を後で緩く結いまとめ、髭を生やし、彫りの深い顔には年齢を感じさせる皺はあれど、その体躯は若者にも負けぬ程に逞しい。「まぁ、カラミタは、ただ俺達に会いに来ただけだろうからな。——でしょう?」 テオドールにそう問い掛けられ、「あぁ」とカラミタがうなずく。「こっちは、門番に『冒険者であるセリンに会いたい。もしくは、テオドールかリトス、アイシャでもいいんだが』って言っただけなのに、急に攻撃されて、致し方なく防衛しただけだ」 「入口を守る者には訪問者が不審者かどうかを見分けるために、変装などを見破る魔導具を持たせていますからね。いくらアイシャが作った偽装効果のある魔導具を身に付けていたとしても、『魔族』であると看破出来てしまいますから、それこそ事前に『来る』と言ってくれれば、こちらもそれ相応の用意をしたんですが……まぁ、それも今更ですね」 どこの国も主要な都市の門や施設の入り口などを守る警備兵などは、変装、もしくは擬態などの魔法を使っているか否かを判断出来る魔導具を身に付けている。指名手配犯ではないかをチェックする機能も搭載された優れ物だ。冒険者ギルドの門番が装備していた物の製作者がアイシャでなければ、それさえも誤魔化してすり抜けられただろうが、今回は相性が悪かった。「……その発想が、そもそも無かったな。『行けば何とかなるか』程度にしか考えていなかった」 「まぁ、そうですよね。僕らの育ち方では、どこかへ訪問するための礼儀なんかは学べませんでしたし。てっきり、カラは成人後も実家に残ると思っていたので、正直、今カラがここに居る事にすごく驚いています」と
Last Updated : 2026-02-02 Read more