All Chapters of 【完結】レンとレンの恋物語: Chapter 21 - Chapter 30

42 Chapters

021 未来はひとつじゃない

  翌朝。 恋〈レン〉は蓮司〈れんじ〉の家に向かっていた。 昨夜はほとんど眠れなかった。 恋の口癖、「脳が追い付かない」状態になっていた。 未来に来てまだ一日しか経ってない。 その筈なのに、この世界に随分長く留まっているような、不思議な感覚に困惑していた。 全身にへばり付くような疲労感。 その理由は明らかだった。 自分にとって、幸せとは程遠い現実。  ――こんな未来、受け入れられない。  でもこの感情は、果たして正しいのだろうか。そう自問する。 どんな未来であれ、それは蓮司、花恋〈かれん〉が決断したものだ。 彼らが10年という時を積み重ねてきた結果なのだ。 それをいきなりやってきた自分が。キスをして浮かれている自分が。かき回してもいいのだろうか。 もし自分の世界に過去の自分が来て、気に入らないから行動を起こしますと言ったら、自分は受け入れられるのだろうか。 そんな思いが巡っている内に、蓮司の家に着いてしまった。 「……」 まだ結論は出ない。と言うか、勇気が出ない。 そう思い、大きなため息をついた時、蓮司の家のドアが開いた。「あ……」「恋、おはよう」 そう言って笑った彼。 初めてのキスを捧げた人。 この世界で一番大切な、会いたくて会いたくて仕方がなかった幼馴染、蓮〈れん〉だった。 蓮の顔を見ると、突然足が震えてきた。 昨日彼は、蓮司とどんな話をしたのだろうか。 この未来を見て彼は、どんな気持ちになったのだろうか。 そんなことを思っている内に、なぜだか涙が溢れてきた。「蓮くん……」 蓮の姿が涙で歪む。 恋はぎこちない笑みを浮かべ、両手を広げて叫んだ。「
last updateLast Updated : 2025-12-10
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022 大人になるということ

  恋〈レン〉は花恋〈かれん〉の言葉を思い返していた。「蓮司〈れんじ〉と別れた一番の理由はね、蓮司のことを嫌いになりたくないって思ったからなんだ」「花恋さんは今でも、蓮司さんのことが好き」「うん。嘘はつかないよ。だから別れた」「……」「私を守る、大好きだと言ってくれたけど、触れてはくれなかった。そんな蓮司が夢を捨てると言った時……私は気付いたの。このままだといつか、蓮司のことを嫌いになってしまうって」「好きでいたいから別れた、そういうことですか」「うん。距離を取ってる今、それが間違ってなかったと感じてる。おかげで今でも、私は蓮司のことが好き」 力なく笑う花恋の横顔に、恋はどうしようもないやるせなさを感じた。「花恋さんは言いました。蓮司さんは女のことを、人形か何かと勘違いしてるって」「え? う、うん。そうだね、そう言った」「花恋さんも同じじゃないんですか?」「……恋ちゃん?」「今の話を聞いて、そう感じました。花恋さんだって蓮司さんのこと、思い出の道具にしてる。 確かに蓮司さんと会わなければ、これ以上嫌な面を見なくて済みます。嫌な思い出だって、自分の中から消してしまえばいい。そうすれば花恋さんの中で、蓮司さんは最高の幼馴染、最高の初恋相手として残っていく」「……」「都合のいい相手として見ていた。それは蓮司さんだけじゃなく、花恋さんもじゃないんですか」「……言われてみれば、そうなるのかもね。何も言い返せないよ」「人と人が付き合っていく。それは楽しいことばかりじゃない。辛いことの方が多いかもしれない。でも、それでも……そこから逃げていたら、何も得られないんじゃないですか? 時に言い合って、ボロボロになるまでぶつかって、泣いて、苦しんで……それが絆を深めていくんだと思います
last updateLast Updated : 2025-12-11
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023 偽り

 「それでどうかな。蓮〈れん〉くん、私に不満や隠し事、ある?」「……」 恋〈レン〉の追求に苦笑し、頭を掻く。「恋に不満なんてないよ。これっぽっちも」「本当?」「うん。と言うか、恋といて嫌だったことなんて、一度もないから」 この言葉は本当だ。恋が確信した。「……ありがと」「そこでお礼を言われると、変な感じがするね」「じゃあ隠し事は?」 そう聞かれて、蓮は居心地悪そうにもう一度頭を掻いた。「あるんだ」「……」 それ以上聞かないでほしい、そう言われたような気がした。「そっか。でもまあ、仕方ないかな」「恋?」「だってほら、隠し事の一つぐらい、誰にだってあるじゃない? そりゃあこういう流れだし、聞いてみたいってのはあるよ。でもこういうのって、タイミングもあるだろうし、何より蓮くん、不満とかじゃないんでしょ? だったらいいかなって」「ごめんね」「いいっていいって。でもそうだな、いつか教えてほしいかな。蓮くんが私に、一体どんな隠し事をしてるのか」 そう言って意地悪そうな笑みを向けると、蓮は照れくさそうにうなずいた。  そうだ、何も怖くなんてない。 蓮くんと蓮司〈れんじ〉さんは同じじゃない。 今の蓮くんを見てると、蓮司さんと同じ未来に進むとは思えない。 何より蓮くんは、私を抱き締めてくれた。 花恋〈かれん〉さんは言った。 初めてのキス以来、自分から触れようとはしてくれなかったと。 でも蓮くんは違った。 あんなにも強く抱き締めてくれた。 私のことを守る、そう言ってくれた。 だから大丈夫。 私たちの未来はここに繋がってなんかいない。 そう思うと、少し気持ちが軽くなった。「じゃ
last updateLast Updated : 2025-12-12
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024 確かめたい気持ち

  それから恋〈レン〉は、大橋が再び花恋〈かれん〉に告白したことを話した。「そうなんだ。大橋くん、やっぱり恋のこと、忘れられなかったんだね」「やっぱりって……蓮〈れん〉くん、他人事みたいに言わないでってば。これって私たちの未来なんだよ」「それは分かってるんだけど……でもね、大橋くんの気持ちを考えるとね」「ほんっと、蓮くんってばお人好しなんだから」「ははっ、ごめん」「花恋さん、これから大橋くんと会うらしいの。そろそろ告白のこと、ちゃんと答えなくちゃいけないって言ってた」「……そうなんだ」「でも花恋さん、今でも蓮司〈れんじ〉さんのことが好きだって言ってた。その言葉に嘘はないと思う。ひょっとしたら花恋さん、蓮司さんを待ってるんじゃないかって思うの」「……」「蓮司さんだってそう。今でも花恋さんのこと、好きだって言ってた。ほんと馬鹿みたい。お互い想い合ってるのに、すれ違ったまま生きてる」「だから恋は動こうとしてるんだね」「うん。だっておかしいじゃない。想い合ってるのに一緒になれないなんて。だから私は、二人が自分の気持ちに向き合うきっかけを作りたいの。 それにね、このままだと花恋さん、大橋くんの告白を受けてしまうような気がするの。大橋くんはいい人だし、それに花恋さん言ってた。いつまでも過去に縛られてちゃいけない、気持ちを切り替えて、新しい挑戦をしなくちゃいけないって」「花恋さんの気持ち、ちょっと分かる気がする」「蓮くん?」「生きてる限り、僕たちは前に進まなくちゃいけないんだ。勿論過去も大事だよ。過去があるからこそ、今の僕たちがあるんだから。でも過去に縛られて立ち止まっていたら、それは後ろ向きに人生を歩いてるのと同じだと思うんだ」「じゃあ蓮くん、花恋さんが大橋くんと付き合ってもいいと思うの?」「大橋くんはいい人だよ。彼と付き合えば花恋さん、きっと幸せになれると
last updateLast Updated : 2025-12-13
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025 大橋雅史

  花恋〈かれん〉を誘った大橋は、待ち合わせの駅前に30分早く到着していた。 近くのベンチに座り、缶コーヒーを片手にため息をつく。 もう終わったと思っていた初恋。 これまで、多くの女性から告白されてきた。 しかしその度に、大橋の脳裏には赤澤花恋の顔が浮かぶのだった。 こんなにも人を好きになるなんて、思ってもみなかった。  * * * 新しいクラスで初めてのホームルーム。 高校生になり、いくつかの中学から集ってきたクラスメイトたち。 まだお互いのこともよく分かっていないでしょう、今回は私が決めますと、担任の教師が前期のクラス委員として大橋を指名した。 理由は簡単だった。中学時代、生徒会長をしていたからだ。 同じ理由で女子も選ばれた。 それが花恋だった。 大橋の隣に立った花恋は、「よろしくね」そう言って微笑んだ。 大橋自身この時、花恋のことを好きになるとは思ってもみなかった。 クラス委員同士、一緒に行動することが多かった。 頭のいい子だ。能力も高い、そう思った。 しかし大橋が花恋を評価した一番の理由、それは彼女の「陰から支える」能力だった。 自分と彼女、別にどちらが上だとか、正の委員とかいうのはない。 しかし彼女は、ことあるごとに自分を立ててくれた。面倒な書類整理なども率先して請け負ってくれた。 そして発言の機会や皆を取り仕切る舞台、そういうものを全て自分に譲ってくれた。 別に自分は、男尊女卑的な思考を持っている訳ではない。 今の時代、能力の高い方が表舞台に立てばいい。自分より能力が高いのであれば、自分がサポートに徹すればいいだけだ。その方が効率的だし、理にかなっている。 赤澤花恋は間違いなく、自分より能力が高かった。 それなのに彼女は一貫して、自分より前に出ないようにしていた。 そんな彼女と行動を共にする中で、大橋はいつしか花恋のことを、特別に意識するようになっていった。 
last updateLast Updated : 2025-12-14
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026 アンテナ

  指名された蓮司〈れんじ〉は、落ち着きなく頭を掻きながら立ち上がった。「僕は、その……漱石がこの国のことを、本当に愛してたんだと思いました」 囁くような声でそう言うと、あちこちから失笑が漏れた。 思春期の彼らにとって、人前で「愛」を口にすること自体が、恥ずかしい以外の何物でもなかったからだ。「こらこら、人の発言を笑わないように」 微妙な空気を察したのか、少し真面目な顔で教師が諫める。「それで? 黒木は何をもってそう思ったのかな」「……言葉、言葉からです」「言葉……先生の妻に対する感情とか、友人に対する贖罪の気持ち、そういったことではなくて」「は、はい……勿論物語の流れとして、そういう所もしっかり描かれていて、凄いと思います。それに、その……大橋くんが言ったように、死に対する憧れを、漱石自身も持っていたと思います」「でも違うと。言葉とは、どういう意味だろう」「うまく表現出来ないのですが、僕はこの作品に、物語としての魅力はそんなに感じてません。色んな感情が交錯しあう様子、それは見事だと思います。でも結局のところ、行きつく先が死というのは、寂しいですし哀しいです」「なるほど……そうですね、これも確かな意見です。ある意味殉死という言葉に惑わされて、死への憧れを持ってほしくないと、私も思います。 それで黒木、言葉についての君の考え、聞かせてもらえるかな」「……言葉が美しい、そう感じました。どこを読んでも、どこに触れても……日本語って、こんなに美しいんだって改めて思いました。漱石がどういう意図でこの物語を書いたのかは分かりませんが、僕はこの作品から、漱石の日本を愛している気持ち、そしてそれが読者にも伝わって欲しい、そういった強い意志を感じました。この国に生まれたことを誇りに思おう、この言語に辿り着いた先人に感謝し
last updateLast Updated : 2025-12-15
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027 意外な遭遇

 「ほんっと、私って馬鹿だ」 そう言ってうなだれる恋〈レン〉を見て、蓮〈れん〉は苦笑した。「なんで出る時間、確認しなかったかな」  * * * 蓮司〈れんじ〉と花恋〈かれん〉。二人をまた付き合わせる。 そう決めた恋は、蓮を連れて花恋の家に向かった。 説得するなら花恋さんからだ。自分のことは自分が一番分かっている。 それに今は蓮くんも一緒。花恋さんだって、蓮くんを見れば気持ちが動く筈だ。 だって私なんだから。 蓮司さんには意固地になっても、蓮くんの話なら聞ける筈だ。 早くしないと花恋さん、今日大橋くんと会うって言ってた。昨日の様子だと、ひょっとしたら告白を受けてしまうかもしれない。 そうなったらもう、どうすることも出来ない。 大橋くんには申し訳ないけど、私は蓮くんと同じ未来を生きていきたい。 そう思い花恋の家へと戻ったのだが、肝心の花恋は既にいなかった。 玄関先で頭を抱え、恨めしそうに恋がつぶやく。「……私ってばさ、いつも肝心な時にこうなんだよね。詰めが甘いって言うか」「そういう所、確かにあるかもね」「ひどーい。こういう時はちゃんと慰めてよー」「ごめんごめん。それで? 花恋さん、どこで会うって言ってたのかな。今から行けば、まだ間に合うかも」「……聞いてませんです、はい」「なるほど。流石は恋だね」「ううっ……自分のことながら情けない」「まあ、行っちゃったものは仕方ないよ。終わったことを悔いるより、次の手を考えた方がいいと思う」「こうなっちゃうと、蓮くんの方がポジティブになるって言うか、ほんと……蓮くんのそういうところ、私も見習わないとね」「僕は僕に出来ることを考えるだけだよ。先に説得したかった花恋さんはいなかった。ひょっとしたら花恋さん、大橋くんの告白を
last updateLast Updated : 2025-12-16
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028 親としての気持ち

 「いつまでも可愛い蓮司〈れんじ〉くん、なんだよね」「……あの子は小さい頃から、本当に変わった子だった。智弘はあんなに社交的なのに、全然周囲に溶け込もうとしなくて、いつも一人だった。寂しくないの? って聞いても、『寂しくないよ。本を読んでると楽しいから』って言って」「親としては、そんな蓮司くんが心配だった」「でもあの子、本当に優しい子に育ってくれた。誰に対しても気を使っていたし、家の中でもいつも空気を読んでた。 みんなが心地よく感じれる世界を作ろうとしてた。例えそれで、自分が傷つくことになるとしても」「そうね。蓮司くん、本当に優しいから。だから私も、花恋〈かれん〉と仲良くしてくれて嬉しかった」「私だってそうよ。恋〈レン〉ちゃん、そんな蓮司といつも一緒にいてくれて……私ね、小さい頃に言ったことがあるの。『蓮司のことをよろしくね』って。恋ちゃんも真面目な子だから、私の言葉をずっと守ってくれてるのかなって思ってた」「まぁちゃん、それは深読みしすぎ。子供がそんなこと、いちいち覚えてる訳ないでしょ。仮に覚えていたとしても、思春期に入っちゃったらそんな約束、反故にするに決まってるじゃない」「でも恋ちゃんは違った。どちらかって言ったら、蓮司の方が恥ずかしがって逃げてた。中学に入ってからも、家で一緒に宿題したりしてくれてたし」「もうあの頃には花恋、蓮司くんを好きだったんだと思う」「でも蓮司、あの頃学校でいじめを受けてて」「そうね……いじめって、どうしてなくならないのかしら」「世の中、臆病な人ばかりだから」「……」「みんな怖がってる。人に誇れるものがない、そんな自分はこの世界で価値がない。思春期の子供なんだから、特にそう思うんだと思う。 だから自分より弱い者を見つけて攻撃する。攻撃することで、自分がその人より強いことを誇示しようとする。自分の方が価値がある、そう自分に言い聞かせる。そして蓮司みたいに社交性のない人間
last updateLast Updated : 2025-12-17
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029 旧友

  夕刻。 蓮司〈れんじ〉は近所の河川敷に来ていた。  * * * 突然の電話。「話があるんだけど、付き合ってくれないか。場所を言ってくれたらそこまで行くから」 そう言ってきたのは大橋だった。 旧友と久しぶりの再会。 だが蓮司にとって、それは余り歓迎する物ではなかった。 同窓会も欠席した。 その時も電話で話した。どうして来れないんだ、仕事か? 何なら日程を変えてもいい、そう言われたが断った。 今の自分を見てほしくない。 今の自分には、何一つ誇れるものがない。 そんな自分が、旧友たちとの再会を楽しめる筈もない。 それに花恋〈かれん〉も気を使うだろう。 クラスの誰もが、自分と付き合っていたことを知っている。 別れたとなれば、色々と聞かれるだろう。 放っておいてほしい。今は波風立たない環境で、静かに暮らしたい。蓮司の願いはそれだけだった。  しかし蓮司は今、堤防の石段に座り、川を見つめていた。 花恋の家に泊まった恋〈レン〉から言われた言葉。「花恋さん、大橋くんにまた告白されたみたいです。今日もその……会う約束をしているようです。ひょっとしたら、告白の返事をするのかもしれません」 予想は当たったようだよ、恋ちゃん。 きっと大橋くんは、けじめをつけようとしているのだろう。 どんな答えでも構わない。ただこれで自分も、少しだけ前に進めるような気がする。 花恋と別れて三年になる。 あんないい子が、三年も一人でいる。おかしな話だ。 世の男どもは、一体どこに目をつけているんだ? そう思っていた。 しかし今、ようやく想いを告げる男が現れた。 大橋くんはいい人だ。彼ならきっと、花恋のことを幸せに出来るだろう。 自分のせいで無駄にしてしまった10年。彼ならばきっと、埋め合わせて余りある幸せを与えることが出来る
last updateLast Updated : 2025-12-18
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030 過去と能力

 「感想が正しいかどうか、そんなことはどうでもいい。お前には誰にも見えていない世界が見えている、そう思ったんだ。 俺も見える人間だと思ってた。おかげでクラスでも、みんながどう思ってるか、どう望んでるのかを感じることも出来たし、それなりに信頼もされていた」「君の洞察力の深さ、誇っていいと思うよ」「でもお前には、俺が見えないものまで見えていた」「買いかぶりすぎだよ。僕にそんな能力」「いいや、あるね。現に今だって、お前はずっと考えてる筈だ。俺が何を言いたいのか、何を望んでるのか、何に悩んでるのかって」「それは……いやいや、普通のことだろ? みんなそうして相手のことを考えて、関係をいいものにしようと思って」「そう言えるお前だから、俺は勝てないと気付いたんだよ。今お前、みんなって言ったよな。でもな、黒木。人ってのは、そこまで相手のことを考えて生きてる訳じゃないんだ。どちらかといえば、どうやって自分の気持ちを伝えようか、そればかり考えてるものなんだよ」「そう……かな」「ああそうだ。それに普通の人間は、お前みたいな生き方をしてたら疲れてしまうんだよ。人のことばかり考えて、言葉の裏を探ろうとして、本心を見抜こうとして」「……」「俺と一緒に、飯を食いに行くとする」「飯……う、うん」「俺は肉が食いたいと言った。お前は蕎麦がいいと思っていた。どうする」「……肉を食べに行くと思う」「だろ? でもな、普通は自分が食べたいものを勧めるんだよ」「そうなのかな」「ああそうだ。かくいう俺もそうだからな。そしてお前は思う。蕎麦が食べたかったけど、相手が嬉しそうだからこれでよかったって」「……確かにそうかも知れない。蕎麦を食べられたとしても、僕はずっと気になっていると思う。本当にこれでよかったのか、肉にした方がよかったんじゃない
last updateLast Updated : 2025-12-19
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