翌朝。 恋〈レン〉は蓮司〈れんじ〉の家に向かっていた。 昨夜はほとんど眠れなかった。 恋の口癖、「脳が追い付かない」状態になっていた。 未来に来てまだ一日しか経ってない。 その筈なのに、この世界に随分長く留まっているような、不思議な感覚に困惑していた。 全身にへばり付くような疲労感。 その理由は明らかだった。 自分にとって、幸せとは程遠い現実。 ――こんな未来、受け入れられない。 でもこの感情は、果たして正しいのだろうか。そう自問する。 どんな未来であれ、それは蓮司、花恋〈かれん〉が決断したものだ。 彼らが10年という時を積み重ねてきた結果なのだ。 それをいきなりやってきた自分が。キスをして浮かれている自分が。かき回してもいいのだろうか。 もし自分の世界に過去の自分が来て、気に入らないから行動を起こしますと言ったら、自分は受け入れられるのだろうか。 そんな思いが巡っている内に、蓮司の家に着いてしまった。 「……」 まだ結論は出ない。と言うか、勇気が出ない。 そう思い、大きなため息をついた時、蓮司の家のドアが開いた。「あ……」「恋、おはよう」 そう言って笑った彼。 初めてのキスを捧げた人。 この世界で一番大切な、会いたくて会いたくて仕方がなかった幼馴染、蓮〈れん〉だった。 蓮の顔を見ると、突然足が震えてきた。 昨日彼は、蓮司とどんな話をしたのだろうか。 この未来を見て彼は、どんな気持ちになったのだろうか。 そんなことを思っている内に、なぜだか涙が溢れてきた。「蓮くん……」 蓮の姿が涙で歪む。 恋はぎこちない笑みを浮かべ、両手を広げて叫んだ。「
Last Updated : 2025-12-10 Read more