「俺は恋愛というものを、よく分かってなかった。と言うか、人が他人に対して何を思うのか、それが理解出来なかった」「どういうことかな」「自分にとって一番大切なのは自分、それ以外のことに興味がなかったんだ」「でも君は、いつも周囲に気を配ってたじゃないか」「それも自分の為なんだ。自分が心地よくいられる環境を作る、その為の行動にすぎないんだ。 だから俺はいじめを許さなかった。かわいそうだとか、正義感だとか、そんな理由じゃない。人が人を貶める、そういう場所にいたくなかったんだ」「動機が何であれ、それは結果として残ってる。君に救われた人たちは皆、君に感謝してると思うよ」「それでも俺は、自分の行いを正しいと思ってなかった。根本にあるのが自分の為、利己だからだ。 でも俺は出会ってしまった。自分のことより気になってしまう、そんな人に」「……」「赤澤と出会って、俺の人生は一変した。利己を追求してた筈の俺が、気が付けばいつも赤澤のことを考えていた。自分にとって嫌なことでも、赤澤が笑顔になるならそれでいい、そんな風に思うようになっていった」「君にとっての初恋、だったんだね」「そして俺は気付いた。他人のことに興味を持っている自分に。こいつは何を考えているんだろう、今楽しいのだろうか。どうすればこいつは笑ってくれるのだろう、そんな風にな。 それは俺にとって、初めての経験だった。気が付けば、俺の世界は変わっていた。広がっていた」「そういう風に感じれる君は、やっぱりすごい人だと思う」「赤澤に感謝したよ。彼女は俺に、世界がこんなにも温かくて優しいんだと気付かせてくれた。そして俺は……赤澤に恋をした」「……」「気付いた時にはもう遅かった。何をしていても赤澤のことを考えていた。自分の人生になくてはならない存在、そんな風にさえ思った」「君みたいな人にそこまで想われて、花恋〈かれん〉は幸せだと思うよ」「でも
Last Updated : 2025-12-20 Read more