病室にいたのは、如月家の人間ではなかった。彼女の叔母の野村由美(のむら ゆみ)だ。目を覚ました彼女を見て、由美は安堵の声を上げた。「莉奈、やっと目が覚めたのね」莉奈は眉をひそめ、無意識に体を起こそうとしたが、下腹部を引き裂かれるような激痛に襲われた。不吉な予感が脳裏をよぎる。彼女は顔面蒼白で尋ねた。「叔母さん……赤ちゃんは?」その姿を見て、由美は不憫そうに言葉を濁した。「莉奈はまだ若いんだから。子供なら、またすぐに授かるわよ。今は体を治すことが一番大事だから……ね?」莉奈は嗚咽を漏らした。終わった。何もかも終わってしまった!不意に、あることが頭をよぎる。彼女は慌てて由美の手を掴んだ。「如月家の人は?来てくれた?」由美が頷くのを見て、少しだけ心が安らぐ。「じゃあ、彼らはどこ?蓮司は?」姪の必死な様子に、由美は胸を痛めた。医者から告げられた残酷な事実を思い出し、表情を曇らせる。莉奈は由美の躊躇いを察し、気丈に振る舞った。「叔母さん、本当のことを言って。私なら大丈夫だから」それを聞き、由美は隠すのを諦めた。一枚のキャッシュカードを彼女の手に握らせる。「如月家からの栄養費……事実上の、手切れ金よ」心の準備はしていたつもりだった。だが、現実はあまりに残酷で、鼻の奥がツンと痛む。「それともう一つ、隠さずに言うわね……病院に運ばれた時、傷が深すぎて子宮破裂による大出血を起こしていたの。命を救うためには、子宮を摘出するしかなかった……」由美は莉奈の血の気のない顔を見て、それ以上言葉を続けることができなかった。名家の人間の薄情さは噂には聞いていたが、これほどまでとは。あれだけの事件が起きたというのに、あの姪婿は最初から最後まで一度も顔を見せなかったのだ。如月家は、ただ金で解決して終わりにするつもりらしい。「私を刺したあの狂女はどこ……」莉奈の両目が真っ赤に充血し、その表情は一瞬にして狂気を帯びた。まるで地獄から這い上がってきた悪鬼のようだ。「殺人未遂で訴えてやる!絶対に刑務所にぶち込んでやるわ!」莉奈は、あの狂った女が留置所で酷い目に遭っているものだと思っていた。だが退院後に警察へ行き、状況を確認して愕然とした。あの女は、事件当日に家に帰されていたのだ。理由は、「精
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