更生施設に来て三年、今日が最後の日だ。私は吊るされていたロープから下ろされたばかりだった。この三年間、何度も繰り返されたように、眩暈、吐き気、そして恐怖が五感を支配する。教官が私の口からタオルを引き抜き、顎を掴んだ。「如月様がいらっしゃるんだ。何を話すべきで、何を話すべきじゃないか、分かってるな?」よく聞こえない。如月様?如月蒼介(きさらぎ そうすけ)のこと?教官の凶暴な視線と目が合い、私、如月真奈(きさらぎ まな)は蒼介が誰かなど考える余裕もなく、ただ必死に頷いた。涙と鼻水が動きに合わせて床に滴り落ち、教官はようやく満足そうに笑った。ドアが開き、教官は媚びへつらう笑顔に切り替えた。「如月様!」蒼介が私を見やり、その端正な眉をひそめる。「真奈、お前をここに送ったのは禁欲させるためだ。好き勝手やって不潔になれとは言っていない」不潔?長い拷問の日々は、とっくに私から尊厳などというものを奪い去っていた。殴られずに済むなら、生き延びられるなら、腐った飯でも食べるし、泥水だって飲む。私はもう、かつてのようなプライドの高いお嬢様ではないのだ。蒼介はため息をつき、私を助け起こそうとした。私は反射的に身震いし、後ずさりした。袖口の下に隠れた手が、止まらない震えを刻む。彼はまだ知らない。私がここに送られて以来、人の肌に触れることを極度に恐れるようになったことを。特に、男は。たとえ相手が蒼介であっても、例外ではない。蒼介の瞳に疑惑の色が浮かんだ。以前の私は、彼にべったりだったからだ。その時、視界の隅で、蒼介の後ろに立つ教官がある動作をしたのが見えた。あれは……毎回私を吊るす前にいつもやる合図だ。私は無意識に服の裾を握りしめ、震えを必死に抑えて、蒼介の方へ一歩踏み出した。「兄さん……」蒼介はようやく頷き、私より先に背を向けて歩き出した。車に乗り込む際、私は助手席のドアが事前に開けられているのを無視して、大人しく後部座席に座った。蒼介はハンドルに手を置き、バックミラー越しに私を一瞥した。「前に乗れ」私は呆然とした。彼は以前、私が助手席を奪い合って座るのを一番嫌がっていたはずだ。私が動かないのを見て、彼は苛立ちを見せた。「真奈、耳が聞こえないのか?」私は首を振っ
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