神崎は昨夜撮影した動画を確認して、つい舌打ちをしたくなった。「暗くて見えない……声は入ってるけど、これじゃダメかも」 撮影前にデジカメの設定をいじって夜間撮影モードにしておけば、少しはマシだったかもしれない。 失敗したと思ってため息をつくと、隣の席の間遠桜が声をかけてくる。「編集でどうにかなんねぇの?」「できるとは思いますけど、おれの力では無理ですね」「っつーか、その動画どうするつもりだ? 依頼人に見せるのか?」「いえ、恐喝してる不良を特定したくて……」 ふと横を見れば、間遠がドン引きしていた。「怖っ。神崎、お前やっぱ怖いよ」「そうですか? でも今回の依頼人は、息子の非行をやめさせたいんですよ。 しかも手段は問わないそうですし、不良たちを締めあげるのが一番早いじゃないですか」 確実かつ合理的であると神崎は思うのだが、間遠は苦笑した。「まあ、お前の仕事だから口出しはしねぇけどさー」 と、自分の仕事へ戻った。 神崎は息をつき、席を立って久我の元へ向かった。「所長、どうにかできませんか?」 事務所はさほど広くなく、二人の会話など丸聞こえのため、久我はすぐに返した。「特定したいなら、専門家に頼もう。ただし、あちらにも仕事があるからな。引き受けてもらえるかは分からないぞ」「かまいません。ぜひ、頼んでください」「分かった」 久我がスマートフォンへ手を伸ばすのを見て、神崎はひとまずほっとした。 自分も画像や動画の編集技術はあるものの、あくまでも素人だ。やはり専門家の方がいい仕事をするに決まっていた。 夕方になると、久我が神崎へ言った。「神崎、もう終わったらしいぞ」「何の話ですか?」「動画だよ。さらに不良のうちの一人だけ、特定できたそうだ」「……は?」 思わず壁掛け時計を見てしまった。頼んでからわずか六時間しか経っていない。「仕
Huling Na-update : 2026-01-09 Magbasa pa