制限って、ゲームでよく使われるシステムだよね。ストーリーの進行度や装備に設けられて、特定のレベルに達するとイベントなんかで解放されていくやつ。 かたや容量は現代日本人にとって、ある意味馴染み深いものだと思う。スマホの空き容量が足りなくて、アプリを取捨択一した経験は誰しもあるはず。 今、わたしには100のDLC枠があって、この範囲で技術を習得しなければならない。確認すると、棒術容量が5、晶術が一属性レベル1で容量は2の分配だ。これならば全てを補える。晶術の属性は全部で5つ。地水火風に加え、温度を操る熱だ。 遠距離から攻撃できるに越した事はないけど、不意打ちを食らったり素早い敵も想定すれば、近距離の棒術も取った方が心強いよね。 そう考えて、晶術と棒術の取得を決めた。合計10,500ダルフとお高い買い物だけど、背に腹はかえられない。 早速購入を選択すると、エラー音が響いた。『所持金が不足しています』 思いがけない返答に、わたしは一瞬固まった。そんなまさかと再度購入するも、返るのは無情な声だけ。『所持金が不足しています』 ザワザワと木々の揺れる音が、やけに大きく聞こえる。視界にも、赤い文字でエラーが表示されていた。穴が空くほどに見つめ、次第に笑いが漏れる。「え? いやいや、そんな事ないでしょう……? だって前金、くれるって言ってたよ……? ねぇ、今の所持金って、いくらなの?」 震える声で問えば、モイラは無慈悲に応えた。『現在の所持金、990ダルフ』 それは想像以上に少ない額だった。さっき飲んだ水の代金を入れても、たったの1,000ダルフ。前金は5万ジード、日本円にして500万、この星では5,000万ダルフにもなる。それが、たったの1,000ダルフ?「は……? 何で……前金は!?」 当然の疑問にも、モイラは淡々としている。『未成年のため金銭管理の権限がありません』 抑揚のない音声と空中に浮かぶ無機質な文字に、わたしは愕然とするしかなかった。確かに、わたしはまだ15才だよ。大金を持つには未熟だって事も分かる。 でも、そんな未成年を選んだのはあっちじゃない。その上でこの仕打ち? 怒りを覚えるのは当然だ。(未成年だから自分でお金の管理ができない? 何それ……確かに500万は大金だよ。でも
最終更新日 : 2025-12-08 続きを読む