All Chapters of 偽物クズ夫に別れを告げ、スパダリと政略結婚します: Chapter 151 - Chapter 156

156 Chapters

第151話

一花は帰宅してすぐに風呂に入る習慣がある。しかしこの日は柊馬がいるので、それは後回しにして、まずは彼と一緒に過ごした。彼には何かしたいことはないか尋ねた。映画でも本でも、ゲームでも、どんなことでも彼に付き合おうと思った。一花は過去一度だけ恋愛した経験を持っているが、かなり昔の学生時代の恋愛だ。だから、実際はまだ恋愛未経験の少女となんら変わりない。当時は慶が一花のことを口説きまわっていた。毎回のデートもいつも彼が予定を立てて、ほとんど彼の主体的なものばかりだった。学生時代、慶はいろいろな試合を見るのが大好きで、一花は彼に付き合っていろいろな所へ見に行った。そして卒業してから、二人の恋愛もただ街に出て食事する程度にとどまっていた。慶は仕事のほうに意識を向けていた。彼は会社が上場したら一花と新婚旅行に行って、彼女がしたい事、行きたい所、なんだって彼女の希望を叶えると約束してくれた。しかし、一花はそれを真剣に考えたことはなかった。彼女はすでに自らを犠牲にし、相手を守るという形の恋愛に慣れていた。だから、自分が何を求めているのかなどはきちんと考えたこともなかった。「別に無理に俺に合わせる必要はありません。それでは疲れてしまいますからね。一緒にダラダラするのもいいでしょう。確か嫌な事があったと言ってましたね、それなら気分が良くなるような事を……もし、嫌じゃなければ、今日何があったのか話してくれませんか。俺も聞きたいから」柊馬がこのような言葉を口にした瞬間、一花は少しぼうっとしていた。その様子を見て、柊馬は一花が疲れているのを感じ取った。この日、彼女が遅くに帰ってきて彼も別に余計な詮索はしなかった。でも、彼女は嫌な事があったとはっきり言っていた。「先にお風呂に入ってきてもいいですか。それから一緒に途中のあの映画を見ませんか?だけど、今日はちょっと疲れてて最後まで見る体力がないかもしれません……でも、私もあなたと一緒にお話したいです」一花は少し遅れてやっと自分の思いを口にした。名家同士の政略結婚が意味しているものなど、彼女もよく理解している。互いの財産をさらに増やしたり、強力な協力関係を作ったり、支え合うことが目的だ。しかし、そこには感情というものは置き去りにされる。一花はもともと、柊馬とはそんな協力し合えるパートナー
Read more

第152話

まだ柊馬が一花が嫌な思いをしたことを気にかけてくれていたので、彼女はとても嬉しかった。「どれも最悪な事ばかりで、話したらきっと不快にさせてしまいますよ」一花は小さな声でそう返事した。それに、一花も自分が黒崎慶に復讐しようとしている事を柊馬に話したくなかった。冷酷そうな外見とは真逆で彼は内面とても優しい。すでに心はズタズタに引き裂かれ、色濃い憎悪と怒りを胸に秘めている一花とは違う。このような負の感情を根こそぎ綺麗にしてしまうまで、彼女は柊馬に醜い自分を見せたくなかった。一花が話したがらない様子なので、柊馬もそれ以上深堀りしなかった。「以前の事にまだ手こずっているんですね?」暫くして彼がまた尋ねた。一花は驚いてすぐに反応できなかった。彼が言っているのは慶との関係のことだろう。「ええ、でももうすぐです。あと少しだけやることがあって」「何か手伝えることは?」柊馬は再び尋ねた。一花はそれでも淡々と答えた。「いいえ、自分で解決できますから」些細な事で彼に迷惑をかける必要などない。それに、黒崎慶と対峙するというのに、どうして柊馬の手を汚すような真似ができるだろうか。一花はゆっくり時間をかけて、慶を苦しめるつもりだ。この6年間に彼が搾取していった全てを取り戻してようやく決着がつく。「……」柊馬はそれ以上この話題に触れず、力のある腕で軽々と一花の肩を抱き寄せて自分の胸元に寄りかからせた。しかし、この時の彼の心はまるで氷でできた穴に落ちたかのように言いようもなく落胆していた。さっき彼はいくつかメッセージを受け取っていた。それには写真が添付されており、写っていたのは一花と男が病院で揉めている様子だった。今夜、彼女はあの黒崎慶に会いに行っていたのか。彼女の気分が悪いのは、全てこの男のせいなのか?一花とこの男は6年という付き合いだという。彼は一花の初恋の相手だ。たとえ彼が彼女を騙し気持ちを踏みにじっていたとしても、彼女は気持ちに区切りがつけられないのだろうか?柊馬は一花に聞いてみたかった。しかし、言葉が何度も喉まで上がってきては、どうしても口に出すことができなかった。6年という時間に培われた感情を一瞬できれいさっぱり片付けてしまうことなどできないと、柊馬も分かっているのだが、彼女の心に別の男がいると思うと、彼
Read more

第153話

【もう起きていますか?朝食はテーブルの上に置いておきました。ちゃんと食べてくださいね】一花はそのメッセージを見ると、すぐに部屋を出た。本当にテーブルの上には朝食が置かれていた。そこにあったのは、サンドイッチに、サラダ、ヨーグルトやフルーツジュースの飲み物など、豊富だった。朝食はお弁当箱にきれいに盛りつけられていた。見るからに柊馬の家にいるシェフがわざわざ作ったものだろう。その瞬間、一花は胸が温かくなるのを感じ、すぐに返事を打った。【今見ました。ありがとうございます。伊集院さんは朝食を食べましたか?】彼にはもっと、どうして昨夜は泊まっていかなかったのか、今日は忙しいのか、などいろいろと尋ねたかった。しかし、言葉を考えながら打ち込んでみたものの、まずはさっき書いたメッセージを送ることにした。するとすぐに返事がきた。【食べましたよ。今はちょっと忙しいので、あとでまた】送られてきたメッセージを見て、一花は長々と打っていた言葉を全部消して、ただ「分かりました」という返事の後にスタンプを送るしかできなかった。柊馬は携帯をおろすと、後ろを振り向いてオフィスにいる女を見た。「如月さん、伊集院グループの規定により、アポをとっていない者は俺に会うことはできません。もし、次またこのようなことがあれば、如月家との提携関係は解消することを検討します」柊馬は椅子の背もたれによりかかり、冷ややかな声でそう言った。彼女のほうに一瞥もくれることはなかった。陽菜は目を赤くさせていた。湊とボディーガードはすぐ傍にいて、強制的に彼女を追い出すべきかどうか迷っていた。如月家と伊集院家は最近あるプロジェクトで協力することに一致していた。だから、陽菜には伊集院グループに入る通行証が渡されてある。二人は昔からの知り合いでもあるし、以前、陽菜が急用で柊馬に連絡しても会えない時にはこのようにオフィスまで会いに来ていた。しかし、以前の彼はただ表情一つ変えずに平然とした様子であっただけで、今日のように厳しい言葉を吐くことはなかった。それで、柊馬の部下や周りの社員たちはみんな陽菜に対して丁寧な扱いをしていた。「柊馬、どうして私のLINEの友だち登録を消したの?なんでこんなふうに絶縁しようとするのよ。私、何か間違ったことをした?あの子の態度から、どんな女性なのか
Read more

第154話

「柊馬、そんなに私のことが憎いの?昔のことは私が間違っていたわ。私に仕返しするために自分を苦しめたりしないで……彼女は……あの女なんかあなたに相応しくな……」「さっきの言葉が聞こえていなかったのか?」柊馬は陽菜の言葉を遮ると、軽く息を吸い、彼女とこれ以上言い合う意思はないらしく、電話をかけ始めた。陽菜も柊馬が言った事を実行に移す人間だと知っていた。いくらかなりの損失が出ようとも、提携を取り消しにしてしまうだろう。如月家は伊集院グループと同じくらい財力を持ち、勢力を持っているわけではない。この両家の提携事業には、伊集院家と提携することになったから、如月家はずっと資金やコストの額など気にせず投入していた。「分かったわ、すぐに出ていくから。それにもう彼女のことを調べたりしない。あの写真も全部消すから!」陽菜も如月家の全てを犠牲にしてまで柊馬とやり合うつもりはなく、結局は諦めてしまった。彼女がそう言い終わって、しくしくと泣き続けているのを見て、柊馬はようやく電話をかけるのをやめた。「出て行け」彼は同情の欠片もなく、きつい口調で吐き捨てた。陽菜はかなり泣いていて、しっかりと顔を手で覆って柊馬のオフィスを飛び出していった。そんな彼女の可哀想な様子に湊は思わず同情した。そして湊は暫くして中に入った。もともと柊馬に問題が大きくならないよう対処すべきか尋ねようとしたが、柊馬のほうが先に口を開いて淡々と言った。「今後俺の許可なく、あの女を俺のオフィスに入れるな。それから、今回の如月家との提携事業が終了したら、二度と提携しないと伝えろ」誰もが伊集院家と如月家の関係はただ仲が良いだけではないと知っている。柊馬と陽菜の関係も……昔は睦まじいものだった。それで湊は、たとえ彼が結婚したとしても、柊馬が陽菜と縁を切ることはないと思っていた。それがまさか、その一歩手前まで柊馬はやってのけたのだ。これは完全に彼が彼女に対する情を一切捨ててしまったからなのか、それとも……まだ以前の事を根に持っていてこのような行動をとったのだろうか?……午後、久子が京子に付き添われて黒崎家に戻ってきた時、執事が血相を変えて駆けつけ、報告した。「おばあ様、奥様……さきほどあるファックスが届きました!」京子はこの時機嫌が悪く、いらいらして言った。
Read more

第155話

「颯太があの女の雑種だったとは、それで慶があそこまで庇おうとするわけね……いいでしょう、あの二人が関係を断ち切らないということはつまり、慶も了承済ということね!」京子も頭に血がのぼり、慶を庇うこともなかった。ちょうど則孝不在の時でよかった。もし彼がこんなものを見れば、慶を殴り殺してしまいかねない!久子は冷静になり、すぐに遺伝子情報解析センターに人をよこし、その結果の真偽を確かめさせた。誰がこのような物を送りつけてきたのか、その目的が何なのかはわからないが、今、まずやるべき事はやはり綾芽と颯太をどうにかすることだ。家庭内のこのような失態を外に漏らしてはならない。さらに黒崎家と会社に悪影響を及ぼすわけにはいかないのだ!夕方、慶は緊急の電話で実家に呼び戻された。彼は祖母にまた何かあったのかと思っていたが、家に帰ってみると、祖母と母親がリビングに姿勢を正して座っていた。かなり重々しい雰囲気で彼の帰りを待っていた。「これは一体どういうことだよ。ばあちゃん、母さん、一体何があったんだ?」慶はその場の雰囲気が尋常でないと察し、不安になって口を開いた。彼がそう言うと、京子の冷ややかな視線がテーブルに落ち、彼はその上にある何かの検査結果の紙に視線を移した。「これは……」慶はすぐに顔色を変え、サッと顔を上げた。「母さん、これ、一体誰がこんなものを送ってきたんだ?」「匿名よ、だけどそれは本物」京子が冷ややかにそう言い放った。久子は前をじっと見つめ、その場から微動だにせず座り、何か言おうとする様子もなかった。しかし、そのような久子の態度が、もっと寒気をおぼえさせた。「これは偽物に間違いないよ……颯太は俺が養子として迎えた子だぞ。どうして生田さんと関係がある?もしかすると、どこかのビジネス上のライバルが、黒崎家を内部からめちゃくちゃにしようと企んでこんなものを……」「あなたと生田の事は我々黒崎家の人間しか知らないわ。あなたが一花さんと結婚しても世間では知られていないのと同じようにね。もし、本当にそのライバルとやらがやった事なら、世間にあなたの失態を噂で流せば済む話よ。家庭内で揉めさせるようなこんな面倒なことをする必要はないでしょ」慶が反論する前に、京子に冷笑され口を閉じた。「母さん、こんなのありえな……」「ありえるかあり
Read more

第156話

久子は鼻で笑い、軽く手をあげ、京子に激しい叱責を一旦やめるように合図した。「慶、あの女を片付ける時間を一週間あげましょう。それから、あの女にしっかりと伝えなさい。即刻海外に移住し、今後一切、永遠にこの南関市に足を踏み入れることを禁じるとね。もし言うことを聞かないのであれば……」久子は陰険な目つきに冷酷な光を宿した。「聞かないのであれば、心の準備をしなさい。一生息子に会えなくなるとね」その言葉を聞き、慶は何か気づいたようで、少し戸惑いまたすぐに京子を見つめた。「颯太を連れていくつもりか?」彼はすぐに携帯を取り出して家に電話をかけようとしたが、京子の冷ややかな声がそれを遮った。「心配しないで、あの女がおとなしく去れば、一年後、颯太と彼女を会わせてあげます。私だってあんなのを代わりに養いたくないわよ。だけど、もしあの女があんたにしつこくつきまとうというなら、颯太は彼女が二度と探し出せない所に連れていく。それから、生田家とあの女自身も一生黒崎家と敵対する準備をすることね……」「ばあちゃん、二度と生田さんと会わないと誓うから!」慶はこの時、自分はもう無力だと悟っていたが、それでも歯向かった。「だけど、颯太はただ俺が養子として連れて来た子供だ。まだ小さいんだ、だから子供にひどい真似なんて……」「慶、ここまで来たのよ。私ももう確かめる気もないわ」久子はソファのひじ掛けを触りながら、力強く息を吸い込んだ。「あの女には二度と会いたくない。どこの馬の骨だから分からない子供に、やましい心を持った女のせいで、黒崎家の顔に泥を塗られたくないわ。あなたがどうするのか、合理的に考えて決断を下すことね」そう言い終わると、久子は慶に目をくれることなく、立ち上がり傍にいた使用人に支えられてその場を去っていった。慶は祖母は説得できないと分かり、すぐに京子にすがりつくように尋ねた。「母さん!颯太をどこに連れて行ったんだ?」「それは私だって知らないわ、おばあ様がやらせたんだもの。たとえ私が知っていたとしても教えるわけないでしょ。だけど、黒崎家は小さな子供に手を出したりしないから安心なさい。早く颯太に会いたいのなら、おばあ様の言う通りにすることね」京子は慶の今の様子を見て、確かに怒りはあったが、可哀想で心を痛めていた。自分の息子があの生田綾芽とかいう女の
Read more
PREV
1
...
111213141516
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status