夏海はそう言い終えると、茉白の肩を軽く押して、目を合わせてから、先に振り返ってスタイリングをしてもらう美容院を出て行った。彼女と茉白は、ずっと陸斗に尾行されていた。デパートに入ると、夏海は彼の姿をはっきりと目にした。しかし、これも夏海の予想内のことだった。今の陸斗はまるで飢えた猟犬ようだ。獲物の匂いを嗅ぎつければ、追ってこないはずがない。ちょうどいい、彼女も陸斗と少し話をするつもりだった。夏海は大股で店を出ると、直接二階の高級ブランド婦人服の売り場へ向かった。陸斗は少し迷ったが、茉白が化粧をしているのを見て、まずはゆっくりと夏海の後をつけた。夏海は何軒か店を回ったが、店員の態度はどれもぞんざいだった。しかし、これも当然だ。彼女が入ったのはすべて高級ブランド店だが、彼女の服はあまりにも質素で、手元には高級ブランドのバッグすらない。だから、接客をしようとする販売員は誰もいない。夏海は自分で見て回るしかなかった。気に入った服があっても、店員に取ってもらおうとすると「少々お待ちください」の一言で、その場に放置される。最初に入った店舗がそうなら、次の店舗も同じだ。ぐるぐる回って三十分が経っても、夏海は一着も気に入った服を試着できずにいた。陸斗はもともと傍らで成り行きを見守っていた。夏海が悔しがる様子を見て、密かにほくそ笑んでいた。しかし、見ているうちに、いつの間にか面白くなくなってきた。ここら辺の店の店員もいい加減にしろ、と思った。たとえ夏海が大したものを買えなくても、ここまでひどい対応をする必要はないだろう?何より……夏海は彼が復讐しようとしている相手だ。こんな他人任せにして、店員に不当な扱いをさせておくのは、どうも彼のやり方に反する。陸斗はしばらく考えた末、仕方なく顔見知りの店員に電話をかけた。別の店の中では、夏海は依然として冷たい対応を受けていた。彼女は白黒の蝶結びのリボンがついたドレスと、それに合わせる短めのファーのジャケットに目をつけた。優雅でありながらそこまで厳かではなく、パーティーだけでなく、普段着としても着られそうだ。夏海が買い物をする時、一番考えるのは実用性だ。今はもう冬になった。このセットを別々に着てもよさそうだ。そのジャケットは暖かそうだった。しかし、この高級ブランド店は、夏
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