All Chapters of マンゴーひとつで、彼氏の200億円の取引を白紙に: Chapter 11

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第11話

ヴィクトリア・プロジェクトの契約を取れなかっただけでも失敗だったのに、私が彼の不倫と蘭の不倫相手という立場を徹底的に暴いたことが、さらに彼らを追い打ちをかけた。隆の会社も彼自身も、業界での評判はがた落ち。もう誰にも相手にされなくなった。最初のころ、蘭はまだやる気に満ちてたみたい。残業して企画を練りながら、海外にいる私の活躍をこっそりチェックしていたそうだ。でも、私の仕事がうまくいくほど、蘭の心は穏やかじゃなくなって、嫉妬がふくらんでいった。そして横山グループが火の車になって3ヶ月目、とうとう彼女の我慢は限界に達した。「あなたはちゃんと会社を経営する気あるの?このままだと会社は潰れちゃうわよ!そうなったら社長夫人どころか、あなたと一緒に路頭に迷うしかないじゃない!」隆はパソコンに次々と表示される専門用語がちんぷんかんぷんで、イライラしていた。そこに蘭から怒鳴られて、さらに頭に血がのぼったようだ。「お前こそ、どの口が言うんだ!直美と比べて、お前のどこがいいって言うんだよ?彼女はこんな細かいことで、俺を悩ませたりしなかった!俺はただ書類にサインするだけでよかったのに、こんなに疲れることなかったぞ!」二人はお互いをののしり合い、まったく容赦がなかった。でも、いくら二人が言い争っても、会社の危機がなくなるわけじゃない。それから間もなく、隆の会社は倒産した。会社の穴埋めのために、かつて私と彼が一緒に暮らしていた家は競売にかけられることになり、二人は裁判所から強制的に追い出された。暮らしがこんなに変わってしまったのに、二人は地道に働いて生活を立て直そうとはしなかった。それどころか、それまでの贅沢な暮らしをやめられずギャンブルに手を染め、あっという間に全財産を使い果たしてしまった。彼らの消息を最後に聞いたのは、窃盗で逮捕されて懲役6年の判決が下った、というニュースだった。ニュースは、かつて世間の注目を集めた二人の、悲しい結末を報じていた。……その一方、私の仕事もプライベートも、日に日に充実していった。2年後。私は仕事ぶりが評価されて、いくつも大きなプロジェクトを成功させた。そしてついに、DMグループ国内支社の社長に昇進した。正式な就任の日、会社はたくさんの記者を招待した。その中には、昔、隆が記者会見を開いた時にいた人た
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