颯太の心臓の鼓動が、だんだん速くなっていく。彼は一瞬ためらったけど、結局ビデオを再生した。ビデオの前半では、菫が美希と揉み合っていた。あの高圧的な脅し文句が、個室にいた全員の耳にはっきりと届いた。颯太の顔色が変わった。自分の前では優しくて物分かりのいい女性が、裏ではこんな顔を持っているなんて思いもしなかった。彼の仲間たちも驚いて目を見開いた。でも、この先の内容は明らかに自分たちがいるべきじゃない。そう察した彼らは、次々と口実を作って個室を出て行った。「颯太、母親に呼ばれてるから、俺先に帰るわ」「俺も。妻が待ってるから」……個室はすぐに静かになった。ただ菫の甲高い声だけが、颯太の耳に響き渡る。貧乏、身寄りがない、恥知らず……悪意に満ちた言葉に、颯太は思わず眉をひそめた。そして、珍しく菫に対して怒りが湧いてきた。たとえ美希が本当に身寄りがないとしても、菫が彼女を好き勝手に侮辱していいわけじゃない。どんな事情があれ、あの3年間、自分のそばにいたのは美希だ。菫に彼女を侮辱する資格なんてない。その時、防犯カメラの映像には、菫が美希の手首を掴むところが映し出された。颯太は思わず息をのみ、瞬きもせず美希の動きをじっと見つめた。次の瞬間、彼ははっきりと見た。菫が自分で階段を踏み外し、転げ落ちていくのを。スマホが、突然颯太の手から滑り落ちた。彼は、力なく目を閉じた。そうか。美希は嘘をついていなかったんだ。彼女が押したんじゃなくて、菫が先にしつこく絡んだせいで、足を踏み外して階段から落ちたんだ。なのに自分は、美希が謝らないからって罰として……ボディーガードに命じて彼女を階段から突き落とさせたんだ。颯太の心に、果てしない後悔が広がっていく。彼は震える手で、美希のアイコンをタップした。【美希、ごめん。俺が間違ってた】しか、しばらく待っても、既読がつかない。颯太は、ハッとして、信じられないというように目を見開いた。美希にブロックされてる?その後、彼は苦笑した。そうだよな。3年間の一途な想いを裏切ったうえに、誤解して彼女を傷つけたんだ。ブロックされて当然だ。菫が戻ってきてから、今日初めて、颯太は彼女を責めたい気持ちになった。颯太はジャケットを掴むと、病院へ急いだ。病室
Read more