屋敷の中は客でごった返していたが、宗一郎の世界は突然、音を失ったかのように静まり返った。ただ、小林の言葉だけが、耳元で鐘を突くようにはっきりと響いていた。「桐島さん!桐島さん!」小林が必死に呼びかける。宗一郎の顔色は瞬時に血の気を失い、両目は充血して赤く染まった。思考よりも先に体が動いた。彼はよろめくようにして、中庭へと飛び出した。房江が慌てて追いかけてきて、背後から怒鳴った。「どこへ行くの!戻ってきなさい!」宗一郎は抜け殻のように振り返り、房江を見た。脳裏に、今朝家政婦が慌てた様子で房江に耳打ちしていた光景がフラッシュバックする。「遺体安置所が……身元確認に来いと……」宗一郎はうわ言のように呟いた。「今日は私の祝いの席だよ、明日お行き!あのあばずれ、本当に縁起が悪い。死んでまで迷惑をかけるなんて!」房江は不満を露わにした。宗一郎は、今朝追求しなかった自分を激しく責めた。あの時、確かに胸騒ぎを覚えていたのに。もう一刻の猶予もない。房江の怒鳴る声を無視して車のドアを開けた。小林もすぐに続き、運転席に乗り込む。発車寸前、美月がドアにしがみつき、無理やり開けようとした。「行かないで!今日はどこにも行かず、私と一緒にいてくれるって約束したじゃない……」美月の心臓は早鐘を打っていた。何かがおかしい。なぜ詩織の死を聞いて、これほどまでに取り乱すの?彼は自分と子供を一番に想っていたはずじゃなかったの?宗一郎は冷ややかな目で彼女を一瞥すると、躊躇なくドアを叩きつけた。「出せ」美月は反動で地面に突き飛ばされた。周囲の客たちが指差して囁き合う中、彼女は遠ざかる車を見送ることしかできなかった。車内、宗一郎は一言も発さず、拳を強く握りしめていた。ここ数日の出来事が、走馬灯のように脳裏を巡る。落ち着け、と自分に言い聞かせる。まだ遺体を見ていない。あれは詩織ではないかもしれない。遺体安置所に到着すると、係員が彼を安置室へと案内した。台の上には、黒焦げの遺体が横たわっていた。猛火によって原形をとどめないほどに焼かれている。宗一郎は三歩手前で立ち尽くした。それ以上近づく勇気がなかった。脳裏に浮かぶのは、かつて校門で待っていた時の彼女だ。彼を見つけると瞳を星のように輝かせ、満面の笑みで「お疲れ様」と迎えてくれた。今回の休暇は何日いられるのか
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