翌日の朝。10時。智也の自宅。昨日智也をハイヤーで迎えに来ていた大成の側近の中年男性、木根が、智也を昼食会に連れて行く為に迎えに来た。11時からの昼食会の場所は、一昨日の晩に、智也と大成がベッドを共にしたフォルセスホテルだった事が智也には重かった。まさかーーこんな昼間から、また二人きりの昼食ではないだろうか?と疑心暗鬼にもなった。でも、昨日の大成は、確かに"AJ関係者に智也達プロジェクトメンバーを紹介する"と言っていた。そして、後部座席の智也が横の木根に詳しく聞くと、今回は本当にホテルプロジェクトに関わるAJの関係者100人以上を呼んでのようだった。でも、一昨日の事もあり、まだ本当にAJの昼食会か訝しんでいたら、目的地の車止めにすぐに到着する。ドアが自動で開き、巨大なホテルを見上げる智也に、一昨日の晩の大成とのベッドの記憶が溢れるように蘇る。そして、それを消そう、消そうとする度に更に思い出す。体も、今にも火がつきそうになり、焦り、仕事にだけ意識を向けようと必死になった。そうしながらハイヤーから降りようとすると、木根がその前に告げた。「鈴木さん。今からの昼食会はAJの関係者ばかりなのでどうかお気を楽にご参加して下さいとの……不破社長からのご伝言です。それと、この昼食会は2時までですが、食事を取られてそこそこ周りに挨拶なさったら、すぐにお好きな時間にご自宅に帰られご休息なさるようにとも社長はおっしゃられてました」(気を楽に……と言われても……それに……俺は早く仕事がしたいのに……)木根の顔を見ながら、智也はそう思うと心の中で大きな溜め息をついた。智也の契約がAJ側とゼイン側で合意するのが諸事情で遅れた為に、智也はプロジェクトメンバー合流がズレ仕事も遅れている。すでにこの事が、智也のきっちりした性格上、その肩に重くのしかかっていた。智也の緊張は和らぐ所か深まり、大成の気遣いにも何か心がざわつく。昼食会の会場は、智也と大成が二人きりの懇親会をしたフレンチレストランでは無く、ホテルの見晴らしの良い上層部の大会場だった。智也が入ると、ホテルプロジェクトの責任者の面々だけでなく、AJの幹部や社員だと思われる老若男女多くがすでに集まっていた。大成は、昼食会はまるで小規模のように言っていたがーー調理器具を大規模に会場に持ち込み、職人達が
Last Updated : 2026-08-25 Read more