「鈴木。俺がお前の指や手に少しずつゆっくり触れていったら、もしかしたら他人に触れられるのに慣れるかも知れない。少しずつ……」智也の横の椅子に座るその大成の言葉が衝撃的で、ガタンと音を立て智也が椅子から立ち上がった。そして、大成に困惑の表情を黙って向けて疑った。以前も、優しい言葉で智也を油断させ、智也を性的に襲おうとした人間は沢山いたから。そうしていると――大成も立ち上がり、智也と向い合い智也を見詰めた。大成の方が智也より大きいので、智也は大成を見上げた。互いの息がかかりそうな位近くに、智也の近くに大成がいる。あまりに近すぎる。やはり智也は、一瞬ビクっとした。しかし、不思議と目の前にいるのが大成だとわかっていると、他の人間に感じるような嫌悪感はなくてこの場を離れる選択をする必要を感じない。智也はそんな自分に驚く。そこに、大成が静かに呟いた。「俺なら、友達だから大丈夫だろ?」「俺と、不破君が……友達?……」智也にも小さな頃は、一緒に遊ぶ年の近い子供がいたが――今まで一度も友達だと確認した訳ではない。今新ためて友達とはどんな関係を言うのかとふと疑問がよぎる。「えっ?!俺達、友達じゃないのか?」大成の声のトーンが下った。「友達……なのか?」逆に智也が静かに聞き返した。大成の目を真剣に見詰めて。「友達だ」智也は、大成のその言葉に安心を感じて体の強張りを解いた。今まで智也は、他のクラスメイト同様に大成にも身分の違いから隔たりを感じていたし、疑心から大成が近くにいても遠く感じていたが、友達と言う言葉で初めて大成を身近に感じた。そしてさっき、大成が智也の絵を褒めてくれたのが、大成が智也を対等の友達と見てくれている裏付けになっていた。「なら、試験休み明けから、練習な」そう言い、大成が目を細め口角を上げた。「本当に?……」もしかしたら冗談だったのかもと、まだ智也はどこか思っていた。しかし――「本当に……」大成は、智也の顔に大成の顔をかなり近づけてそっと囁いた。キスできそうな距離だったから、大成の息も智也の唇をかすめて、智也の心臓が体から飛びでるのではないかと思うほど跳ねた。そして、その後しばらくしても智也の鼓動は激しいまま治まらなかった。この日の後、土日を挟み計5日試験休みがあり、又普通に授業が始まった。そして
Zuletzt aktualisiert : 2026-03-17 Mehr lesen