それはそう。熱意に負けて振り返ると、御代は苦しげに顔を歪めた。「先生が俺を意識し過ぎて要らない罪悪感を覚えるなら、教師と生徒の関係じゃなくていい。ミコトさんとレアルゼに戻っても大丈夫です」「お前……」さすがにその発言には驚き、額を押さえる。まさかそうまでして自分に触れたいと思ってるとは。「少し冷静になれ、御代。もう研究員ごっこする必要はないだろ」「でも、中都先生に見てもらえないなら、俺にとってこの世界は現実と一緒なんです……」御代は俯き、目元に影を落とした。思い詰めてるように感じたが、昔からそうだったのだろう。御代にとって一番身近で、縋れる存在が中都だった。中都もそれを分かった上で彼に寄り添った。担任になるまで知らなかったが、御代の家庭環境は凄絶だった。酒乱の父親から離れる為に、卒業後は彼に一人暮らしをするよう勧めた。しかし大切ゆえに踏み込み過ぎたのかもしれない。心を開いてくれたのは嬉しいが、教師が未来ある生徒を振り回すなどあってはならないことだ。……自分がしたことは間違いだったんじゃないか。「お前にそこまで好きになってもらえて、俺は幸せ者だよ」問題はたくさんあるけど、これが本心だ。息をつくように零すと、御代はまた眉を下げた。下手したらまた泣かせてしまいそうだ。それは嫌だった。彼の悲しそうな顔は、もう見たくない。「お前が大好きだよ。けど、大事だからこそ深く関われない。下手したら今よりもっと傷つけてしまうから」別世界だろうと何だろうと、御代に寄り添うのは罪深いことだ。だが、御代はあっけらかんと言い放った。「大丈夫です。絶対傷つきません」「いや~……どうかなぁ……」「俺のことを心配してくれるのは嬉しいです。でも俺は先生の本当の気持ちが知りたい。俺のことが好きか嫌いか教えてください!」朝から大変なシチュエーションだ。ゼロか百かという容赦ない二択を迫られている。御代が積極的に変わってくれたのは喜ばしい。しかしその矛先が自分に向いているというのが未だ信じられない。ため息を飲み込み、御代の額にキスをする。あぁ、こういうことをするから駄目なんだ。俺も学ばない。案の定御代は顔を真っ赤にした。「可愛い反応。……レアの時と一緒だな」「先生……っ」「先生だって、学校を出ればただの人間だ。聖職者なんかじゃない。盲目的に付き合って
Last Updated : 2026-01-20 Read more