翌日、レアルゼはミコトに連れられて王城へ向かった。「レア! よく来てくれたな……って、大丈夫か? 顔色が悪いぞ」謁見の礼を言う間もなく、クロック王子は青くなりながら両手を掴んできた。触れてるとさらに緊張する。でも怪しまれないよう、笑顔をつくって誤魔化した。「大丈夫です、元気ですよ。ミコトさんにたくさん食べさせてもらってますし」「本当に? それなら良いが……」どうしても不安が拭いきれない様子のクロックに、ミコトが声を掛ける。「王子。レアは悩み事があるようです。それを教えてくれればいいのですが、私のことも警戒してるようで、ほとほと困ってるんですよ」「何。レア、ミコトは良い奴だぞ。私のことが信じられなくても、ミコトのことは信用してやってくれ」う……っ。さすが光の王子。俺のなけなしの良心をオーバーキルしてくる。クロックもミコトも、心の底では信頼している。しかし目的が目的なだけに、全てを打ち明けることができない。「申し訳ありません。でも全部俺が至らないせいで、お二人のせいじゃありません」拳を強く握り締める。彼らは何も悪くない。だがそれを伝える術がない。「本当に……ななな悩み事なんて何もないので、ご安心ください」「噛みまくってるな。なにか深い事情がありそうだが」クロックはため息をつき、自分の頭につけていた金の髪飾りを外した。こちらに近付いたかと思うと、俺の右耳の辺りに触れ、髪飾りを留めた。「私は無理に聞き出すつもりはない。だからもう一度だけ言う。困ったことがあれば、意地を張らずにミコトに助けを求めろ」「え……?」息が当たりそうなほどの至近距離。クロックは声を潜め、レアルゼにしか聞こえないように耳打ちしてきた。不思議に思いながらミコトの方を見ると、彼も訝しげにこちらを見つめ、腕を組んでいた。気まずくてこめかみを押さえると、硬いなにかが指が当たる。「あ。王子、これ」自分の椅子に座ろうとするクロックに問いかける。すると彼は振り返り、にこっと笑った。「やる。魔除けにもなる髪飾りだ。思ったとおり、翡翠の玉はお前の髪によく映える」「ま、待ってください。受け取れませんよ」多分、いや確実に、俺みたいな人間が王子から宝飾品を頂くのはまずいだろう。必死に返そうとしたのだが、むしろ押し返されてしまった。「良いから受け取れ。私の好意を拒絶するの
最終更新日 : 2026-01-10 続きを読む