ブロッサムも優雅な仕草で頷く。彼女の穏やかな表情からは不安の色は見えなかった。「ご一緒しますわ」 ティナは皆の様子を見て、少し呆れたような顔をしながらも、すぐに了承してくれた。彼女はそらの無謀さを理解しつつも、見捨てることができないのだろう。「分かりましたよ! ご一緒致します」 ティナのため息交じりの返事に、皆の顔に安堵と喜びが広がった。♢湖畔でのひととき 依頼のあった村の近くに転移し、家畜を放牧している牧草地へとやって来た。空はよく晴れ、牧草の青い匂いが風に乗って運ばれてくる。ワイバーンはこの辺りで家畜を拐っていくらしい。「この辺りで、隠れて待ってれば現れるんじゃないかな?」 そらの、のんびりとした提案に、ティナはすぐにワイバーン討伐の難しさを思い出し、少し困った顔をした。「普通の魔法は、なかなか当たりませんよ。ワイバーンは空を飛んでいます。距離がありますから避けられてしまいますし。距離があるので、魔法の威力も落ちてしまいます」 ティナが冷静に問題点を指摘するが、そらは別のことを考えていた。今回は、何かのアニメでやっていた黄色い円盤を投げて、切断する攻撃を試してみたいだけだったりする。射撃だけだとつまらないし……。魔力に光魔法を纏わせて、超高速回転をさせて切断をする。そらの心はすでに、新たな魔法攻撃の想像と遊びへと向かっていた。「大丈夫だよ」 そらはティナの心配を軽く受け流し、探索魔法で周囲を探ってみた。遠い空の微かな気配。もう少ししたら、こっちを通るはずだ。そらは頭の中で、光の円盤が飛翔し、目標を正確に捉える軌道をイメージしておく……そろそろかな? そらの手元に淡い黄色の光の円盤が現れ、それをワイバーン目掛けて投げた。円盤は空気抵抗を無視したかのように加速し、追尾魔法が追加してあるので、円盤はワイバーンを追い、その首を正確に切断した。 ワイバーンの巨体が悲鳴を上げる間もなく、遥か遠くの空から地面へと墜落する。 うん。これじゃ、射撃と同じでつまらないよな~。そらはつまらなそうに呟いた。一応、墜落したワイバーンから魔石を回収しておく。「エルも射撃してみれば?」 そらが隣にいるエルに気楽に提案すると、エルは目を大きく輝かせた。「え? 良いの!?」「順番に撃ってみれば良いよ」 そらはエル、ティナ、ブロッサム、アリアの順番で討伐
Last Updated : 2025-12-22 Read more