賑やかな宴も終わり、食事の片付けを終える頃には、皆、剣術の稽古や日中の活動で疲労していたのだろう。周囲は急速に静けさを取り戻し、寝床に就く時間も普段より早くなった。静かに揺れる焚き火の炎だけが、疲れた仲間たちの眠りを優しく見守っていた。 ——翌朝、夜露に濡れた草木が微かな光を浴び始める頃、俺は静かに目を覚ました。 テントの外からは、ヒュッ、ヒュッと空気を切り裂く鋭い音が響いてくる。レナが朝早くから外で真面目に素振りをしている音だ。そういえば、冒険者登録の際、剣士にとって毎日の練習が何よりも大事だと熱弁されたことを思い出す。彼女はそれを体現している。 そのレナの隣では、フィオが小さな体で一生懸命に剣を真似て素振りをしていた。その姿は健気で、とても可愛らしい。 ステフも既に起きており、焚き火の煙が薄く立ち上る中で、朝食の準備を始めていた。その勤勉さには頭が下がる。 一方で、エルとアリア、そしてティナは、まだ深い眠りの中にいた。昨夜の食事の後の安堵感と、日中の活動による疲労が残っているのだろう。静かな寝息だけが、テントの中から微かに聞こえてくる。 俺はレナの真剣な姿を見て、彼女の持つ真の実力をこの目で確かめたいという衝動に駆られ、剣を手に声を掛けた。「朝の練習、付き合ってくれるかな」 レナは一瞬の迷いもなく、力強く頷いた。「もちろん良いっすよ」 彼女も持っていた剣を構える。その瞬間、彼女の目付きは昨日の快活な少女から、研ぎ澄まされた一振りの刃へと変わった。気合いと共に、レナは驚くほど素早く距離を詰め、一気に俺へと打ち込んできた。その速度は、並の剣士のそれではない。 俺は反射的に後ろへと大きく飛び退き、レナの剣の射程圏外、安全な間合いを取った。だが、そこで留まらない。飛び退いた勢いを殺さずに、即座に踏み込みへと変え、視線を逸らすフェイントを入れると同時に、一気に距離を縮めて打ち込んだ。一瞬の攻防。カキンッという金属音は鳴らず、代わりにザシュッという嫌な音が響いた。 レナの剣は、衝撃で折れたのではない。俺の剣筋によって、まるで紙のように正確に断
最終更新日 : 2026-01-06 続きを読む