Semua Bab 本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます: Bab 31 - Bab 40

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第3章 7 2人の初デート

 良く晴れた土曜日の朝――今日は姉と亮平の2人きりの初デートの日。「忍さん、どうですか? この車」亮平は自分の愛車を誇らし気に見せている。「うわあ……亮平君。どうしたの? その車?」玄関から出てきた姉は亮平の車を見て目を丸くする。「フフフ……この車は新古車と言って、展示品として並べられていた車でほぼ新車同然なんですよ。どうですか? この見事なデザイン。黒い車体が渋いと思いませんか?」亮平は自慢げに車を撫でた。「本当ね。とても素敵な車だわ」姉姉は笑みを浮かべている。「忍さん、人を乗せるのは貴女が初めてなんですよ。いや~初めて乗せる相手が忍さんなんて本望です。しかも2人でディズニーランドなんて、まるで夢のようだ……」もはや私は完全に蚊帳の外だ。だけど私が2人のデートプランを考えてあげたのに……それなら……。「えい」ムニッ「い、いってえ~っ! な、何すんだよ鈴音! なんで両方の頬を引っ張るんだよ! 痛いだろ!」「そう、痛かったんだ。良かったね? さっき夢のようだと言ってたから夢かどうか分からせてあげようかと思ったんだよ」フフンと腕組みした。「このやろ! もうお前にはお土産は買ってきてやらないからな?」「うん、聞こえないな~。そうだ、私にはTシャツのお土産が良いな。よろしく! あ、サイズはMだからね」「お、お前なあ……俺は今お土産を買ってきてやらないって言ったんだぞ?」すると今までクスクス笑って私達の様子を見ていた姉が言った。「フフフ……それじゃ私が買ってきてあげるわ。そうだ、鈴音ちゃん。私とペアのTシャツを買ってきてあげるわね」「本当? ありがとう! お姉ちゃん大好きっ!」私は姉に抱き着いた。その身体からはフローラルな香水の香りがする。「それじゃ、亮平君。今日1日よろしくお願いします」姉が仰々しく頭を下げると、亮平は顔を真っ赤にさせた。「い、いや! 忍さん、こちらこそよろしくお願いします!」そして助手席のドアをガチャリと開ける。「どうぞ、忍さん」「ありがとう、亮平君。それじゃ、鈴音ちゃん。行って来るわね。晩御飯は……」「あ~いいのいいの、2人で外食してきて。私も適当に食べるから」「鈴音。お前もう出勤しなくていいのか?」亮平が運転席に回ると尋ねてきた。「うん。私は今日遅番なんだよ~」すると少しだけ亮平が真
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-20
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第3章 8 目にしたものは

20時半――「ふう~疲れた……」遅番だった私は井上君と店の戸締りをして、大きく伸びをした。「それじゃ帰ろうか?」****「加藤さん、今日は遅番だったけど帰りは大丈夫なのかい?」隣を歩く井上君が話しかけてくる。「うん。大丈夫。そういえばまだ言ってなかったっけ? 私ね、ママチャリ買ったんだよ。だからそれに乗るから大丈夫。スイ~ッってあっという間に帰れるよ」「ママチャリ……」井上君は何故か苦笑している。「何? 私、何か変なこと言った?」「い、いや。まだ独身で若いのに、ママチャリなんて言うから。普通に自転車って言えばいいじゃないか。」「そうだね、うん。自転車があるから大丈夫。それよりスーパー開いてるかな……。あ、コンビニでもいいか。」「何? 買い物でもあるの?」「うん。お弁当買って帰ろうかと思って。お姉ちゃんと亮平は今日はご飯食べて帰るから」「……ならさ」「うん? 何?」「駅前に安くてうまい立ち食いソバ屋さんがあるんだ。一緒に食べて帰らない?」「へえ~立ち食いソバ屋さんて、まだあったんだ」「何だよ、まだあったって……。あ、いや。立ち食いソバ屋って言っても、ちゃんと座って食べられるからな? でも回転率がいいからな……食べたらすぐに出なければならない。そんな店だけどコスパはいいぞ?」「ふ~ん……コスパねえ……うん、いいよ。行こう!」そして私と井上君はコスパの良い立ち食いソバ屋へと向かった――****「ええ!? おそばにコロッケ乗せるの? し、信じられない!」井上君がネギとわかめが乗ったソバのうえにコロッケをのっけたのを見て仰天した。「何言ってるんだよ。これこそ究極の行きつく立ち食いソバの王道なんだぞ? 知らないのか?」「そんなの知らないよ! 絶対かき揚げが合うんだってば!」私は箸でおそばの上にのったかき揚げをつまみ上げてみせた。「いーや、そんなことはない。騙されたと思って今度食べて見なよ」「立ち食いソバ屋なんて女ひとりじゃ何だか入りにくいよ」おそばをフウフウ冷ましながら口に運ぶ。う~ん……おいしいっ!「こんだけ豪華なおそばで値段が400円なんて最高だね」井上君を振り向くと、何故か顔を赤らめてこちらを見つめている。「あれ? 顔赤いよ? どうしたの?」「あ、ああ。実は七味唐辛子掛け過ぎちゃって」「それで辛くて顔
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-21
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第3章 9 夜、車の外での会話

「お姉ちゃん……亮平……?」まるで見てはいけないものを見てしまったかのような気持ちになってしまった私は慌てて自転車を引いて家の陰に隠れてしまった。そ、そんな……。2人は初めてのデートで、もうキスをするような仲になってしまったの? 心臓はドキドキと早鐘を打っているし、こめかみはズキズキと痛みだした。まさかあんな場面を目にしてしまうなんて……。泣きたいような気持になってしまったけど、いつまでもこんなところに隠れていても仕方がない。2人が車から降りて玄関へ入ってから何食わぬ顔で帰ろう……。そう決めた私は再度、家の物陰から2人の様子を伺うと未だに姉と亮平は車から降りていない。「もう……何やってるのよ……」キスはもうしていなかったけれども、2人共車のシートの背もたれに寄りかかって座っている。何だか会話をしている素振りすらない。「あれ……? 何か変だな……?」首を傾げてもう一度2人に様子を伺うと、何と姉は助手席のシートにもたれたまま眠っている。ということは……まさか亮平は眠っている姉に勝手にキスをしたのかも……! それに気が付いた瞬間、私の胸の中に安心感やら亮平に関する怒りのような感情が沸き起こってきた。「何よ……亮平ったら……。まさか眠っているお姉ちゃんに勝手にキスするなんて酷い! 同じ女として許せないんだから!」よし! ここはもう私が行って一発ガツンと亮平に物申すしかない。そこで意を決し、自転車を引っ張って亮平の車へ近づいて行った。すると亮平は私が車に向かって歩いてくる姿に気付いたのか、運転席から降りてきた。「ああ、お帰り、鈴音。いや~参ったよ。忍さん……疲れたのかな? 帰りの高速に乗ったところですぐに眠ってしまったんだよ。到着してもまだ眠っているし、起こすのもかわいそうだから、そのまま寝かせて置いて上げてるんだけど……って何だよ? その汚らわしいものを見るような目つきで俺のことを見て……」「ふ~ん……汚らわしいものを見るような目つき? 自分でそんな台詞を言うってことは自覚があるって証拠だよね?」「自覚? 自覚って何の?」「亮平……私が何も知らないとでも思っているでしょう……? 実は私見ちゃったのよ……」自転車のスタンドを降ろす。「み、見た? 見たって……一体何を見たんだよ?」何故か口ごもる亮平。つまり自覚はあるってことだ。「いいの?
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-24
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第3章 10 仮のお付き合いだけど

 亮平は私が急に黙ってしまったのを不思議に思ったのか声をかけてきた。「おい、どうしたんだよ鈴音。うん……? 何だ、お前良く見れば顔色が悪いぞ? あ、お前、まさか俺と忍さんが付き合うって話を聞いてショック受けているのか?」「な、な、何言ってるのかな……? アハハッ……そ、それくらいでショ、ショック受けるなんて……」図星をつかれ、思わず慌ててしまう。「嘘言うなよ。鈴音。さっきからお前……言葉噛みっぱなしだ」「う……」「やっぱりな~そうだと思ったよ」亮平は両腕を頭の後ろで組む。「な、何がやっぱりなのよ」私の心臓は口から今にも飛び出しそうだ。まさか亮平……気づいていたの? 私が子供の頃から亮平のことを好きだって……しかし亮平の口から出てきた言葉は意外なものだった。「お前、昔から忍さんにべったりだったからな。お前、俺に忍さんを取られそうで嫌だと思っているんだろう?」へ……?思わずぽかんとした顔で亮平を見ると、私の頭を小突いてきた。「お前なあ、いくら俺が忍さんと付き合ったって、姉妹の縁が切れるわけじゃないんだからそんな顔するなって。あ、それとももしかして俺が忍さんを泣かしたりするんじゃないかって思ってるんじゃないだろうな?」「さ、さあ……それはどうかな~」内心の動揺を隠すために私はわざと軽いノリで言う。「俺が忍さんを泣かすような真似なんかするはずないだろう? 何せ俺は昔からずっと忍さんの事が好きだったんだから。それにな……まだ正式に付き合う話にはなっていないんだよ」「え? それってどういうこと?」「うん……とりあえず1カ月お試しで付き合ってから正式に付き合うかどうか考えるって忍さんが言ったんだ」「え、何それ……」それじゃあ、亮平は正式に姉とお付き合いが決まったわけでもないのに眠っている姉に勝手にキスしたってことになるんじゃない!そのことに気づき、徐々に軽蔑の目が宿る。「お、おい……。何だ?お前のその目つき……何か怖いんだけど……?」亮平が一歩後ずさる。そんな態度を取るならこっちにだって考えがあるんだからね? 私はずんずん亮平に近づき、車まで追い詰めると亮平の襟首を掴んだ。「この痴漢」「な、何で! この俺が痴漢なんだよ! って……まずい!」亮平はここがしんと静まり返った夜の住宅街であった事を思い出したのか、慌てて口を押える。
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-24
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第3章 11 私の罰

 真夜中の0時―― 真っ暗でしんと静まり返った部屋の中で時計の針がカチコチと規則正しくなっている。亮平と姉の姿が頭にちらついて、少しも眠ることが出来ずにいた。車内で姉にキスしていた亮平。眠っている姉をお姫様抱っこして玄関から家の中へ入る亮平。古代ローマの風習では、新郎新婦が新居に入る時に、花嫁さんが花婿さんに部屋の入り口から室内まで抱きかかえられたまま運ばれ、それが今も外国で行われていることがある。亮平が姉を抱きかかえて玄関から中へ入った時に、一瞬2人が新郎新婦に見えてしまった。「お姉ちゃん……まだソファで眠ったままなのか……?」様子を見に行かなきゃいけないのだろうけど、今はとてもそんな気になれない。心の余裕が無くなっている。だって今も心がこんなにもズキズキと痛んでいるんだもの。2人が……まさかこんなに早くつき合うことになるなんて思いもしていなかった。私が亮平以外の誰かを好きになれていれば良かったのに……。情けない事に、子供の頃からずっと亮平が好きだった。他の誰かなんて考えられなかった。亮平は知らないかもしれないけれど中学生の時も、高校生の時も……そして学生の時も何人かの男の子たちに告白されたことがあった。高校と学生時代……お試しで交際してみたことがあったけど、やっぱり私は亮平のことしか頭になくて……自分から別れを告げていた。だけど過去に一度だけ相手から別れを告げられたことがあった。それは学生時代に数カ月間お付き合いした男性。とても良い人だったけど、でもそれだけの感情しか持てなかった。彼は繊細な人で、私に言った。『君の心の中には常に俺以外の誰かがいる。俺はその男の代用品にはなれない。君が俺を通して別の誰かを見ているのは知っている。それがもう耐えられないから別れよう』そう言われたんだっけ……。2年も前の話なのに、なぜかその人の一語一句がいまだに鮮明に思い出される。私はそうやって今までお付き合いしてきた男の人達を傷つけてきてしまったんだ。だから罰を受けているのかもしれない。一番好きな人からは決して自分の望むものを手に入れることが出来ないという罰を……。目から一筋の涙がこぼれ落ちてゆく。この先もずっと私は亮平と姉のことで胸を痛め、涙に濡れる日々を何度も何度も繰り返していくのかもしれない。神様、どうかお願い。もっと私に強い心
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-25
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第3章 12 元彼との再会

「おはよう、加藤さん」駅を降りて職場へ向かって歩いていると背後から声をかけられた。「あ、おはよう。井上君」2人で並んで歩きながら井上君が空を見上げる。「今日もいい天気だな~この分だとまた俺達の仕事はあれだな?」「うん、きっとあれだね」私も頷く。『あれ』とはチラシ配りだ。今月おすすめのプランの入った持ち手つきの袋におまけでポケットティッシュを入れたものを駅前や繁華街で配る仕事。これがなかなかハードなのだ。通りすがりの人達に声をかけながら1日立ちっぱなしで配らないといけないから仕事が終わる頃には足がパンパンにむくんでしまう。「あ~あ……今夜は着圧ソックスを履いて寝ないとな~」うんざりしたように言うと井上君が質問してきた。「あのさあ、その着圧ソックスっていいの?」「うん、いいよ。足のむくみがすっきりする感じがするもの。井上君も履いてみたら?」「ええ~男が履いたらおかしいだろう?」「え? 知らないの? 最近はね、メンズ用の着圧ソックスがあるんだよ?」「え? マジ? 今日買ってみようかな……って着圧ソックスってどこに売ってるんだ?」「う~ん……女性用はドラッグストアで売ってるけどメンズ用はどうなんだろう? メンズ用なんて私は気にかけたことなかったからな……」「そっか……なら今日仕事帰り、ドラッグストアに寄ってみるかな」「それじゃ、私もドラッグストアで見てきてあげるよ」「え? いいの? わざわざ俺の為に寄ってくれるの?」何故か井上君は嬉しそうにしている。「う~ん……井上君の為にって言うか、今日は買い物があったんだよね。だからついでに見てきてあげるよ」「何だ……ま、別にいいか。うん、ありがとう」そんなことを話している内に私たちは代理店へ到着した。よし、今日も1日頑張ろう!それから1時間後――やっぱり私と井上君は予想通り、駅前にビラを配りに行くことになるのだった。****「それじゃ、私は南口で配るから井上君は東口で配ってくれる?」駅前で井上君にチラシが入った紙袋を渡した。「ねえ、お昼はどうする? どっちが先に食べに行くことにする?」井上君が質問してきた。「私はいつでもいいから井上君の好きにしていいよ?」「う~ん……それじゃ俺が先に行かせてもらってもいいかな? 実は今朝、朝飯抜きで出勤してきちゃったんだよな~」「そっか
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-26
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第3章 13 連絡先の交換

 大川隆司さん……。2年前に交際していた人、私より2歳年上だった彼。学生時代、同じ英語同好会だった先輩――「鈴音、元気そうだな」隆司さんは優しい眼差しを向けてきた。「隆司さんも元気そうで良かったです。でも随分雰囲気が変わりましたね。眼鏡にスーツ姿だったので分からなかったです」「そうか? 鈴音は変わらないな。その制服に、このビラ。念願の旅行会社に入れたんだな、おめでとう」「ありがとうございます」隆司さんは私と違って大人だ。だから2人で会話する時は私はいつも彼の前では敬語を使って話していた。「会社、この辺りなのか?」「はい、そうですよ。あの踏切を超えた先に代理店があります。今、そこの新人として仕事しています。隆司さんは……」「俺も実はこの4月から転勤で、この駅ビルの社屋で仕事しているんだ。今から営業の外回りなんだよ。でも……そうか。偶然会えてよかった」隆司さんはポケットから名刺を取り出し、差し出した。「俺の携帯番号とメールアドレスがここに書いてある。出来れば今日中に俺のアドレスに鈴音の携帯番号とアドレス……送っておいてくれないかな?」「はい、いいですよ。必ず今日中に連絡入れます」別に断る理由も無いしね。「そうか、ありがとう。それじゃまたな」隆司さんは笑顔で手を振り、さっそうと歩いて行った。その後ろ姿が見えなくなるまで見送ると再びビラまきに専念した――**** 13時――「井上君、お昼食べ終えたかな?」腕時計を確認すると、紙袋を持って繁華街へと足を運んだ。「今日は何食べようかな……」歩行者天国になっている通りにはカフェやファミレス……さまざまな店が立ち並んでいる。「少しゆっくりできるお店がいいかな……」先ほど2年ぶりに再会した隆司さんが不意に思い出された。彼に連絡先を入れてメールをしないといけないから、長居できるお店を探していると、カフェレストランを発見した。まるでログハウスのような可愛らしいカフェレストランの店の軒先にはブラックボードの立て看板があり、可愛らしいイラストで『ランチメニュー ワンコイン』と書かれている。「へえ~すっごく安い! 決めた! ここに入ろう!」ドアを開けて店の中へと足を踏み入れた――「ああ~美味しかった」私の前のトレーにはすっかり綺麗に平らげたプレートが乗っている。「それにしてもドリアとサ
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-27
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第3章 14 素敵なダイニングバー

 隆司さんと約束してしまった。「お姉ちゃんに連絡しないと……」スマホをタップして家に電話を掛けると、4コール目で姉が電話に出てくれた。「もしもし、お姉ちゃん?」『あら、どうしたの? 鈴音ちゃん』「ごめんね。実は今日昔の知り合いの人とばったり会って、食事して帰る約束しちゃったの」『あらそうなの? 今夜は鈴音ちゃんの好きなグリーンカレーを作ろうとしていたんだけど……』「え? グリーンカレー? そうだ。亮平も好きだよ? 夕食に誘ってみたら?」『そうね……それじゃ誘ってみるわね。じゃあ鈴音ちゃん、今夜は遅くなるのよね? 気を付けて帰って来るのよ?』「うん、分かった。それじゃあね」姉との会話を終えて電話を切ると、再び空しい気持ちになった。「お姉ちゃん……やっぱり迷わず亮平のこと誘うんだ……」すっかり冷めて生ぬるくなったコーヒーを口にするとポツリと呟いた――****「お疲れさまでした。お先に失礼します」まだ店舗に残っている社員の人達に挨拶をすると、駅に向かって歩き出した。腕時計を見ると時刻は20時15分。約束の時間は20時半に南口の改札だから少し待つことにるかもしれないけど、まっいいか……。私はそう思いながら、待ち合わせ場所へ行くと驚いた。「え? 隆司さん……?」既に改札前には隆司さんが待っていた。慌てて駆け寄ると隆司さんは私に気付いて手を振ってくる。「鈴音!」急いで隆司さんの元へ行くと、すぐに謝った。「すみません、隆司さん。まさかこんなに早く来ているとは思わなくて」しかし隆司さんは首を振る。「いや。いいんだ。鈴音を待っている時間は別に苦じゃないから」何だか妙なセリフを隆司さんは口にする。「? そうですか? でも、謝罪はさせて下さい、遅くなってすみませんでした」改めて頭を下げる。すると頭に手が触れる気配を感じ、顔をあげるとそこには優しい笑みを浮かべた隆司さんが私の頭をなでていた。「あの……?」「鈴音は昔から変わっていないな。人一倍気を遣うところ。だからこそ俺は……」隆司さんはそこまで言うと、私の頭から手を放す。「鈴音。この近くに行きつけのダイニングバーがあるんだ。そこへ行かないか?」「いいですね。行ってみたいです」「よし、それじゃ行こう」隆司さんが歩き始めたので、私もその後を追った――**** 隆司さんが
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-28
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第3章 15 彼の記憶力

「鈴音、何でも好きなものを飲んでもいいし、食べていいんだぞ?」隆司さんは落ち着いた声で私にメニューを渡してきた。「はい、ありがとうございます」しかしメニューの金額を見て仰天してしまった。カクテル1杯でも1000円以上するものばかり。食事に至っては一番安くても2000円を超えるのだから。慌ててメニューを閉じた。「どうした? 鈴音」隆司さんは怪訝そうな顔で私を見た。「隆司さん……。出ましょう、この店!」思わず隆司さんの袖を掴む。「え? 何を突然言い出すんだ?」「だ、だって高すぎですよ! こんな高級なお店でなんか飲めませんってば! 私みたいな人間は居酒屋で十分なんですから!」すると隆司さんは真面目な顔になる。「鈴音、私みたいな人間って自分を卑下するような言い方をするな。それにどうして自分には合わない店だと思うんだ?」「こういうお店は落ち着いた雰囲気の……素敵な女性が入ってこそ、似合うお店なんですよ。大体、今の私のこの服装では…」自分の来ている服を見て、ため息をついた。春物のグレーのダブついた大き目のセーターに紺色のパンツスタイル、そしてヒールの無いペタンコのローファーというカジュアルスタイル。こんなハイスペックなお店ではTPOに反してしまうのではないだろうか?しかし、隆司さんは笑顔になる。「どうしてだい? その服装……とても素敵だよ」そして再び私の髪をそっとなでてくる。……おかしい。隆司さんは私より2歳年上の先輩だったけど、こんなんじゃなかった。こ、こんな……大人の色気の漂うような男性では無かったはずなのに……!「あ、あの……隆司さん。先程から……そ、その……距離が近いです!」隆司さんから離れると立ち上がった。「と、とにかくこの店を出ましょう。もっと大衆居酒屋的なお店にしましょうよ」すると隆司さんは私の右手首を掴む。「鈴音はこの店いやなのか? 入った時はすごく喜んでいたじゃないか?」「いやなはずないじゃないですか。ただ……あまりにも高級で御馳走してもらうのは悪いですから」「鈴音は水族館が好きだったろう?」隆司さんからの突然の言葉に私は固まった。「交際して……初めてのデートの場所はどこがいいか鈴音に聞いた時、水族館に行きたいって言っただろう? だからこの店に連れてきたかったんだ」「隆司さん……そんな2年前のことなの
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-29
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第3章 16 優しい彼とイラつく彼

今のセリフは聞かなかったことにしよう……。うん、それがいいかも。「と、とりあえず……乾杯しませんか?」グラスを持ち上げて笑みを浮かべると、なぜか隆司さんは頬を染めて視線をそらせる。「参ったな……」「え? 何がですか?」「いや……鈴音が2年前よりも魅力的な女性になっていたからさ」「え……?」隆司さんの言った言葉を頭の中で繰り返し……途端に顔が赤くなる。いくら今は相手のことを何とも思ってないとはいえ、過去に少しだけでもお付き合いしたことのある男性に言われると、どうしようもなく意識してしまう。よ、よし、こういうときは……飲むに限る!「はい、かんぱーい」私は持ったグラスを隆司さんのグラスに軽く打ちつけると、一気にぐいっとカクテルを煽るように、まるでジュースのようにゴクッゴクッと飲み干した。「おい……大丈夫か? アルコールなのに、そんなに一気に煽るように飲んだりして」隆司さんがオロオロした様子で話しかけてくる。「ええ、これくらい平気です。もう1杯頼んでもいいですか?」「ああ、勿論構わないよ?」「それでは、お言葉に甘えて……」30分後―― 私の前には空になったカクテルグラスがいくつも並べられていた。「鈴音……大丈夫なのか? こんなに飲んで。まだ食事もほとんど食べていないのに」隆司さんはオロオロしながら私を見ている。「はい、大丈夫です。これくらい……社会人になって以前よりも大分飲めるようになったんですよ?」半分頭がふわふわしている。でもこれくらいの酔いがあった方が隆司さんと接することが出来そうだ。「もうこの辺りにしておいて食事にしたほうがいい」隆司さんは私の前に先程注文したトマトの冷製パスタを皿に取り分けてくれた。「……どうもありがとうございます」ぺこりと頭を下げて、私はありがたく頂戴することにした。「……おいしいです」トマトの酸味と塩気のある冷たいパスタは、先程迄酔いで赤らんでいた頬の熱を冷ましていく。「ほら、これも食べるといい」隆司さんは他にも私の皿に様々な料理を取り分けてくれた。「すみません……何だかお世話してもらっているみたいで申し訳ありません」アクアリウムを眺めながらポツリと言った。でも…何故だろう? 別れて2年が経過して、今日偶然再会したばかりでこんなに私に色々世話を焼いてくれるのだろう?「あの……隆司
last updateTerakhir Diperbarui : 2026-01-30
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