今日は結婚三周年の記念日。それに、大晦日の夜でもあった。私はカウンセラーとしての仕事を終えて、夫の入江浩輔(いりえ こうすけ)にラインを送った。【今夜、ご飯は家で食べる?】だが、浩輔からの返信は、いつも通り冷たいものだった。【いや、医局の忘年会があるんだ】結婚して三年、浩輔が家に帰ってこない時はいつも同じ理由だった。だから私も、彼は本当に仕事が忙しいんだと信じていた。そう、ある日、義理の母である石田直美(いしだ なおみ)がわざと動画を送ってくるまで、私はずっとそう信じ続けていた。【葵、見て。柚にすごくいい彼氏ができたのよ】動画を再生してみると、そこは薄暗くて騒がしい、カラオケボックスの個室だった。浩輔は、私の義理の妹である小林柚(こばやし ゆず)を抱きしめながら、ラブソングを歌っていた。そして柚は、うっとりとした顔で浩輔を見上げているのだった。さらに一曲歌い終わると、周りが騒ぎ始めた。「キスしろ!キスしろ!」そんな中、浩輔は顔を傾け、柚にキスをした。動画はそこで、ぷつりと途切れた。そしてすぐに直美からのボイスメッセージが届いた。「葵、あなたも見たでしょ。柚と浩輔の方がお似合いよ。だから、あなたは身を引くべきよ。さっさと離婚しなさいよ。あの二人だって婚約の予定があるんだから」それを聞いて私はスマホの電源を切ると、テーブルいっぱいに並べた料理をゴミ箱に捨てた。その日の真夜中に、帰ってきた浩輔は体からお酒の匂いと、知らない女の香水の匂いをぷんぷんさせていた。柚とよっぽど楽しんだのだろう、浩輔はご機嫌に鼻歌まで歌っていた。そして私の顔を見た瞬間、浩輔はネクタイを緩めながら、苛立った声で言った。「なんでまだ起きてるんだ?」彼はそう言って私の気持ちなんて、全く気にしていない様子だった。一方で、私も吐き気をこらえ、冷たく笑い返した。「医局の忘年会って、カラオケでやるの?」すると、浩輔の動きが一瞬止まった後、またいつもの口実でごまかそうとした。柚が浩輔のそばに現れてから、彼はいつもいろんな言い訳を見つけては家に帰ってこなくなった。だから、今回も浩輔は視線をそらしながら言った。「忘年会が終わってから、同僚たちと二次会に行ったんだ」「どの同僚?」私は尋ねた。「柚っていう同
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