特別病棟には外に繋がる通路は各階に複数あるが、一般病棟へ行くには必ず1階に降りなければいけない作りになっている。 優希はエレベーターから降りると、外来患者で溢れる総合受付を横切り、一般入院棟へのエレベーターに乗った。 (和珠さんは回復に向かってるって言っていたのに…どうして…。) 緊張で嫌な汗が全身を不快にさせるも優希は気にせず、早く着いてと何度も6階のボタンを押してしまう。 そして6階のランプが光って軽快な音が鳴ると、扉が開き切る前に隙間に体をねじ込ませて出た。 「将生…!!」 優希はやっと見つけた620号室の扉をノックも忘れて開ける。 看護師は将生が突然意識を失ったと言い、優希はそれ以降は聞いていなかったが最悪な光景を想像していた。 しかし今目の前にいるのはベッドボードに持たれて本を読む将生で、優希は肩で息をしながら呆然とする。 「…優希ちゃん?」 突然の来訪者に怪訝そうな顔をして本から顔を上げた将生は、それが優希だと気づくと驚きで目を見開き名前を呼んだ。 その声が耳に入ると、途端に五月蝿かった耳が静かになったように感じる。 気づけば優希の足はふらりと将生に向かって動き出し、ベッドのすぐ横に止まった。 そして何かを考える前に体が勝手に動き、将生の首に抱きついた。 無事でよかった。 会えて嬉しい。 巻き込んでごめんなさい。
Последнее обновление : 2026-05-31 Читайте больше